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お弁当の残りのミートボールを一粒、野良の黒猫に与えると、先に親猫が おそるおそる食べ、半分くらいかじった後、そばに居る子猫に与えていた。
自分が食べるのさえままならないのに。
ある朝、車に巻き込まれ死んでしまった親猫の横に、弱々しく鳴きながら寄り添う子猫が居た。
明日をも知れぬ日々を、寒い世界でみんな生きている。
守ろうとしても、守られると信じていても、明日のことは誰も知らない。
物の価値は変わり、在るものは潰れ、頼みもしないのに死は、突然やってくる。
有限の繰り返しを、ただ積み重ねただけの歴史。
愛がどんなに美しく、あたたかくても。
そんなことを考えてた十代の頃。
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