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14/9/30

神さまありがとう第3回

Image by Olia Gozha



 学校では激しいいじめが、家では鬼のように怖い母が待ち構えている、たったひとりの心の支えであった金おばさんは病気で"奪われる"といったいくつもの苦しみに翻弄され、少しずつ心と体がオーバーヒートを起こしていきました。

 わたしは小学校高学年を迎える頃から、ストーカーを行うようになりました。ちょっとでもやさしくされると、そのやさしさがうれしいと感じるのと同時に、相手への強い執着心がわき起こり、視線が相手からはずせなくなるのです。丸一日じーっと見つめられた相手は、当然ながらわたしをうす気味悪がって、そばへ近づかなくなりました。

 金おばさんが亡くなってまもなく、いっときおさまっていた両親のけんかは再燃しました。しかも以前よりもさらにパワーアップして。

 子供の前でも露骨にののしりあい、殴り合いを繰り返すようになりました。夜中になると「殺してやる!」という父の怒鳴り声と、部屋中をどたばたと駆け回る足音が夜通し聞こえてくる・・・。

 かわいそうなのは小さい妹です。毎晩隣の部屋でしくしくなきながら、じっと耐えていたようです。

 わたしは情緒不安定がひどくなっていたので、妹を守ってやる力は残っていませんでした。

 やがて中学生になると、頭の中に「死にたい」という思いと妄想が網羅するようになり、さらに体にも異変がおきていました。

 体内から"体液"が流れ出てきて止まらなくなったのです。服をびしょびしょにするほどにほとんど一日中流れていました。それでついたあだなは「しょんべんたらし」。

 そうして、すれ違う人たちがまるで汚いものを見るように遠めで見て過ぎてゆく・・・。通り過ぎる際に「こいつきちがいだよね」と話しているのも聞こえました。

 小学校時代から、学校から「お嬢さんを専門家(精神科)に相談したほうがいいですよ」と何回も打診があったにもかかわらず、父が出した答えは”みっともない”という言葉と無視でした。

 父が特別アクドイ人だと思いますか?

 現在、全国に何万人いるかわからない”ひきこもり””不登校”児童に対して、お父さん、お母さん、思い当たることありませんか?

 もしも親が子供の将来よりも世間体を大事にするようになったら、そこまでは思わないにしても、子供のことは親の責任、自分たちで解決しなければと強い”思い込み”にこだわっているなら、その子供たちは、ずっと暗闇でたった一人で声のない、けっして届くことのないSOSを出し続けるのかも・・・。

 わたしは自力で暗闇から這い上がるしかなかったのです。もう誰も助けてはくれないのだと理解していました。

 でも自力で這い上がる余力があるうちは、神様はまだ動いてくれません。

 徹底的に自分が無力であること、人はけっして頼りにならないことを知る必要がありました。

 わたしは小さい頃から子煩悩だった父が大好きでした。母よりも父になついていました。それがまた母には気に入らなかったのですね。

 体への暴力は言葉の暴力へ変わっていきました。

 高校に入る頃父は不動産業を始めていました。それがうまく軌道に乗り始めたおかげで、わたしたちは少しずつ裕福になっていきました。

 そうしてまもなく、父に愛人ができ、さらに子供ができ、それが夫婦の険悪な関係に油を注ぐ形になりました。

 わたしは年齢を重ねるごとに大人の事情が見えるようになると、父や母に対して反抗的になっていきました。

 父や母をののしり罵倒することもありました。父も母も大嫌い、自分を受け入れてくれない両親を許すことができず、”殺してやりたい”と思ったこともあります。

 でも心のどこかでは、両親がわたしを見捨てるはずもないという甘えもあったと思います。

 そうして神様と出会うことになります。


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