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14/12/10

雑誌を作っていたころ(42)

Image by Olia Gozha

座談会


「開業マガジン」の創刊が目前に迫ってきた。発売日は1998年3月30日。隔月刊だから、すぐ次の号が5月30日に控えている。おまけにそちらは、ゴールデンウイーク進行だ。ゴールデンウイーク進行というのは、印刷所が連休になるために〆切が早まることを指す。通常は1週間くらい早くなる。同様に、お盆進行や年末進行という編集者にとってはゾクっとする言葉が業界には存在する。


 といっても、この雑誌に関してぼくのやることはあまりない。零細プロダクションにしては贅沢なほど人がいるし、ぼくは講談社から出るVICSのムックにかかりっきりだったからだ。

 そんなある日、編集長の大浦くんから声がかかった。特集の一環として座談会をやりたいのだが、メンバーを集めるあてがないのだという。ぼくはニフティで「ビジネス創業フォーラム」のシスオペをやっている佐久間裕幸(通称「ひろさん」)さんに相談した。

 ただちに話がまとまり、「お礼はビール+ラーメン」というお約束で6人の座談会が挙行された。佐久間さんは公認会計士だが、あとの5人は司法書士、コンサルタント、会社役員という内訳だ。

 記事のタイトルは「特別座談会 独立のプロによるフリートーク式レクチャー 開業するなら株式会社/有限会社/個人事業どれが得か?」。カラー4ページを使ったこの企画は、神楽坂の出版クラブの一室を借りて収録された。


 この座談会は「開業マガジン」の2つの連載を生んだ。佐久間さんとコンサルタントの多田さんによる記事である。多田さんという人はコールセンターの専門家で、歯に衣着せぬ言動が痛快なアクの強い御仁だ。マイミクの南風さんやハギワラさんがよく泣かされていた。ぼくも何度か絶交されている。

 ぼくは座談会に絡んだだけだったが、「開業マガジン1号」の編集は順調に進んだ。何しろ気心の知れた仲間で作っているのだから、苦しいが楽しい。事務所は毎日お祭り騒ぎだった。広告は800万円近く集まり、とりあえずの結果は出せた。

 奥付を見ると編集スタッフは何と14名。「月刊太陽」でもこんなにはいなかった。青人社を逃げ出した人々が新天地を求めて結集したためだが、悠々社がメイフラワー号になるのか、ノアの箱船になるのか、それともフライングダッチマン号になるのかは、天のみぞ知るといった状況だった。


 ぼくはこの号の編集後記に次のように書いている。

●昔だったら「偉い人」と思われていた人たちが、連日、逮捕されたり辞任したり自殺したりしています。これはわが国の社会に「変わりなさい」と天がメッセージを寄越しているのではないでしょうか。サラリーマン社会を捨て、独立してビジネスを始めなさい、と。本編集部も心底そのように思います(山)


 今、その第1号を手に取ってみると、反省点が山のように見える。文字詰まりすぎ、記事載せすぎ、ビジュアル要素少なすぎ、役に立たないお遊び記事多すぎなのだ。創刊誌がてんこ盛りになるのは一般的な傾向なので仕方がないともいえるが、これじゃだめだ。

 もしも昔に戻って、もう一度「開業マガジン」をやるとしたら、おそらく人に任せず自分で作っていただろう。スタッフは2名くらいで。零細企業なのだから、それが身の丈に合っている。実際、約2年半後に、「開業マガジン」はその通りの状態になるのだが。


「開業マガジン」初期のロゴ



後期のロゴ



第1号特集座談会の原稿(冒頭部分)。入稿時のものなので、誤記がある

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Image by Jukka Aalho

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