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14/10/5

神さまありがとう第9回

Image by Olia Gozha

                 ~あまりに素直すぎ??~




 発達障害者・自閉症の人は、ことばを額面通りに受け取ってしまうとは、よく言われます。

確かに、わたしの子どもの頃を思い出しても、あり得ると自分でも納得できます。

その良い例を1つ。

 小学校3年を過ぎた頃から、自転車の習い方を学校で教わるようになりますよね。

わたしは、体育が大の苦手。バランス感覚が、不特定多数の子どもよりもかなり悪かったし、運動神経もかなり鈍かったのを覚えています。第一、運動会は、ほとんどびりでした。従って、自転車も、他の子どもはとっくに操れるようになっていたのに、わたしはあいもかわらず、自転車を抱き起こす時さえ、誰かに手伝ってもらっていたような有様。

 ある時、父から「自転車はな、転んで覚えるもんだ」とアドバイスされました。

「な~るほど、転べばいいんだ、簡単じゃ~ん!」と言ったかどうかはさだかではありませんが、とにかく「転ぶ」がしっかりインプットされたわたしは、その時から、すさまじい自転車実習を、1人で、近くの高校の玄関前広場を利用してスタートさせました。

あ、当時はのんびりした時代でして、学校は地域内でも極めてオープンな場所でしたから、中学校でも、小学校でも高校でも、門は一年中開放されてました。

 さすがに校内に侵入はできないものの、学校の玄関前の広場は、近所の子どもの遊び場になっていたのです。


上村「いい時代だったな~」

 それはさておき・・・・その時は、まだ”両手で、体をささえる”という発想が身についていなかったのと、とにかく「転ばないとうまくなれない」と信じ切っていた事とが重なって、わたしは自転車にひとまずまたがり、坂道を猛烈な勢いで走り・・・・

 というより、滑り落ちながら、コンクリート地面に、思いっきり全身をぶつけながら、転びまくりました。

 当然、コンクリートに顔が当たれば、相当痛かったはずなのですが、「うまくなるのだ」という執念で、ほとんど痛みを痛みとして感じる感覚も鈍くなっていたと思います。

・・・いや、やっぱり痛かったな~^^;

 集中力とはかくもすさまじきなりき・(^_^;)

 全身打撲、傷だらけ、おまけに時たま、階段を自転車ごと転げ落ちてはまた転び・・・この繰り返しで毎日学校から帰ると、すぐ高校に飛びだしていくこと数日間・・ついに自転車操縦をマスター。

 どこへでもすいすいと乗れるようになった時の達成感は、最高の気分でした。

 ただ、父も母もなぜか、一度もほめてくれませんでした。

 全身傷だらけ、血まみれで帰宅した時の、父のひと言にまたまた「??????」

 「顔だけは傷つけないように気をつけなさい!」

 そのひと言で、急に顔を背けて、わたしをまともに見ようとしませんでした。

 わけわからないのはわたし・・・・

 だって、「転んでうまくなれる」と教えたのは父なのに・・・・。

 だから一生懸命転んだのに・・・・。

 父は転べとは教えても、「怪我をしない方法」は説明してくれなかったのです。

 自閉症のお子様をお持ちのおとうさん、お母さん、ちゃんと最後まで説明をしてあげてくださいね。

説明ができないなら、せめて自転車の練習につきあって、見本を示してあげてください。

そうすれば、わたしは、こんな失敗はきっとしなかったはずです。

 相手のことばをそのままにしか受け取れない事は、時には命にもかかわりうるという例でした。

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Image by Jukka Aalho

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