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14/12/7

フィリピン人の彼女と会って5日で婚約して結婚しなかった話 - (6)ファミリー

Image by Olia Gozha

リポビタンDのCMみたいに、

谷底に落ちかけていた自分の手を

引っ張りあげてくれたのは、

空港警察のお巡りさんだった。

私は、ひとり頭500ペソ×5人で

2500ペソをお巡りさんにチップとして渡し

彼女と一緒に、ニノイアキノ空港を

飛び立った。


Closeしていたチェックインカウンターを

無理やりこじ開けて乗せてもらったので、

彼女との席もバラバラになり

まともに会話ができたのは、

ダバオの空港に降りてからだった。


ダバオ空港のロビーで

やっと彼女と向き合ったとき、

なぜか違和感を感じた。

そして、マニラで彼女を

探し出せなかった理由がやっとわかった。

「ピンクのキャミソールにデニムのショートパンツで迎えに来るって言ったよね?」

「うん。」

「今なに着てる?」

「ボーダーのTシャツにGパン。」

「ピンクのキャミソールにデニムのショートパンツは?」

「だって、寝坊しちゃったから・・・」

「ぶっとばすぞ!」

「えへへ」

何はともあれ、予定通り!? 

ダバオに着いた。

そして、真っ先に向かった場所は、

彼女のケータイを預けた質屋だった。


初めてのダバオ・・・

初めてのフィリピンの質屋・・・

めでたく彼女のケータイを取り戻し、

予約していたホテルに着いた。

滞在期間は、5泊6日の予定だった。


部屋で荷物を降ろして、

改めて彼女と向き合った。

知り合って1年、

Webカメラ越しでは

何度も顔を見てはいたけど、

実物を目の前に居るとなると、

やっぱり緊張する。

「はじめまして」

「こちらこそ」

「日本にいるとき、あなたが言ったこと覚えてる?」

「覚えてるよ」

「実物を見てみてどう?」

「気持ちは同じだよ」

「そっか」

彼女がいいと言うのなら、

日本とフィリピンの

遠距離恋愛でもいいと思った。

滞在日の最後にもう一度、

同じ質問をして気持ちを

確かめることにした。

「おなかすいたね」

「おぉ、もうこんな時間か。じゃあ、夜ご飯のおかずを買ってから、あなたの家に挨拶に行こうか?」

ホテルからタクシーを拾って

ホテルと彼女の家のちょうど中間にある、

CenterPointという市場に向かった。

旅番組でよく出てくる典型的な

アジアの市場といった雰囲気だ。

無造作に置かれた、肉、魚、野菜、

活気のある店員の声。

なかなか、いいところじゃないの!

買ったおかずを両手にぶら下げて、

再びタクシーに乗り

いよいよ、彼女の家へと向かう。


気難しい人たちだったらどうしよう。

でも、日本から来た友達が

「お世話になります」と挨拶に来る程度だし

そんなに堅苦しくなることもないだろうと

思っていた。

タクシーの窓から外を眺めると、

道はだんだん細くなって

辺りの景色も徐々に暗くなっていく...

「着いたよ!」

ホテルからトータル40分ぐらいの

タクシー移動。

車を降りればもう真っ暗で

足元も良く見えない。

細い路地をどんどん歩いていく彼女。

「ここがうち」

「えっ!今日ってお祭りかなにか?」

「なにもないよ」

「この人だかりって?」

「あ~、あなたが来るって言っといたから、日本人は滅多に来ないもん」

「あははは、どーりで7人家族にしては、おかずの量、多いな~と思ったんだ・・・」





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