top of page

14/12/2

初海外で世界一周!初日にロサンゼルス空港でパスポートを無くした話

Image by Olia Gozha

▼前回のあらすじ

TOEIC350点、貯金無し、今までパスポートすら作ったことの無かった大学生が実費0円で世界一周した話。

成田空港で後輩に見送られながらフライトに乗る。初海外で世界一周をするなんていうチャレンジャーな人はどのくらいいるのだろうか。もう世界一周航空券は購入してるし、150万円の期待を背負っているので、もう後には引けない。緊張で鼓動がどきどきしている。飛行機に乗るのも中学の修学旅行で沖縄に行ったとき以来だ。そんな不安とは裏腹に、定時にフライトは離陸した。



ANAの機内サービスはおそらく僕の世界一周で使う航空会社のどこよりも勝っているだろう。日本以外の航空会社を利用したときに、日本のおもてなし文化の凄さをまじまじと見せつけられた。CAが日本人であるのは、このあと帰国する直後のソウル→成田だけでしばらくない。機内で見れる映画を物色していると、アナと雪の女王があった。これからは英語を使わなければいけないから、今更だが英語で字幕無しで見た。当然ながら全く理解出来ないので、いつの間にかうとうと眠りについてしまった。


起きるとまもなく到着するというアナウンスが聞こえてきた。12時間のフライトなのに、着陸したら出発した時刻よりも前の日時に戻るのはすごい違和感だ。誕生日の日にアメリカに飛行機で行ったら、日本とアメリカで2回誕生日を祝ってもらえるだろうとかそんなバカらしいことを考えていると、いよいよロサンゼルスについた。海外に立っている自分の様子が全く予想出来なかったが、今、現にロサンゼルス空港に立っている。機内で入国審査カードとやらを受け取った。その記入事項の英語が全く理解出来なかったので、全然埋められなかったんが、大丈夫だろうか。それに重大なことに気づいた。英語で住所の書き方が分からない。あと、ロサンゼルスが何州にあるのかが分からない(かなりアホ)。まあこんなことが分からなくても、たかが外国に入国するくらい雑作も無いことだと思っていた。


しばらく歩くと『IMMIGRATION』と書かれたゲートが見えてきた。見るからにいかつそうな黒人の入国審査官が観光客を睨んでいる。当初、本気で入国審査というものを知らなかった。そんなもの無しで入国出来ると思っていた。日本語は話してくれるのだろうか・・。と淡い期待を持ちながら並んでいると、いよいよ自分の番に回ってきた。



黒人の入国審査官「What’s the purpose of your visit?How long will you stay in this country?」

こんな簡単な英語を話しているのに、全く理解が出来なかった。それに、正しい住所の書き方が分からなくて、かなり怪しまれた。大ピンチだ。

ユースケ「I can't speak English....」

こう言うしかなかった。

黒人の入国審査官「You should stand in line again!!」


と言われる始末。その次に並んだゲートでも同じようなことを言われる。見かねた入国審査官が日本語が話せるスタッフを呼んできて、なんとか日本語で伝えることが出来た。

ユースケ「今学生で世界一周をしているんです。」

入国審査官「学生で?そんなこと出来る訳が無い。金はどうやって集めたの?」

こんなことにいちいち正直に答えてたら怪しまれるに決まってる。と思い、とりあえず当たり障りの無いことを言って、なんとかやり過ごす。入国審査をやっとの思いで通り抜けて、いよいよ外に出ることが出来た。


これが海外の空気かー。外国人いっぱいいるな。てか俺が外国人だよ。そんなことを自分にいちいちツッコミを入れている。人は不安になると独り言が増えるのか。とりあえず空港を抜けることが出来たので、事前に調べたルートで宿に向かうことにする。まずはセントラルステーションに向かうためバスに乗らなければならない。なんとかスムーズに乗ることが出来た僕は、「なんだ、案外簡単にいけんじゃん」とか少しずつリラックスしてきた。窓から写るロサンゼルスの景色は本当に新鮮なものだった。道路標識が全部英語だ。そんな当然のことにいちいち驚く。




