top of page

14/12/7

フィリピン人の彼女と会って5日で婚約して結婚しなかった話 - (5)踊る大捜査線

Image by Olia Gozha

フィリピン人の出迎えの集団を

目の前にしてはっきりと認識した、

ここは外国なんだと...

彼女に会うという目的があったから

多少のリスクに関しては、

無意識に目をつぶっていたと思う。

気温30度のマニラで冷静になって、

少し寒気がした。

タイムリミットは2時間、

ヤバいかもしれない...


まてよ!?

冷静になって思いついた!

彼女も自分を探しているはずだ!

自分が1/500を探すより、

彼女が1/1を探す方が早いだろう...

私は、出迎え集団の近くにあった

灰皿の横でタバコに火をつけ、

なるべく、”日本人1人”だと言うことが

解るようにした。

(本当はタバコが吸いたいだけ)

「Are you Japanese? オニイサン、ニホンジンカ?」

そして、私を見つけてくれたのは、

空港警察のお巡りさんだった...アヒャヒャ

そりゃそうだ。

彼女を探すために、

辺りをキョロキョロ見回している日本人1人。

どう見ても、挙動不審だ...

お巡りさん「あなたひとり?大丈夫?観光?(片言の日本語)」

自分のこれまでの経験上、

こういう時に変に取り繕うと

かえって話がややこしくなる。

ここは正直に

自分が置かれている状況を話そうと思った。

「あいむ、るっきんぐふぉー、まい、がーるふれんど。(片言の英語)」

お巡りさん「お~、彼女いるの?彼女はどこ?」

「あいどんのー。あい、ぷろみす、みーてぃんぐ、ひあ。ばっと、のっと、みーと、ふれんど。」

英語はできません。

でも、伝わるもんだね~

不思議とお巡りさんがしゃべっていることも、

なんとなく理解した。

以下、私の推測でお伝えします。

お巡りさん「彼女は、どこで待っているの?」

「決めてないよ。探せばわかると思ってた。」

お巡りさん「それは大変だね。でも、彼女はケータイ持っているだろう?電話すればいいじゃんか!番号知ってるんだろう?出してみろ、おれが電話掛けてやる。」

「いや、あの、その、えっと・・・」

彼女は、飛行機のチケットを買うために

ケータイを質屋に入れた。

だから、電話をかけても無駄だ。


という英語を話せるはずもなかった。

(質屋って英語でなんて言うの?)

そうこうしているうちに、

お巡りさん仲間が集まりだした。

お巡りさん「よー、この日本人、彼女探しているみたいなんだけど、何言ってんのかよく解らないんだよ。」

お巡りさんB「なにそれ、面倒くせーなぁ。大丈夫なのか?」

お巡りさんC「おまえら、何やってんだよ?」

気が付けば、

お巡りさん5人ぐらいに

取り囲まれている自分...

お巡りさん「なぁ、お前の彼女の名前はなんて言うんだ?」

私は、とっさに

マニラからダバオ行きの彼女のEチケットを

カバンから取り出し、名前を指差した。

お巡りさん「○×□○×□○×□○×□」

なにやら、仲間内で

お話しをされてる様子。

お巡りさん「彼女の見た目は、どんな感じだ?」

出発前夜、

Skypeで見せてもらった服を説明した。

「ピンクのキャミソール」に

「デニムのショートパンツ」

お巡りさん「しょーがねーなぁ。おい、お前フロア1を見てこい。お前フロア2を探せ。お前インフォメーション行って館内アナウス頼んで来い。おれは、こいつと一緒に探すから。」

「えっ?」

こうして、彼女の大捜索が始まった。

汗だくになって空港の端から端まで

歩き回って彼女を探し続けた...

しかし、気が付けば時計は、

15:00を指そうとしていた。

もう、時間がない。

乗り継ぎの飛行機に間に合わない。

一緒に探してくれたお巡りさんも、

あきらめ顔だ。

お巡りさん「お前これからどうするんだ?このままマニラに残るのか?それとも、飛行機に乗ってダバオに行くのか?そろそろ、決断しないとダメだ。もう、あきらめろ・・・」

やっぱりダメなのか...

決断しなくてはならない...

「わかった。飛行機に乗るよ・・・」

マニラに残っても、

彼女に会える保証はなかった。

でも、自分がダバオで泊まるホテルは

彼女に伝えてある。

やみくもに動くより、

確定している予定に従った方が

連絡は取りやすいと思ったからだ。

お巡りさん「そう、気を落とすな。気持ちはわかるよ・・・」

結局、彼女は見つからないまま

ローカル線のチェックインカウンターに向かう。

カウンターは既にCloseしていたが

お巡りさんが話をつけて

無理やり開けてもらい

なんとかチェックインできた。


それからセキュリティゲートまで歩いて、

カバンを預けた。

えっ?靴も脱ぐの?

解ったよ、脱ぐよ...

ゲートを通り抜けてカバンを受け取った。

「おれ、1年越しで騙されてたのかな?」

そんなことを思いながら、

脱いだ靴を履いているときだった。


ゲートの向こう側で、

お巡りさんが何か叫んでる。

そーいや、ほかのお巡りさん達にお礼、

言ってなかったな...

お巡りさん「おい!お前の彼女って、こいつか?」

「そいつだぁ~~~~~」

「居たぁ~~~~~」

あるんだね、ドラマみたいなことって。

「よかった、やっとあえたね。」

(二人抱き合う)

ー 完 ー


いやいや、完じゃないってば...

お巡りさん「おまえなにやってんだ!早く彼女のチケット出せ!」

「えっ!あっ!はい!」

お巡りさん「彼女!早くしろ!走れ!」

「待ってよ!」

「良かったぁ会えないかと思ってたよ・・・」

「あのさ、お巡りさんがチップくれって・・・」

やさしいお巡りさんたち、ありがとう...


PODCAST

​あなたも物語を
話してみませんか?

Image by Jukka Aalho

高校進学を言葉がさっぱりわからない国でしてみたら思ってたよりも遥かに波乱万丈な3年間になった話【その0:プロローグ】

2009年末、当時中学3年生。受験シーズンも真っ只中に差し掛かったというとき、私は父の母国であるスペインに旅立つことを決意しました。理由は語...

paperboy&co.創業記 VOL.1: ペパボ創業からバイアウトまで

12年前、22歳の時に福岡の片田舎で、ペパボことpaperboy&co.を立ち上げた。その時は別に会社を大きくしたいとか全く考えてな...

社長が逮捕されて上場廃止になっても会社はつぶれず、意志は継続するという話(1)

※諸説、色々あると思いますが、1平社員の目から見たお話として御覧ください。(2014/8/20 宝島社より書籍化されました!ありがとうござい...

【バカヤン】もし元とび職の不良が世界の名門大学に入学したら・・・こうなった。カルフォルニア大学バークレー校、通称UCバークレーでの「ぼくのやったこと」

初めて警察に捕まったのは13歳の時だった。神奈川県川崎市の宮前警察署に連行され、やたら長い調書をとった。「朝起きたところから捕まるまでの過程...

ハイスクール・ドロップアウト・トラベリング 高校さぼって旅にでた。

旅、前日なんでもない日常のなんでもないある日。寝る前、明日の朝に旅立つことを決めた。高校2年生の梅雨の季節。明日、突然いなくなる。親も先生も...

急に旦那が死ぬことになった!その時の私の心情と行動のまとめ1(発生事実・前編)

暗い話ですいません。最初に謝っておきます。暗い話です。嫌な話です。ですが死は誰にでも訪れ、それはどのタイミングでやってくるのかわかりません。...

bottom of page