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15/1/13

神様はバリにいた「一歩間違えれば死んでたのに何笑ってんの?」神という厄介な存在を知った、神々の島バリ島

Image by Olia Gozha

「神様が見てるよ」


空を指で差しながらこう言えば、タクシーでもボッタくられないし、物売りにふっかけられる事もないよ、この国では。


ナシゴレンを食べながら、もうバリ島に来るのは3度目だという先輩が、


笑いながら教えてくた。




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今から21年前、

23歳の時に生まれて初めて行った海外旅行は「バリ島」でした。


当時のぼくは、


パスポートは免許証を見せれば市役所で貰える。


成田空港に行く手段は成田エクスプレスしかない。


空港使用料が要るなんて、ドッキリだと思ってた。


そんな情弱で可愛い、バカでした。



海外に憧れはあったものの、ニューヨーク、パリ、ロンドンなどの最先端でお洒落な場所、

に興味があったわけで、アジアの南国には何の興味も無い人でした。

たまたま、当時の仕事関係で企画した「神々の島バリ島に行こう!」みたいなものにノリで参加しただけ。

ぼくの中でのバリ島は「たまにテレビで聞いいたことがある南国のリゾート地」くらいのテンションの低さだった事を、21年経って初めて、ここで暴露しております。



さて、


パスポートが出発3日前にギリギリ間に合い、


成田空港で北ウイングと南ウイングを間違え、


集合場所がわからず、泣きそうな顔をポーカーフェイスで隠しながら出発30分前に合流。(当時ケータイはまだ普及してなかった)


初めて見る生CAにドキドキしつつ、背中がシートに張り付く感じの加速Gに「ヒャッホウ!」と叫びたい気持ちを、ポーカーフェイスで隠しながら無事にテイク・オフ。


※イメージ画像


外国だ…


デンパサール空港に到着し、ゲートを抜けた瞬間、肌で外国を感じました。


無臭に慣れた日本人の鼻を刺激する、微かにスパイシーな匂い。


日本語以外の言葉が飛び交う空間。


タイムスリップしたかのような、目の前を通り過ぎる車やバイク。



※イメージ画像


あの違和感は、今でもハッキリ記憶に残ってます。


その後行ったハワイの記憶は、アラモアナでお土産買った位しか思い出せませんが(笑)




バリ島。別に特別来たかった国では無いという後向きな感覚に、この強烈な違和感がミックスされ、ぼくの中でひとつの心境が生まれました。


それは、「不安」

(何で初海外で不安にならねばいかんのだ…)


全く楽しめてない自分に驚き、更にこの後、


その不安は的中する事になります。



何人もの「子供の姿をした推しの強いセールスマン」を笑顔で交わし、お尻が浮き上がるほどの、あり得ないスピードで走るバスに乗り、やっとホテルに到着。


慣れないフライトと不安と暴走バスに疲れ果て、ベッドに倒れ込んだ時のシーツの匂いは、


スパイシーでした。




メシウマ


外の景色をまるで巨大な絵画の様に切り取った、半分テラスのような作りのオシャレなレストラン。


※かなり近いイメージ画像


そこで食べた料理は、ナシゴレンとミーゴレン。


言わず知れたバリ料理。と思いきや、実はインドネシア料理らしいのですが、そんな事はCDとDVDが同じサイズって間違いやすくない?ってくらいどーでもよく、


とにかく美味い。


まぁ、


焼き飯と、玉子が乗った焼きそばですからね。そりゃフツーに美味いですよ。味濃いし。


でも、凄く安心した事を覚えてます。


旅において「食事」は、シャワーのお湯が強いか弱いかくらい重要です。


胃袋が満たされると、不思議と不安は解消されるもので、その日の夜に見にいく「ケチャダンス」が楽しみで楽しみで、ワクワクしてました。


ちなみにぼくの生活環境には、当時まだ「インターネット」という設備は整っておらず、全くの前知識ナシでこの国へ来ております。



友人「なんか「チャッ、チャッ、チャッ」って踊るらしいよ。」



ケチャダンスの知識は、そんな友人の薄っすい情報だけでした。




チャッ、チャッ、チャッ、チャッ!


