友と語るものは、時に僕を連れてゆく
在りたい僕の姿でも、成りたい僕の姿でもない場所へ
彼らのせいではないだろう
彼らは彼らなりの成りたい姿があるだろうし、
僕が本当に成りたい姿など、知る由もないからだ
時と呼ぶものは、僕を置き去りに去ってゆく
在ろうとした僕の姿は、成りたい僕の姿は先にゆく
時のせいではないだろう
時は時間という概念であるだけで 進むわけではない
僕自身が 時を進め 在りたい姿を置き去りにしているだけだ
ある日 僕は夢に見た ウルトラマンになることを
ある日 私は夢に見た セーラームーンになることを
ある時 僕は夢に見た サッカー選手になることを
ある時 私は夢に見た お花屋さんになることを
明くる日 僕は夢に見た ロッキーになることを
明くる日 私は夢に見た シンデレラになることを
僕は 僕という一番の友の声に 耳をふさぎ
見知らぬ誰かの声に 耳を傾ける
僕は かつて憧れた 在りたい自分に目を背け
悦楽と快適さ 一時の処方箋に手を伸ばす
パンチを避け続け、最終ラウンドまで逃げるロッキー
月に代わることなく、生活に埋もれるセーラームーン
費用対効果を考える、サッカー選手やお花屋さん
使命を忘れ、自己中心的なウルトラマン
王子様探しに躍起なシンデレラ
僕の物語なんて映画になんてなりゃしない
まして墓場で笑顔に死ねるかわかりゃしない
ギャップ に鏡すら歪むバスルーム
今からウルトラマンになれるだろうか
今からシンデレラになれるだろうか
今からサッカー選手に、お花屋さんに、ロッキーに、セーラームーンに
夢をあきらめることは大いにある
成りたい職業に、未来に成るともかぎらない
だが
自分を諦めることは大罪
土台の無い家は建たない
基軸の無い人間だって立てやしない
文字通りヒーローにもヒロインにも成る必要なんてない
しかし
どの道を選ぼうが、今どの道にいようが
かつて憧れた、成りたいと願った姿
その姿であろうと日々努めることはできるはず
誰もが どこででも 今すぐに
今日僕は ロッキーになるだろう
ロッキーとして、明日の仕事に、生活に立ち向かう