しばらくするとバスが停車した。どうやらセントラルステーションに着いたようだ。バスから降りて、背伸びしたときにふと重大なことに気づく。


パスポートが・・・無い。


頭が真っ白になり、顔が真っ青になった。出国前に色んな人から言われたことが脳裏を駆け巡る。

「パスポートは命の次に大事だから絶対無くすなよ!」


海外に着いてからたったの2時間で無くしちゃったけど、俺どうなっちゃうの!?!?


様々な方からの期待を背負い、世界一周に出たが初日にパスポートを無くして、緊急帰国。「お前、もう帰ってきたの?」とあざ笑う人々が頭の中に浮かぶ。頭の中に色んなことがぐるぐるぐるぐる回り、もう立ち直れないほどに精神がズタボロだ。

ユースケ「とりあえず宿に戻って、どうすればいいか考えよう。」

うだうだしても何も状況は変わらないので、電車に乗って宿に向かった。



ロサンゼルスの地下鉄は単純明快だった。日本の地下鉄の分かりづらさに比べたら、幼稚園児でも分かるほど簡単だ。色んな人種が混じり合うこのロサンゼルスの街ではその誰でも理解出来る単純さが重要なんだろう。リトルトーキョーを過ぎた辺りで、電車から降りた。地上に出たときのあの感覚は今でも忘れられない。ロサンゼルスの郊外の空気感が何とも説明しがたい ザ・アメリカ!という感じ。道に迷いながらもなんとか宿の看板を見ることが出来た。


宿に着くとスタッフの人が話しかけてきた。

宿の人「もしかして斎藤さんですか?」

「名前なんで知ってるんですか?」

宿の人「さっきANAから電話があって、パスポートが落ちてたから取りにきてって言ってたわ。あなたバカだねえ。」

奇跡が起きた。空港でパスポートを無くしてまさか見つかるとは全く予想出来なかった。入国審査カードでしっかり宿の住所や電話番号を書いておいて良かった!!


後日、ロサンゼルス空港に向かいパスポートを引き取ることが出来た。もう二度とこんなことにならないように、首からいつもパスポートをぶら下げることにした。

僕の旅は初日が一番のピンチだった。今でも忘れることは出来ない出来事・・。

PODCAST

​あなたも物語を
話してみませんか?

Image by Jukka Aalho

急に旦那が死ぬことになった!その時の私の心情と行動のまとめ1(発生事実・前編)

暗い話ですいません。最初に謝っておきます。暗い話です。嫌な話です。ですが死は誰にでも訪れ、それはどのタイミングでやってくるのかわかりません。...

忘れられない授業の話(1)

概要小4の時に起こった授業の一場面の話です。自分が正しいと思ったとき、その自信を保つことの難しさと、重要さ、そして「正しい」事以外に人間はど...

~リストラの舞台裏~ 「私はこれで、部下を辞めさせました」 1

2008年秋。当時わたしは、部門のマネージャーという重責を担っていた。部門に在籍しているのは、正社員・契約社員を含めて約200名。全社員で1...

強烈なオヤジが高校も塾も通わせずに3人の息子を京都大学に放り込んだ話

学校よりもクリエイティブな1日にできるなら無理に行かなくても良い。その後、本当に学校に行かなくなり大検制度を使って京大に放り込まれた3兄弟は...

テック系ギークはデザイン女子と結婚すべき論

「40代の既婚率は20%以下です。これは問題だ。」というのが新卒で就職した大手SI屋さんの人事部長の言葉です。初めての事業報告会で、4000...

受験に失敗した引きこもりが、ケンブリッジ大学合格に至った話 パート1

僕は、ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジ、政治社会科学部(Social and Political Sciences) 出身です。18歳で...

bottom of page