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14/11/27

Noriko

Image by Olia Gozha

私にだって名前がある。

親がつけてくれた名前。

お父さん、お母さんの名前を一文字づつ取ってつけてくれた名前だ。

日本にいた時は、私は典子という名前の一人の人間だと思っていた。

それが今は、あのアジア人、あの日本人の英語の下手なやつ。

初対面でちゃんと名前で

呼ばれたのなんて何回あっただろうか?

優しくされるのも、いつもお決まりの

展開が待っていた。

いつも、いつも、いつも同じだった。

明らかになめられていた。

バカにされていると思った。

あたしは、中国人じゃない、韓国人じゃない、アメリカ人でもない。

典子だ。

優しくて、僕も日本語学びたいんだ。と行って近づいてきたニューヨーカーの男。何回かカフェで話した。

ある日待ち合わせが、とあるビルだった。なんでここで待ち合わせ?と聞くと答えない。

オフィスに案内された。

なんか変な感じがした。

あたしすぐ行かなきゃ行けないからっと言って逃げた。

密室に二人。明らかだった。

自分が、情けなくて、悔しくて泣いた。

久しぶりに自分の事をバカだと思った。

泣きながら、最近自分から別れを告げた相手に頼りたくなった。

こんな時もいつも仕事を優先するような奴だった。約束は普通にキャンセルするし、都合いい時だけ連絡がくるようなやつだった。わかってても、そいつが一番居心地が良かった。

自分の事を久々にバカで軽率な奴だと思った。すこしでも信じた自分がバカだった。

悔しさだけがこみあげてきた。。。

ニューヨークにきて何度も常識とかマナーとか知らず、馬鹿だったらどんなに良かっただろう。と思った。

マナーもクソもない、この場所で。

バカになれたら、バカだったらよかったのに。そしたら、もっと楽に生きれたのに。泣きながらSOHOを歩いた。

人目なんか気にならなかった。

あたしは、典子だ。

アジア人、日本人て名前じゃない。

Norikoだ。絶対に這い上がってやる。

汚い、汚れたこの街で。

覚えてろよ。

気が強いアジア人をビッチと呼んだやつら。みてろ、今にみてろ!!!

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