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14/7/30

ひたすら間違いを起こす人々と罰する神の話

Image by Olia Gozha

旧約聖書を読む。


ユダヤ教の神ヤハウェは怒り、罰する神であるらしい。有名な話だけでもこれだけある。


罪 アダムは「知恵の実」を口にする

罰 神はアダムとイブをエデンの園から追放する


罪 カインは弟アベルを殺害する

罰 神はカインを一生「地をさすらうもの」としてしまう


罪 人々は堕落した生活を送る

罰 神はノア以外の人々を大洪水によって滅ぼす


罪 人々は天にも届く高い塔を作ろうと試みる

罰 神は塔を打ちこわし、人々を「ことば」によって分かつ


罪 人々は貪欲と情欲に身を落とす

罰 神はソドムとゴモラの街を焼く


罪 モーゼが山に入っている間に人々は偶像を崇める

罰 怒り狂ったモーゼは罪を犯した者3000人をことごとく切り殺す

  (十戒のひとつ「汝、殺すなかれ」はどこに行った?)

  その後、イスラエルの民は40年間荒野をさまよう


罪 サウルは王になった後、傲慢なふるまいを繰り返す

罰 神はサウルを見放し、彼はペリシテ人との戦いに敗れ命を落とす


罪 ソロモン王は異教徒の女性を妻に迎え、異教の信仰を許す

罰 イスラエル王国は分裂し滅ぼされ、バビロンに70年間捕らわれる 


ユダヤの民は何度罰せられようが、(人間らしく)性懲りもなく罪を犯す。


しかし、その一方で罰に怯え、律法に縛られ常に精神的緊張にさらされながら生活を送るのがユダヤの人々である。マックス・ウェーバーはプロテスタンティズムの厳格さのルーツの一つを中世スコラ学を経由しこのユダヤ教に求め、さらに彼はユダヤ教徒と古代ヒンドゥー教の比較にまで遡り、ウパニシャッド哲学に辿り着く。


この、罰に怯え、律法に倦んでいた人々を愛によって赦していったのがイエス・キリストである。


イエスは決して罰せず、片っ端から人々を赦していった。


罪人、娼婦、業病に冒された人々、これからの人々こそ真っ先に赦され、愛され、神の国に足を踏み入れる権利を持つものだと説いた。そして、人々が冒した罪、そしてこれから冒すであろう罪の一切を背負って十字架に架けられた。


だから、人は生まれながらに神に愛され、赦されている。


これがカトリックが説く「愛(アガペー)」の教えである。ピンとこない人は遠藤周作の小説を読めばよくわかる。


はっきりいって僕にもよくわからない部分はある。


が、生まれながらに誰かに愛され、赦されているという感覚を心のどこかに持つことは、素晴らしいことだと思う。無条件に愛されること、赦されることによってもたらされるこころの平安。これは素晴らしいものだろうということぐらいはわかる。


資本主義という世の中の仕組みを「わかろう」として、遡り、これ以上遡れない(つまり、文字による記録がない)ところで突き詰めてしまうウェーバーの執念。


彼の著作を読むと彼自身、まったく「赦されてない」感じがする。禁欲的プロテスタントである厳格な母親に育てられたウェーバー。母とは対照的に享楽的な生活を送る父。そして、家長として父を追放する決断を下すウェーバー。追放後、旅先で亡くなった父。


・なぜ、人は「厳格」でなければならないのか?

・「厳格さ」の根源はどこにあるのか?

・「厳格さ」はいつ、どのように生まれのか?

・「厳格でなかった」社会とはどのようなものだったのか?


精神を病みながらも「厳格さ」を貫き通した彼が対峙せざるを得なかったこのテーマ。その凄まじさが著作の行間から滲み出ているような気がする。


閑話休題


東南アジアの孤島とか、山の中とか、ど田舎に忽然と、しかしひっそりとあらわれる瀟洒なコテージとか、ダイブショップ。だいたい、ドイツか北欧系のオーナーと現地の奥さんとの共同経営。便利さと自然の豊かさの絶妙なバランス、そしてセンスが光るくつろぎの空間。


以前はなんでドイツ系かと不思議だったが、今はわかるような気がする。


あのー、


僕にはまったく厳格さのかけらもありません。でも、そんな自分が大好きです。こんな僕でもイエスは愛し、赦してくれるんだろうと思うとなんだかいい気分(無宗教の僕の頭上にもイエスのアガペーは降り注いでいるはず)。


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Image by Jukka Aalho

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