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14/8/8

僕と彼女の遠距離物語~クローバー~⑥

Image by Olia Gozha

9月のデートのときだったか、彼女が例外なくオープンキャンパスのため岡山に来たときのことだった。

いつもならバスで岡山に来るのだが、今回は電車で来ることになっていた。


僕は彼女に…




「駅の東口…つまりお前の専門学校があるところの噴水のところで待ち合わせ」




というメールをしていた。


僕としてはそこに行くつもりは全くなかった。


午前10時17分、岡山駅のホームに松山発岡山着の電車が到着した。

彼女が乗っている電車だ。

僕はホームで彼女を待っていた。


少しでも長く一緒にいたいと思う気持ちと、彼女を驚かせたいという気持ちが交わって出来た行動だった。

そしていつものように手を繋ぎ駅を出て、天満屋ハピータウンで買い物をし彼女を自分の部屋へ案内した。




岡山駅からタクシーに乗って僕の家に向かった。



とりあえず来た証を残すために、二人でゆずの「センチメンタル」を録音した。

僕はギターをしていて自作曲も多少なりともあるためそれを残せる機材が欲しく8万5千円したMTRを購入していたのだった。




今思い出したが、僕がMTRを持っているので僕がギターとゆーじんパートを唄い、それを録音したものを彼女に送り彼女は岩ちゃんのパートを録音してあわせたものを聞いていたこともあった。

付き合う前のことだった。




その日僕は彼女に手料理を振舞った。

正確には振舞ったというほどのものではない。


この日より前に彼女からそれが食べたいということを聞いていたので朝の早くから調理をすませていた。


その料理とは「チキンライス」だった。





いつもなら「チキンライスの素」みたいなものを使って済ませるのに意気込んでしっかりと作った。


彼女は美味しいと言って食べてくれた。


正直、すごく嬉しかったのを覚えている。

たぶん、クールに気取っていたんだろうけど彼女は嬉しがっていることを見通していたのだと思う。


10月のデートは特殊なものだった。

2日連続で逢えるデートとなった。


なぜそうなったのかだが、彼女が受験のために岡山に来たからだった。


岡山に来たとき彼女は彼女の友達と一緒だった。


しかしその友達は6月の最初のデートのときにいた友達ではなかった。




その友達が泊まるデートまで一緒に行動し、そのあとデートが始まった。


デートコースはLOFTへ行ってからご飯を食べてジョイポリスへ行くというプランだった。




ジョイポリスではプリクラを撮った。

そのとき使ったプリクラは制限時間のないもので、


ちょっとした密室でもあるので長い間お互いの唇を求め合った。




そのあとのプランはホテルに戻って面接練習だったが、急遽近くにあるネットカフェに向かった。


目的はゆずの「リボン」のDVDを見ることだった。

しかし、画面にはゆずが映るものの僕らは見てはいなかった。


さきほどのプリクラのこともあり、ここでも二人は唇を求め合った。




ネットカフェを出ると外はもう秋風が吹きつけて寒く感じるほどだった。


そのあとホテルのロビーで面接練習みたいなことをした。


彼女は自分で作った面接対策ノートを見ていた。それとペンを借りた。




「訂正するところがあったら俺が書いておく」




そう言って彼女からノートを受け取った。


しかし僕の中ではそれが本当の目的ではない。


彼女の目に届くところに…




「受験がんばって!!!応援してるから!!!めっちゃ頑張れww」




とこっそり書き込んで彼女に返した。


彼女はノートを見渡しその部分を見つけ…




「もぉ(照 でも、ありがとう」




と言った。そのあとホテルの部屋に行った。


1時間ほどして部屋をあとにするが彼女の寂しそうな目は今でも僕の脳裏を離れない。




翌日朝一で彼女のホテルの前で待ち、近くの珈琲館で時間をつぶした。


そしてそのあと友達と合流し、岡山駅東口にあるミスドで昼ごはんを食べて彼女は戦場へ行った。




それから2時間ほどたっただろうか。


彼女から受験が終わったことをメールで知った。


そして彼女の友達が気を利かしてくれたのか二人きりにさせてくれた。


そして短い時間を慈しみながら過ごして彼女は帰っていった。




数週間後彼女から合格したことを教えてもらった。


これで彼女は来年から岡山に住むことが決まった。 


遠距離恋愛も終わりに近づいているように思えた。

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