これは私が大学を卒業して一年後に素人ながら発案から
わずか1か月後にイタリアンダイニングバーを脱サラ開業した物語です。

22歳の起業決意
「10年くらい全力で働いて、実力をつけて、資金をつくって、起業してBIGになる!!」
そう決めて入社したこの会社。
入社前は期待でいっぱいだった。
4畳半に二人暮らしの学生寮に住むほど貧乏学生だった私は、お金に困らない裕福な暮らしを思い描いていた。
楽しみで仕方なかった。
ところが実際就職してみると現実の社会の厳しさに直面する。
給料は悪くなかった。
でも、大学時代の奨学金の返済、車のローンや住宅費という支出の多さに勤めてから気が付いた。
計算が甘かったのである。
社会人=お金がある
そう思っていたため、生活費のことなど考えもしていなかった。
勤務時間が長いため、バイトもできない。
お金がない・・・
国立大学を出て、ストレートで就職したのに、
毎日スーパーの半額弁当を食べている自分。
惨めで仕方なかった。
生まれてこの方、貧乏しかしたことがない。
そういう運命なのか?
貧乏人の子は一生貧乏なのか?
半額の弁当を食べながらいろいろ考えるようになった。
そして自分の将来についても本気で考え始めた。
10年後本当に起業できるのか?
10年後?つまり32歳?
もう30代かー
上司の姿が将来の自分の姿だとはよく言うが、
30代の周りの社員は家計も仕事もたいへんそうだった。
朝早くから夜遅くまで愚痴をこぼしながら仕事をし、
それでも裕福な感じは全くなかった。
成果主義でもないこの会社。
自分もこの人たちみたいになるのだろう。
10年で開業資金を本当に貯められるのか?
30代になれば、結婚・出産・親の介護・・・
そんなことも考えないと!
え?もしかして、それなら10年後は今より起業するんたいへん!?
背負うものは年々多くなる。
32歳の自分はそれでも本当に起業するのだろうか?
家庭やお金のせいにして夢を諦めて、
そこらへんのおっさんになってしまうのか?
なりそう・・・w
え?もしかして、今が起業の絶好のタイミング!?
私はふとそう思った。
今しかない?
背負うものも少ないし、失敗してもまだ22歳!
泥水啜って這い上がればいいか!!
このままここにいても10年後も一緒!
とりあえず22歳でいきなり社長になったら何かみえてくるはず!
よし!!起業してやる!!!!
運命のパートナー
奥野「みんな会社辞めたいんやろ?みんなで起業しよ♪ww」
5人の同期新入社員の愚痴大会の中で提案してみた。
「いいねー」
「起業しよっかー」
いつものみんなの適当な軽いノリ。
でもこの男は違った。
三木「起業かー」
真に受けている。w
実はこの男、「三木」は大学時代の寮の同室で、4畳半に2人で住んでいた「相方」である。
別にお互い友達が他にいないわけでもないが、
なぜか寮以外でも学部もサークルもバイトも同じで、まさかの就職先も同じだった。
保守的で堅実な彼は起業とは程遠い、公務員を目指して勉強していた。
三木「やってみるか!」
なぜか乗ってきたこの男の一言で、私の起業熱は一気にヒートアップした。
奥野「よっしゃ!!脱サラで会社を興す!起業や!!」
でも、何する?(笑)
起業したいという思いだけで何のアイディアもない・・・ww
更に2人とも貯金はほぼゼロ!w
新入社員だから何のスキルも経験もない・・・
ど田舎勤務のため、会社の人以外に人脈もない・・・
何もない!!!w
私たちは笑えるくらいに何もできなかった!
「っで、どうしよかー?」
こんなところから極秘で行われた毎日の起業の打合せがはじまった。
というよりも何ヶ月も毎日この同じセリフを言っていた。
全然決まらない事業内容
奥野「ネットビジネスいいやん!資金要らんし!」
私は中古で輸入販売の本を買ってきた。
思いついたら中古で100円の本を何冊か買ってくるのが私のビジネス提案である。w
確かにすごい!ノーリスクで300万円になる!
