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14/12/11

渋滞とコース変更に泣く 〜青春の京都学生ガイドクラブ〜

Image by Olia Gozha

バスガイドをやっていて、一番困ること。それは渋滞です。


観光旅行で来られているお客さまは、スケジュールに沿って行動されています。例えば、お帰りの新幹線の時間が決まっている場合は、その時間に間に合うように駅にお送りしなければなりません。


でも……。観光シーズンにつきものなのは、渋滞。渋滞に引っかかって、見積もった時間よりも余計に時間がかかってしまう場合は、何としてでも調整しなければなりません。


下車地毎にどれくらいの時間で見学できるかというだいたいの目安は頭に入っているので、どこをショートカットすれば時間短縮できるか、説明はどのくらいコンパクトにできるか、瞬時に計算して行動します。


お客さまを急がせるわけにもいかないので、歩くスピードは変えずに、こっそりショートカットしたりします。


見学時間の調整でも難しい場合は、バスのルートを変更します。


通常、京都の観光バスは、なるべく車窓からの風景をお客さまに見ていただけるようなルートで走行しています。そのために、実は、観光バスではあまり通らないけれど、最短ルートが存在したりするのです。(その代わり、車窓はあまりおもしろくありません…。)あまりに渋滞が激しい場合、この「ショートカットコース」を通ったりするのです。


とは言え、高雄や大原など、桜や紅葉の名所は、そもそも走行ルートが1本しかないところにバスが集中してしまうので、ピークの週末等は、普段は15分くらいで行ける距離を1時間かかった…というような話もザラにありました。


桜や紅葉を見に来るお客さまに「渋滞がすごいので、行けません」というワケにはいきませんので、無理矢理でも行きます。


渋滞地獄は、お客さまも疲れてしまいますが、動かない車窓を見ながら延々としゃべり続けなければならないガイドも、かなり大変です。


同じ時間話すのであれば、動いているバスの中で話す方が、よっぽどラクなんですよ。


もうひとつ、とても困ること。それは突発的なコース変更です。


もっとも、修学旅行の場合はコースがガチガチに決まっているのが当たり前なので、こんなことは滅多にないのですが、一般団体さんの場合は、お客さまのご希望に合わせて下車地を変える…ということは、珍しくありません。


中には、コースが変更になっているのに、旅行会社からの連絡がなくて、当日行ってみたらコースが変更になっていて「え、そこに行くんですか!?」ということもあります。(ちゃんと事前に打ち合わせはするんですけどね……。)


様々なコースのガイドを経験して慣れてくれば、多少の変更くらい、どうってことありません。地方から来られている慣れていない添乗員さんやドライバーさんには、ガイド側からおすすめ観光地や、走行ルートを提案することもありました。


ところが…デビューしたてのひよっこガイドが、「コース変更」に当たってしまうと、もう大変です。


わたしが聞いた中で、一番激しかったコース変更は、小学生の修学旅行で「奈良観光を終えてから京都の宿へ国道24号線で行く」というルートが、「奈良から京都へ行く途中で宇治平等院を見学し、宇治川ラインで京都へ」というルートに変わったという話です。


宇治平等院は、京都と奈良の中間にあるので、下車地としては珍しくないのですが、その後の「宇治川ライン」というのは、宇治川沿いを大津に抜けるルートです。


自然豊かで、景色はとても良いのですが、目立った対象物はありません。京都へ行くのにも大幅な遠回りになりますので、普通、宇治から京都に行くだけのルートでは使いませんし、まして修学旅行では使いません。「小学生の修学旅行」用のガイドしかできない新人には、当然、ネタなどありません。


デビューしたてで、わたしの同期は、こんな難易度MAXのコースに当たってしまい、半泣きになったそうです。新人のうちは、先輩と一緒のキャラバンで乗務し、終わった後は反省会で、様々にダメ出しを受けるのが常でしたが、このときばかりは、先輩は彼女をいたわったそうです。

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