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14/12/29

【Part 8】「とりあえず、統合失調症患者になった自分が語る、26歳の人生。」~精神病棟へ入院編①~

Image by Olia Gozha

~入院生活から見えたもの~


・世界中から監視されている感覚


・母親も覚えていない、夕飯のメニュー。


・一月二十六日、僕は死にかけた


・入院前夜


・「俺はやついいちろうの息子じゃねえんだよ!!!」


・千原ジュニアさんが言っていた、「カテーテル」~一週間の束縛・帯同生活~


・解除。そして、また束縛・帯同


・「笑っていいとも!」の最終回だけ見れた。




・世界中から監視されている感覚


 ここまで出来れば、あとはちょっとの衝撃で、気が変になるのは目に見えている。


 家の中でも、監視カメラが仕掛けられていると思いこみ、部屋の中で暴れ回った。家の周りで工事をしていたので、玄関の扉を「ドンドン!」と、事あるごとに、ノックしてもらっていた。その時、必ず、普通の口調で、


 「どうされました~?」


 と、投げ返していた。


 昼休みになると、テレビには自分の家が、犯罪者の家として、生中継とされていると思いこみ、テレビをつけることが出来なかった。


 トイレの掃除をして、母親が迎えに来て、僕は病院へ連れて行かれた。






・母親も覚えていない、夕飯のメニュー。


 母親も、覚えていないという、焼き鳥の手羽肉が入ったカレーを食べたいと、母親に言っても、作った記憶が無い。と言われた。


 それぐらい、お互い疲弊していた。


 食卓で、刺身とご飯をちょうど半分しか食べておらず、母親が激昂した。自分も激昂して、イラつきながらご飯を食べ、二階へと登った。






・1月26日、僕は死にかけた


 エレ片のコント太郎の2014年一番最初の放送で、ゲッターズ飯田さんに対し、パーソナリティのやついさんが、「今年のエレ片の、悪い所って、何?」と、しつこく聞いていた。それに対し、飯田さんは、「1月26日に、エレ片にとって、大事な人が死にます。」という衝撃的な内容だった。


 自分は、1月26日の真夜中。母親と大喧嘩した後、自分の部屋で寝ることを拒み、父親の部屋で寝ることにした。


 最初は反抗心と怒りで、気づかなかったが、1月26日と言うのは、新潟では極寒で、暖房器具が無い父親の部屋で寝る行為は、自殺行為に値する。


 心臓が、「ドクン。ドクン」と波打つ時に気づいた。


 これは、お父さんが迎えに来てしまう。


 ゲッターズ飯田さんの言っていた、「1月26日に、大事な人が死んでしまう」の、大事な人って、自分の事なんじゃないか。と、思いこみ、自分の部屋で寝ることにした。


 そのまま父親の部屋で寝ることを決意していたら、父親と同じ、心筋梗塞で亡くなっていた、そして、この文章も書いていなかったかもしれない。






・入院前夜


 自分は、「最後の靴」のトラウマを発見した心療内科に行っていた。


 しかし、いつもと様子が違う。自分が来るや否や、看護士さんたちの自分への態度と、周囲への緊張感が急変し、まくし立てる電話の音、「本日は、都合により、診察が出来ません。」


 急にどうしたんだろう?


 そんなすっとボケていた自分だったが、トイレにひきこもって、結婚式のスピーチをしたり、認知症の小冊子を読んでいた。


 母親に促され、診察室のそばの席に横たわり、母親だけが診察室に入って行った。


 母親はなぜか怒られていた。理由は、自分しか原因が見当たらない。


 「どうしてもっと早く来なかったんですか!」


 そうやって怒鳴られていた。


 後々になって気づいたことだが、柏崎厚生病院で出されていた薬を、服用しなかったために、夜、眠れなくなり、支離滅裂なことを言い始めた為、もっと早く来てほしかった。という意味だったんだと思う。