チャッケチャチャッチャッケチャチャッチャッケチャチャッチャッチャッ!



※かなりそのまんまイメージ画像



ぼく「スゲー!めっちゃケチャケチャいうてるやん!」

友人「何!あのアゲアゲリズム!」



ツアコン「ルーツは神に加護と助言を求める儀式ですが、このダンスは完全に観賞用の舞踏なんですよ(笑)」


ぼく「ふーん・・・」



そんな、要らない情報をツアコンから聞き、ただの催し物を見てる感覚になってしまいました。

みんなでかなり盛り上がりましたが、

「ただケチャケチャいうてるだけの円陣組んだダンス」

という感想に着地しました。


神々の国で、神を使ったビジネスか…



そんな、ひねくれた感想だったことは今でも内緒です。




不安的中


バリ「島」ってくらいですから、周りは海。


海外で海と言えばマリンスポーツでしょ!


という事で、バナナボートとパラセーリングとシュノーケリングをやる事に。


意外と速いスピードで疾走するバナナボート、振り落とされることを期待しつつも、必死にバナナにしがみつく女の子を見るぼくの目は、多分性犯罪者と紙一重の眼差しだったと思います。




そして、




事件はバナナボートじゃない!パラセーリングで起きてるんだ!(恥)



と、時代を超え叫びたくなる事件が…



バナナボートの興奮冷めやらぬぼくは、昔からやってみたかったパラセーリングにビビりながらも挑戦。


ボート二台で、2組同時に海を回遊するローテーションです。


この二台のボート、意外と近い距離で走ってます。




ぼく「よく飛んでるパラシュート同士が絡まないなぁ〜」





南国の解放感とバナナボートの興奮で「冷静な分析」が出来ない状態だったと思います。



まるで凧上げをしてる小学生が、お互い近くをぐるぐる走り回ってるような状態。初めから絡まってもおかしくない走り方をボートがしてる事に、


ぼくは気が付きませんでした。




空を飛ぶって、こういうことか!



※ほぼ見たまんまイメージ画像


背中にパラシュートを背負い、ボートに引っ張られながら、数秒で地上から50メートル上空へ。


眼下に広がるのは、青い海と砂浜のライン。どこまでも見渡せる水平線は丸みを帯びて「地球は丸い」を体感させられます。


そんな、解放感と非日常感とがミックスされたドーパミン出まくりの夢心地な思考回路。



が、突然。




現実に戻れ!




と脳みそが命令してきました。





ぼく「ん?」





ふと下を見ると、ぼくを引っ張るボートと、もう一人の夢心地な奴を引っ張るボートが、50メートル下の海で交差した。




ぼく「待てよ…」





今そこで交差しちゃったら引っ張られてるロープがあーなって、こーなって、絡まるんじゃないか?





ぼく「・・・ちょっ、待てよ!!」




※キムタクイメージ画像



というキムタクのような声が頭に浮かんだ次の瞬間、

50メートル上空で、目の前に人間が迫ってました!




ぼく「これ、絡まって落ちたら死ぬ…か?」





とか、考えでるうちに2人は想像通り絡まり、相手と絡まりながら落下。


が、何とかパラシュートは開いてる状態。


間違い無く僕たちには、起こってはいけない間違いが起こっていました。




さて…どうしたもんかな?



