(前回のあらすじ)
私自身が現地調査へ行っていないことに
今更ながら気がついた。
現地でたまたま出会った管理人さんから
引越し先を仲介したと思われる
不動産会社の情報をゲットした!
行き詰まった状態からの急展開。。。
そして、ついに「Cherokee」との再会。
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ストーリーを組み立てながら、
あんなにお人よしそうな「奥様」がなぜ
夜逃げに近いような事態を起こしたのか
よく理解できなかった。
お金が無いというわけでもなさそうだし、
急に仕事でトラブルが発生したとも
考えにくい。
仕事の段取りや指示もしっかりしていた。
なのに・・・やるせない思いばかりが
つのっていた。
悩んでいても仕方がないので、
とにかく、まずは引越し先を早急に
突き止めることが最優先であった。
ストーリーはなるべく単純に
組み立てるほうが、怪しまれないはずだ。
そうなると、管理人さんに説明
したような感じで、旦那宛にどうしても
届けたい荷物があるという
運送会社を装った内容が良さそうな気がした。
しかし、内容は単純でも
シチュエーションを作らないと
ボロが出そうな気がした。
そこで、万全を期すために一度自宅へ帰り、
運送会社風の服装を思わせるように
ベージュのチノパンとTシャツに
着替え、タオルを首に巻いた。
軍手をはめて小さなダンボールを
小脇に抱えて、自転車で改めて
現地へ向かったのだ。
そして、現地から不動産会社へ
電話をした。
私:「あ、●●さんにどうしてもお届けしたいお荷物があって今現地に来たのですが、お引越しされているみたいで、管理人さんがこちらの連絡先を教えてくれたんですけど。」
不動産会社:「そうなんですか。」
私:「いやぁ、人から頼まれたものなんで、参っちゃったな。。。」
不動産会社:「どちらの運送会社ですか?」
私:「赤帽系列なんですよ。」
不動産会社:「そうですか。少々お待ちください。」
運送会社は聞かれると思ったので
個人経営が多い赤帽系列と
回答することにしていた。
不動産会社:「お待たせしました。●●さん(旦那の名前)宛ての荷物なんですよね?」
なぜか、旦那宛の荷物であることを
念押しされた。
私:「そうですね。●●さんみたいですね。」
不動産会社:「分かりました。では引越し先の住所をお伝えします。」
意外とあっさりと教えてくれた。
ちょっと予想外でびっくりしたが
心が奮い立った。
ついに、やった!
住所は、神谷町であった。
弊社の事務所とは目と鼻の先。
まさか、近所に引越ししていたとは、
思いも寄らなかった。
すぐに自転車で引越し先の住所へ向かった。
都心の一等地に、1戸建てが並ぶ
高級住宅地だ。
神谷町の裏手にこんな住宅街が
あるとは知らなかった。
路地を入ると、真っ先に
目に入ったのはあの真っ赤な
「Cherokee」だ。
(間違いない。)
まさか、このような再会になるとは
思いも寄らなかった。
表札を確認した。
(やはり、間違いなかった。)
現在は留守のようだ。
居たとしても、踏み込むつもりはなかった。
目的はしっかりと集金できることだから
焦って勇み足になるよりは、
冷静な対応がよいはずだ。
自宅に必ず居ると思われる
翌日の日曜日が良いかもしれないと
思った。
朝討ちか夜駆けか。
不動産会社から変に勘ぐられて
邪魔が入らないようにするためには、
できるだけ早いほうがいい。
(朝討ちしかないな。)
部下にすぐに電話をした。
私:「ついに引っ越し先を見つけたよ。」
部下:「マジですか!?土曜日に調査ありがとうございました(泣)」
私:「目的はしっかりと集金することだから、確実にいこう。明朝6時50分に神谷町駅で待ち合わせできないか?」
部下:「当然です。必ず行きます。」
私:「真夏だが、しっかりとスーツを着込んで乗り込もう!」
すんなり回収できるのか。
不安な面はあるが、
引越し先を確認できたことは大きい。
「奥様」と「旦那」は
どんな思いで我々と対峙するのか。
感情的な思いはあるが、
対立してはこちらが不利になるかも
しれない。
冷静に、下手に対応しようと
再度思い直した。
無駄な仕事も明朝で終わると
思うと気が楽になった。
しかし、まだまだ一筋縄では
いかなかった。
(つづく)