☆滅ぼし物語☆2期
第1章
魔王を倒してから4年の年月が流れ、少年だった頃のソルはすっかりたくましく成長していた。季節は何度も巡り、ユーリとミナのことを忘れかけてきていた。そうして5年目の春が過ぎ去り夏が訪れた。今日も暑いが快晴だった。友達を家に招き入れてお話しをしていると押し入れにしまってあった剣が輝き始める。
この物語は不思議な世界に再び入りこんだソルが過去を旅するストーリーである。
1話(変わらぬ朝)
ソルは魔界に連れ去られた時は12歳だった。しかし魔王を倒してから4年の年月が過ぎて16歳となり、少年だった頃の面影がなくなってたくましく成長している。
⏳7:15
(コツコツ)
ドアを叩く音とともにソルの母、アミィが部屋に入ってくる。
アミィ「起きて、学校遅刻するよ」
ソル「ふぁぁぁ」
あくびをしながらベットから起きると制服に着替え始める。
アミィ「パン焼いといたから食べてから学校に行ってね」
ソル「わかった」
アミィはそう言い残すと部屋を出ていった。数分後、ソルは制服に着替え終えるとベットの近くの窓をガラリと開けた。
ソル「今日も暑いな」
天気を確認したところで素早く部屋を出て歯磨きや顔洗いをする。
⏳7:32
アミィ「早く。時間がなくなるよ。あとお弁当は玄関に置いといたからね」
ソル「わかった」
テーブルの上に焼いたパンがのった皿があった。ソルは急いでパンを完食してからお弁当をカバンの中に入れて家を出た。
1話 完
2話(学校への道)
家を出たソルは歩いて駅に向かう。そう、電車に乗るのだ。
⏳7:40
(タッタッタッタッ)
ソル「暑い、駅はあともう少しだ。」
5分程歩き続けてソルは駅に到着した。駅名は川沢駅、その由来は駅の近くに大きな川があるからと単純なものだった。
ソル「ふぅ、間に合った」
改札を素早く通って丁度止まっていた電車に急いで乗り込んだ。
⏳7:50
アナウンス「7:52分より発車します。」
ソル「ふぅ」
ほっと一息ついたソルは吊り革に捕まって発車を待った。2分が過ぎると電車は動き始めた。
2話 完
3話(学校到着)
電車は加速しつつ次の駅に向かう。ソルが降りる駅は川沢駅から1つ先のところの天野沢高校前駅だ。
(ガタン、ゴトン....)
電車は揺れつつ無事に天野沢高校前駅に着いた。
⏳8:10
ソル「まだ時間に余裕があるな、学校は8:30分からだし」
駅の近くにある大きい時計台を見て時刻を確認すると駅を出た。天野沢高校は歩いて10分程のところにあった。
(タッタッタッ)
ゆっくりと歩きながら学校を目指す。汗がでる程いつも暑いが今日は風が涼しい。
⏳8:18
ソル「あと少しだ」
駅から歩き始めて8分が経過して天野沢高校が見えてきた。その時、ソルの後ろの方から声が聞こえてくる。
???「おーい待ってくれよー」
ソル「ハルトか・・・、おはよう」
ハルトは学校で一番の友達だ。ソルはいつも楽しい学校生活がおくれているのはハルトのおかげだと思っている。
ハルト「ハルトかってなんだよ」
ソル「すまん、すまんw」
ソルとハルトは楽しく会話をしながら天野沢高校に到着した。
3話 完
4話(チャイム)
⏳8:25
ソルは高校に進学した頃は戸惑いながらもしっかりと出来ていた。ハルトはクラスメイトでもあり、友達でもあった。
ソル「教室に着くぞ」
ハルト「そうだな」
そういって教室に入っていくと他にクラスメイトが18人いた。ソルとハルトは素早く席に着いて荷物の整理をした。
⌛️8:29
ソル「あ、始まる」
(キーンコーンカーンコーン....)