一瞬盛り上がった。
でも
具体的に計画していくにつれて三木のテンションが下がっていった。
三木「俺、人と接する仕事がしたいわ。」
私はハッとした。
折角会社から独立して好きな仕事ができるのに楽しくなければ意味がない!
2人がやりたい仕事であることが第一条件だ!!
私はそこを忘れかけていた。
でも、好きな仕事か・・・
考えれば考えるほど、自分がよくわからなくなった。
そうだ!自己分析しよう!!
就活で覚えた自己分析という技。
何が好きで、何を経験してきて、何が得意か?
どういう育ち方をして、どういう性格なのか?
自分のことをひたすらお互いに語り合った。
自分の武勇伝や昔話をするとテンションが上がって止まらなくなる。
それを私はエクセルにまとめて分析した。
私は毎日1日中、その分析したものを常に頭の片隅におき自分と本気で向き合った。
学生時代に戻りたい!
2人の楽しかった思い出は学生時代だった。
何とかもう一度あの楽しかった学生時代に戻れないかな・・・
意味のわからない妄想。
でも、この時私は閃いた!
あった!
何もない私たちに一つだけ誰にも負けない強みがあった!
大学卒業して1年しか経っていないということ!
つまり、
『大学生とのパイプと大学生の感覚』
これだ!
1年しか働いていないことは短所ではなく、長所!
大学3回生以上は後輩だし、大学生がどんな生活を送っていて、
何が人気で、何を求めているのかなんて手に取るようにわかる!
そうだ!母校をターゲットにビジネスを展開すればいいんだ!!
「三木!!!!!」
そこで思いついたのが、
山口学生のためのコミュニティーサイト
(後のエイスパの原型)http://agentspider.jp
学生の生活の役に立つ、地域情報やお店情報、学校の情報などを集めたポータルサイト
学生の運営員会を立ち上げて、学生と一緒に運営するという企画。
これなら楽しく、稼げる!!
2ヶ月間、仕事帰りに集まって、独学でサイトをつくり、コンテンツを作り続けた。
でも、収益を計算していて大きなことに気が付いた。
貯金ゼロで奨学金などの支払いがあるからすぐに2人分の給与が出せないと暮らせない!!
どう計算しても初月から大きな利益を出すのは無理だった。
泣く泣く断念。
ここまで準備してきたのに・・・
やぱり起業なんて無理か。
何もない私たちに起業なんて・・・
振出しに戻り、とてつもない絶望感に襲われた。
とてつもない焦燥感。
そんな中、
飲食店でもできたらいいのにな・・・
ふとそう思った。
でも飲食店を開業するには何100万円、下手したら何1000万円もかかると思っていた私は
非現実的な妄想として終わらせようとした。
貯金ゼロの自分には無理だけど、
実際いくらくらいで開業できるんだろう?
単なる好奇心でインターネット検索をかけてみた。
賃料40万円/月
予想通り。やっぱりそれくらいか。
でも一番安いのはどれくらいなんだろう?
価格の安い順に並び替えて検索してみた。
え?家賃3万円/月?
悪立地でカウンターだけのボロボロのラーメン屋の居抜き物件だった。
アパートより安い!!
衝撃的だった。
流石にここで勝負するのは厳しいというのは素人の私でもわかったが、
そんなことより絶対無理だと思っていた飲食店に手が届く可能性を感じたことが大きかった。
探せばもっとマシなのがあるはず!
それを工夫すれば何とかなる!
脱サラのラーメン屋とかよく聞くし資格関係も何とかなるはず!
飲食店だ!!
「三木!!!!」
そこで思いついたのが弁当屋!
これなら立地も関係ないし、狭くても大丈夫!
母校の寮や会社に配達すればビジネスになる!
絶望からの閃きに2人のテンションは最高潮だった。
でも・・・
1日で気が付いた。
楽しくないし、単価が安くて儲からない。
またもや絶望・・・
やっと見えた希望の光も一瞬で見えなくなった。
待てよ!ボーナス!
今度のボーナスを2人分合わせればもっと金出せるぞ!
それなら、趣味のイタリアンができる!
イタリアンならターゲットは女子大生!!ww
これは絶対に楽しい!!ww