何でしょう 。


やたらと冷静で落ち着いた気持ちだったのを憶えてます。



ここで金具を外して自分だけでも海に飛び込んだ方が、相手は軽くなって落下しないかも・・・


とか、


これ位の落下スピードなら、このまま落ちても大丈夫か・・・


とか、


一応ボートは落下地点からは離れてるなぁ・・・


とか。




なんか、いっぱい考えました。




結局、割とゆっくり着水して、すぐにレスキューっぽいお兄さんが助けに来てくれて無事生還。

当の本人達もなぜか笑顔で、



ぼく「いやー参ったね〜」

絡まった相手「こんなことあるんですね~」



なんて、お互い無傷だった事を喜んでたら、ボート操縦してたお兄さんも笑ってました。




お前は笑うな



実は、

ぼくは海に着水したと同時に物凄い恐怖を味わってました。


なんと、着水した場所は足が付く深さだったんです。


金具外して飛んでたら、




割とヤベェ事になってたと思われます。




その恐怖と、興奮と、ボートのお兄さんの笑顔にムカついたのとで、思わずぼくは口走ってました。



「今のはなし、もう一回飛ばせろ」



と。


楽しかったなぁ、パラセーリング。


タダで2回乗れたし。




シュノーケリングは、鼻が痛かった。それだけです。




さて、全然「神」の話が出て来ないので、ここら辺で登場させたいと思います。




バリ島は、365日お祭りがある島です。



※ウブド王宮王族葬儀


観光で成り立ってる島ということで、そこら中物売りだらけではありますが、彼らにはちゃんと元締めが居て、観光客に高めに売ってその利ざやが儲けになる仕組み。


ビジネス感が半端なく、コーラを1000円で売ってきます。


レートは忘れましたが、だいたい物価は日本の5分の1くらい。


彼らもコーラを5000円で売ることにはちゃんと気付いてる訳です。


ちょっとした罪悪感はあるから、ちょっと値引き交渉すると半額くらいにはなります。


「観光客は金持ちだから、これくらいお金もらってもいいじゃん」


という感覚なのかもしれません。




実はこの罪悪感は、神様に対しての罪悪感らしく、悪い事をすると地獄に落ちると本気で信じてると聞きました。



365日祭りをやってる人々。「神様は居る」というのが生まれた時から大前提なのでしょう。



島を観光地化されビジネスの世界に巻き込まれ、価値観をねじ曲げられながら「神の存在」に葛藤しているようにも見えました。




神様が見てるよ




この一言で、タクシー料金がその島の物価レートまで下がるのは、そういう事なのかなぁと。

しかし、それでは生活が成り立たない。



こんな厄介な神の存在に、彼らはどう思ってるんだろう。



ぼくらは、日本という国で生まれ「資本主義」の価値観で育ってきた。

幸か不幸か、神様という存在は正月の初詣くらいしか日常に出て来ない。

今の幸せは神様ではなく、自分の頑張りのおかげ。

今の不幸は神様ではなく、自分の怠惰のせい。


信心深い方を除いて、大体そう感じながら生きてるはずです。


バリ島の住人達は「神」という存在を普段から意識して生活をしている。


しかし、だからこそ良心を保てるし、死を受け入れられるし、例えパラセーリングで事故が起きても、誰も傷つかなければ「笑顔」でいられるんじゃないかと。


ぼくは、たぶんこの先も「無神論者」として人生を送ると思います。


それは「神」という存在を信じるとか信じないとかではなく、


常に自分に嘘をつかずに生きていこうと思ってるから。


神に感謝とか、祈るとか、そういう環境で育ってないのに、自分以外の「誰か」に生き方の選択を委ねたくないというのもあります。

そういう意味では、ぼくは自分の中に神がいます。


「オマエならどうする?」


と、いつも聞いてくるので、ウザイです(笑)


バリ島の旅で少しだけ神について考えた事は、神が居るのか居ないのかではなく、神という揺るがない「絶対」を、自分の中に置くか外に求めるかの違いだけなんだなと思いました。



バリ島はとても美しい島です。


島の住人達は笑顔が素敵で、ウソが付けない純粋な人が多いように感じました。

二カ月くらいヴィラに滞在する外国人も多く、物価も安いし、メシも美味い。高層の建物は無く、景色もいいし、サーフィンも有名です。


この島が、観光地として栄える理由は山ほど有ります。




しかし、




何故かぼくは、彼らにこれ以上サービス提供に力を入れないで欲しい、

と思ってしまいました。




日本人の様な、過剰にサービスを求めてくる人間に応えるには、

もっと「神」と葛藤しなければならないだろうから。




願わくばこの先も、例えパラセーリングが落下しても、笑顔で居てくれる人々であって欲しいと、心から願ってます。


パラシュートが絡まった、あの女の子は元気かなぁ・・・





最後まで読んで頂き、


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