チャイムの音が混じる中、ソルは小さな声で呟くとともに先生が教室に入ってきた。
先生「えー、いまから出席を取る。・・さん、・・さん......」
少しざわついていた教室も先生が来るとさすがに静かになる。出席を取り終えるとともにすぐ授業が始まると告げて教室を出ていった。
4話 完
5話(授業)
先生が教室を出た直後にまたざわざわしてきた。余程暑いのか、クラスメイトのほとんどはうちわで顔へと風をおくっている。
ハルト「すぐに授業かよ、嫌だなぁ」
ソル「俺も同じく」
⌛️8:35
軽い話を続けているとすぐに先生が再び教室の中へと入ってきた。
先生「じゃ、国語の授業を始める、教科書の.....」
面倒くさいと思いつつ、ソルは普通に授業を受ける。他のクラスメイトも大半は同じような感じだった。
*********
先生「では、国語の授業を終わる。」
国語が終わってから数学と理科が続いた。理科の授業が終わった頃には既に昼過ぎだった。
5話 完
6話(授業終了)
昼休みになり、外の中庭でソルとハルトは一緒にお弁当を食べた。今日のお弁当は冷凍食品が多いから母にはなにかしら用事があったのだと感じた。
ソル「昼休みももうすぐ終わりだな」
ハルト「休み時間は何故かいつも早く終わるよな」
ぶつぶつと言いつつ教室に入っていくと午後の授業が始まった。
**********
(キーンコーンカーンコーン...)
先生「じゃあ、帰りのホームルームを始めるぞ」
チャイムの音とともに帰りのホームルームが始まる。今日は先生からの話しはなく、いつもより早めの下校となった。
先生「さようなら」
クラスメイト一同「さようならー」
朝からのきつい暑さはすっかりなくなって日がゆっくりと沈んでいくのがわかる。帰りのホームルームが終わってソルとハルトは学校を出た。
6話 完
7話(下校)
ソルとハルトは学校を出てから楽しく会話をしながら天野沢高校前駅へと歩いて向かう。駅に着くと改札を通り駅のホームへと移動する。数分待つと電車がやってきた。
ソル「じゃあ、電車に乗るぞ」
ハルト「あぁ」
ちなみにハルトもソルと同じ川沢駅だった。電車に乗車してからも話しが途切れることはなかった。
アナウンス「川沢駅に到着〜」
車内のアナウンスを聞いてソルとハルトは電車を降りた。
ハルト「ソルは家に帰ってからも暇?」
ソル「そうだけど・・・」
ハルト「なにもないならお前ん家行っていいか?」
ソル「なんでだよw」
川沢駅を出て、ソルとハルトはソルの家に向かった。ハルトの家はソルの家にほとんど近い場所にあって、帰りはいつも一緒に帰って来ている。何故か登校の時はソルよりいつも遅く来るのだが。
ソル「まぁ、あがって」
ハルト「お邪魔します。」
家に到着すると、ソルはハルトに入るよう促した。毎日ではないが暇な時はいつもこんな感じだ。アミィは外出中らしく、家にはいなかった。
ハルト「お前の部屋に行くぞ」
ソル「おいおい、少しはまてよ」
ソルは靴を素早く脱いでハルトとともに部屋の中に入った。窓は開けっ放しにしていたので涼しげな空気が漂っていた。
7話 完
8話(あの時の剣)
部屋の中に入ったソルとハルトはそれぞれカバンを部屋の隅に置いて腰を降ろした。
ハルト「お前の部屋きれいに片付いてるな」
ソル「まぁ、週2回掃除してるし」
部屋には本棚やベットなどが目立つように置いてある。要らない物は全て押し入れにしまってあるため、部屋はスッキリとしている。
ソル「・・・ハルト、なにもすることがないから俺が12の時に体験したことを話そうか?」
ハルト「何それ?聞きたい!」
ソルは魔界に連れ去られたところから魔王を倒したところまで話した。ハルトは唾をゴクリと呑みながら話しを集中して最後まで聞いてくれた。
ハルト「悪い夢だったんじゃないの?そんなことありえないよ」
ソル「じゃあ、やっぱり夢だったのかな?」
ハルト「そうだよw」
その時、押し入れの奥にあった剣が鈍い音を立てながら光を放った。
(ガタガタガタ....)
