はじめに~宮沢章夫「彼岸からの言葉」を借りて~
自分がこれから書く文章は、「統合失調症患者」からの言葉だ。
自分は、今も現役で「統合失調症」を患っている。この本著を通じて、
「統合失調症」と言うのはどういうものなのか?医者からの見解ではなく、
発症している「現役」患者からのメッセージを伝えていきたいと考えている。
宮沢章夫のマスターピースエッセイ「彼岸からの言葉」の表紙は、
黒い線の向こう側で、子どもが、「お~い!」と叫んでいるような絵である。
自分も、「お~い!統合失調症患者がここにいるよ~!」と叫びたくて、この本の執筆を始めている。
統合失調症は、怖いものだ。統合失調症とは、恐ろしい病気だ。だから、ならないようにしよう。
身近にそういう人が居ても、見て見ぬふりをしよう。そう思う人もたくさんいるのではないだろうか?
今、「ギクリッ!」と胸をわしづかみにされた人に、是非読んでもらいたい。
かく言う自分も、そっち側の人間だった。「統合失調症」って、なんか怖いな。近づくと怒鳴られたりするんじゃないか。ぶん殴られるんじゃないか。半分当たっていて、半分不正解。
判定員は見事「統合失調症」のタイトルを獲得いたしましたくわばらかずやと申す、
ちょっと変わった、職ナシ、彼女なし、実家暮らしの26歳男子だ。
幼い時から、「統合失調症」の気配は感じていたが、ある一定の時まで、
医者にはぐらかされて生きてきた。
医者から母親のいる前で「くわばらさんは統合失調症です」と言われたのが、2014年の5月中旬である。その時まで、自分は何の病気なのか、なぜ、病院で入院しているのか、分からなかった。
この本は、一億総(躁?)ストレスフル時代において、自分はもちろんのこと、自分の大切な身近な人が、もし統合失調症などの、精神疾患に罹ったらどう対処すればいいのか。
そういったヒントのような一冊である。自分の半生を語り、反省を促している一冊でもある。
・・・あ、統合失調症患者でも、ダジャレを言うんですよ。
第一章では、幼稚園から高校生活を振り返り、「統合失調症」の前兆となる気配を思い出して書いていく。
第二章では、波乱万丈だった、大学生活を書いていく。この時も、確実に病状は悪化の一途をたどっている。
第三章では、大学卒業後から、統合失調症によって、入院するまでのプロセスを書いていく(この辺りが一番つらかった)
第四章では、忘れ得ぬ病院生活と、そこで出会った人々との生活を、手記みたく書いていく。
第五章では、この本のテーマである、「統合失調症」のイメージを覆したいという思いを前に出し、働くことをドクターストップさせられた自分の楽しみ方と過ごし方をドキュメンタリータッチでお伝えする。
おわりにでは、「統合失調症」ぐらいでビビってんじゃないよ!と背中をぽんと触ってあげる内容になっている。「統合失調症」は、確かに精神疾患の一つではあるが、自分は、この病状を武器にして、この本の執筆が出来ている。「ふたつよきことさもないことよ」と言った、河合隼雄のように、いい事の裏面には悪い事がくっついている。だったら、悪い事の裏面を見つめ直そうじゃないか。自分は、それを声を大にして言いたい。
それでは、彼岸まで行かずに、「現役」統合失調症患者の叫びが、読者に届くことを、自分は、悲願している。(あ、またダジャレ言っちゃった!)


