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14/8/16

中学の頃、包丁男に軟禁されてトラウマを持った僕が大学で全国模試1位を取るまでの軌跡⑤

Image by Olia Gozha

女が警察とやりとりをしている。


何て話しているかわからないが、とにかくやりとりをしている。


このやりとりが意味するのは、「冤罪での逮捕」の可能性。


何度も繰り返すが、冷静ではなかった。


そして、一瞬の隙を見て女に飛びついた。


電話機をぶっ壊そうと、なりふり構わず飛びつき、投げた。


冷静さはない。


そこには正義感なんてのもない。


そこにあるのは「生」か「死」か。


15歳の僕にはそんな感覚でしかなかった。


電話の途中の携帯を壁に投げつけ、


踏みつけ壊そうとしたが、壊れない。


そうこうしているうちに、案の定A氏の怒号が僕に向かって鋭くとんできた。


再び、僕はA氏に掴まれた。


床に転がる電話からは虚しく


「もしもし、大丈夫ですか?大丈夫ですか?」


と警察官の声。


(大丈夫じゃねーよ。)


と叫びたかったが、A氏の怒号の恐怖からまた声が出なかった。


女が


「もう最悪なんだけど。ほんと最悪。」


と怒る。


しかし、なぜか警察官との会話を続けずに携帯を切り、僕に怒りの矛先が向かった。


今思えば、これが不幸中の幸いだった。


あのまま警察官と電話を話し続けていたら......


僕は、たぶん違う人生を送っていたのかもしれない。


本当にゾッとする。


その後、女からはたぶん激しい口調で「正論」じみたことを色々言われたと思う。


でも、目の前にいる、それも見たこともない女から、


冤罪をふっかけられそうになっている。


そんな女から「正論」を言われたところで、わけがわからない。


冷静になればそう思う。


ただ、その時の心理状態としては、わけがわからないことの連続で頭がおかしくなっており、


涙ながらに「すいません、すいません」と謝りながら聞いていたと思う。


気づけば、2時間以上経過していた。


もうPM7時くらいだった。


僕の家は、結構厳しい家だった。


どこかに行くにしても必ず連絡をしていた。


それでいつもだいたい7時に夕食を食べていた。


7時過ぎて帰らないと母親から何かしら連絡がくる。


いつも、そんな感じだった。


当時プリペード携帯を所持していたのだが、それがポケットに入れたままの状態だった。


警察へ2度目の電話だけは是が非でも避けなければいけなかった。


今、目の前で女がまだ怒っている。


この間に何かしないと。


気持ちだけが焦っていた。


しばらくして、ポケットの中の携帯が鳴った。


母親からの電話だ。


でも、A氏に掴まれているため出れない。


気づかれてはいないが、出れない。


出れない。


出れない。


出れない。


出れない。


人間の心理はホントによくわからない。


こんな状況で、母親の存在がものすごく尊い存在だと気付かされた。


当時、反抗期で母親には相当キツくあたっていた。


しかし、そんな母親は毎日変わらずに僕を心配して電話をかけてきてくれる。


そんなことを思うと涙が止まらなかった。


もう、かっこ悪いとか、


プライドとか、


女の2回目の警察への電話とか、


A氏に包丁を首にあてられ続けているとか、


そんなこと関係なく、母親への感謝と謝罪の念が頭の中を支配していた。


「お母さんありがとう。ごめんなさい。」


人間の心理は本当にオモシロイ。


これは、一種の逃避反応だったのかもしれない。


死ぬ前に見える走馬灯みたいなものだったのかもしれない。


そんな状況でよくそんな感情になったものだと今でも思う。


その後、2-3回母親から電話が鳴ったが虚しくバイブが鳴り続けるだけで、何もできなかった。


しかし、


この後、一気に形勢が逆転する出来事が起こる。

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