ソル「押し入れになにかいるのか?」
ソルは押し入れの奥へと進んで光っている物を掴んだ。
ハルト「なにそれ?」
ソル「剣だよね・・・?」
光を放ち続ける剣はソルになにかを思い出させるかのようだった。
8話 完
9話(光の扉)
ソルは12歳の時のことを剣を掴みながら鮮明に思いだした。
ソル「ユーリ・・・元気かな?」
ハルト「わかんねぇ、ちょっとその剣貸して」
ソル「あぁ、いいよ」
ハルトはゆっくりソルの持っている剣に触れた瞬間に太陽が消えた。部屋は暗闇に包まれつつも剣だけが光を放っていて明るい。
ハルト「なに?なに?!」
ソル「落ちつけ!大丈夫だ・・・多分」
ハルト「多分ってなんだよ!!」
剣の光は少しづつ消えていく。それに続くように太陽が元に戻っていき、部屋が再び明るくなる。
ハルト「・・・・なんだったんだ?」
ソル「・・・・・・・」
いきなりの出来事に言葉を失った。その場を動かないソルとハルトの目の前に扉らしきものが光を放ちながら現れた。光の扉はゆっくりと開いていくとともにソルを不思議な世界へと招こうとしている。
???「過去の物語・・・何故か動き始めてしまいました。だから、再び終わらせて下さい。ソル、貴方に私の過去を任せました。」
ソル「・・・フィリニアだよね?」
ハルト「え、お前誰と話しているんだ?」
扉からの声はハルトには聞こえないらしく、不思議そうに扉を見続けていた。
9話 完
10話(再び不思議な世界へ)
部屋の中は静かな雰囲気に包まれている。ソルは扉に入ろうとして動きだした。
ソル「じゃあ、行くか・・・」
ハルト「ちょ、まってくれよ」
ソルが剣を持って先に入っていく。ハルトは戸惑いつつも後に続くように入っていった。
フィリニア「ありがとう。では、こちらでも少しサポートはしますのでよろしくお願いします」
(タッタッタッタッ)
扉の中はトンネルみたいになっていてそれを進んで出口を目指していく。
ソル「ハルト、ついてこなくてよかったのに」
ハルト「なに言ってんだ。友達だろ?」
ソル「あぁ、そうだった」
短い会話をしていると出口が見えてきた。トンネルの中は光に包まれているのでなんだか暖かい感じだ。
ハルト「出口が見えるよ」
ソル「あ、本当だ」
トンネルの中を進み続けてどのくらいだろうとハルトは心配していた。ハルトはソルと出口を抜けると草原らしき場所に辿り着いた。
10話 完
11話(動きだした過去の時間)
草原には花がたくさん咲いていて見惚れてしまうほどだった。
ソル「さて、これからどうしようかな?...持ってきたのはこの剣だけなんだけど」
ハルト「マジかよ」
ソル「そうだけど・・・じゃあハルトはなにか持っているのか?」
ハルト「聞いて驚くなよ。俺は・・・・・・なにも持ってない」
ソル「聞いて損したわ」
草原に着いた時は草と花しか見えなかったソルとハルトだったが、だんだん道らしきものうっすらと見えてくる。
(カチッ!)
大きな音が草原に鳴り響く。その直後にゆっくりと風が吹いてソルの髪が揺れた。
ソル「ハルト、お前なんかやったのか?」
ハルト「いや、違う。」
うっすらだった道ははっきりと見えるようになるとソルとハルトは話しをしながらその道を歩き始める。
(タッタッタッタッタッ)
ソル「とりあえず街を探そう」
ハルト「わかった」
過去の物語は動き始めた、これからどんなことがあろうとも進んでいくことをソルは心に誓った。
1章 完