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14/12/28

フィリピン人の彼女と会って5日で婚約して結婚しなかった話 - (13)ニノイアキノ空港2

Image by Olia Gozha

楽しい時間はあっという間に過ぎた...

「明日、何時に起きるの?」

「6時半だよ」

「起きるの大丈夫?」

「寝坊したお前が言うな!」

「えへへ」

「ずっと起きてるから大丈夫」

「寝ないの?」

「寝てていいよ」

帰りもマニラまで

彼女に送ってもらう予定で

彼女の飛行機のチケットも

日本で手配していた。


シャワーを浴びてバスルームから出ると

すでに彼女は寝息を立てている。

ベッドの真ん中にうつ伏せで大の字になり

掛け布団の下からつま先だけ顔をだしてる。

かわいいけど、色気もへったくれもない...


明日の今頃は自分の部屋に居るのかと思うと、

一気に現実に引き戻される感じだった。


窓の外が白み始めたころ

彼女をたたき起こして

バスルームに放り込み

荷造りをはじめる。

「あっ!お土産買ってないや・・・」

「もう行くの?」

「そろそろ出るぞ!」

「え~!まだ何も準備してない」

「も~、ぎりぎりまで何もしない性格を直しなさい!」

「まってよ~」

「は~や~く~~~」

なんとかホテルをチェックアウトして

ホテル送迎用の車に乗り込み

ダバオの空港に向かう。

朝が早いこともあって

乗っているのは2人だけだった。

「ほんとに帰っちゃうんだね」

「うん」

お互いの手を握って、そこから先は

車を降りるまで無言だった。


日本と違い、フィリピンの空港は

飛行機のチケットをもっていなければ、

建物の中にすら入れない。

「なに?」


こんなやつでも、帰りは頼りになる存在だ。

「だから、なに?」

「なんでもないw」

ダバオ空港の中の売店で

買いそびれたお土産を探す...


ドリアンキャンディー、

ドリアンチョコレート、

ドリアンタルトにドリアンクッキー

「だよねぇェェェ~~~」


10時ごろには、ニノイアキノ空港に着き

あとは、日本行きの飛行機の時間を

待つだけだ。

第2ターミナルの横にあるJolliybeeで

朝ごはんを食べて、出発ロビーの外にある

待合い用のベンチの一番端に腰掛けた。


マニラの空は青くて、

時々、心地良い風が流れる。

「ダバオ行きの飛行機は夕方だよね?」

「マニラの友達に会ってそれから帰るね」

「乗り遅れるなよ!」

「も~、心配するなよ」

「じゃ、行くわ」

出発ロビーの中から、ガラス越しに

こっちを見る彼女に手を振る。

彼女はくるっと私に背を向けて、

手を振りながら、人ごみの中に消えていった...


自分はバッグから上着を取り出し、

2月の成田を後にした。


6日ぶりの自分の部屋。

6畳間のちゃぶ台の上のパソコンは

確かに世界に繋がっていた。



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