 精神科医と言う仕事は、かくも難しい仕事だと痛感した。


 と、同時に、薬の服用に疑問を持っていても、医者の勧めを断つと、みるみるうちに、生活が一変していく。


 もし、治療や投薬に納得していない人がいたら、遠慮なく医師に相談した方がいい。



・「俺はやついいちろうの息子じゃねえんだよ!!!」


 、暴れ回った。母親への不信感からか、女性を見ると、怒りをあらわにしていた。


 絶賛、世界中に監視されているキャンペーンを実施しているので、窓も怖かった。みるものすべてが怖かった。そのまま自分は、病院へ入院する事になった。


 始めの入院から、10年経った出来事だった。






・千原ジュニアさんが言っていた、「カテーテル」~一週間の束縛・帯同生活~


 とにかく、暴れ回ってしまうので、両手両足を拘束され、生殖器には、カテーテルを挿入された。テレビで千原ジュニアさんがおっしゃっていた奴だと思い、激しく抵抗したが、挿入されてしまった。


 泣こうにも、涙を手でぬぐえない。


 かかりつけの赤羽先生には、


 「ここは、ジャパニーズ・プリズンブレイクだ」と、大変失礼なことを言ってしまった事を思い出している。


 また、ある時は、「自分は、Qさま!の11番目の席に座るんだ!自分のイニシャルは、11番目だからね!!」


 と、意味不明なこと言っていた。


 食事は点滴で、喉が異常に乾いたので、いつものように、「お水くださ~い!お水くださ~い!!」と叫んでいた。


 一時、点滴がうまく流れないと言う事があり、看護士さん達が焦っていた事があった。自分は悠長に、


 「風流ですね~」


 と言うと、看護士さんが、


 「これ、なんだかわかりますか?」


 と、点滴を指さしながら言った。


 自分は、東側。右手に点滴を打たれているので、四神の青龍を思い出し、


 「風に揺れる流と書いて、『風龍』ですかね~」


 と、言った。


 この時から、徹頭徹尾、頭がおかしかった。






・解除。そして、また束縛・帯同


 一週間後、両手両足の拘束が解除され、食事も普通に食べることが出来た。


 しかし、解除された解放感から、歌を大声で歌ったり、薬を運んでくれる看護士さんに大声で話しかけたりして、徐々に、落ち着きが無くなって行った。


 ある日、赤羽先生と沢山の看護士さんが押し寄せ、ベッドの位置を元に戻し、またカテーテルを挿入された。


 激痛だった。


 でも、自分は思い知らされた。


 病院って、暴れちゃだめなんだな。


 と。


 それに気づくまで、丸々2か月かかってしまったが。






・「笑っていいとも!」の最終回だけ見れた。


 2014年1月28日から、3月31日まで、部屋に拘束されていた。風呂のある、火曜日と金曜日の時間だけ、部屋の外に出ることが出来た。


 赤羽先生に、「笑っていいともの最終回だけ、見たいので、退院させてください。」


 と、のたうち回っていたので、最終回だけ、ホールの昼休みの時間、部屋を出てみることが出来た。


 タモリさんとたけしさんの濃密なトークに、やられた。


 夜のグランドフィナーレを見ようとしたら、看護士さんに止められた。


 でも、その日を境に、いろいろなことが変わっていった。


 まず、自由に部屋の外に出ていいという「ふれ」が出たのだ。


 あとは、突然、前述の「鈴木一由」さんがやってきて、


鈴木さん。「「くわばらくんってさ、退院する気ある?」」

くわばら「「あります!!」」

鈴木さん。「「じゃあさ、働く気ってある?」」

くわばら「「あります!!」」

鈴木さん。「「そっか、じゃあ、参考にさせてもらうね~」」




 


 


 


 と言って、去って行った。


 自分は、もしかしたら退院できるかもしれないと思い、その日の作業療法室で、ぬりえの裏に、「提案書」と手書きで書いて、「希望時間」、「希望月収」、そして、「通院・投薬を辞めない」、「頑張らないし、怠けない」と書いた。


 その後、赤羽先生にも届き、


 「無理しないで行きましょうね~」


 と、言われた。





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