☆滅ぼし物語☆
第11章
光の村を後にしたユーリたちは魔界の暗い森に着く。森を進んで色々なことが起きるがうまく回避できた。暗い森の洞窟で一晩明かして再び歩き始めると魔王城に辿り着いた。これから始まる戦いに覚悟したユーリたちは魔王城へと足を踏み入れた。
この物語は魔界に連れ去られた少年の一生を描くストーリーである。
1話(魔王城)
魔王城に入ったユーリたちは辺りを見渡してモンスターがいないか確認をしていた。
ユーリ「モンスターはいないな」
ソル「そうだね」
魔王城は松明の光で以外に明るくて足場がはっきりとわかる。
ミナ「あそこに階段があるよ」
ミナが指を指した場所には石造りの階段があった。
ソル「本当だ」
ユーリ「じゃあとりあえず進むか」
ミナ「そうね」
ユーリが階段に向かい歩き始めると、それについていくようにソルとミナが追いかけていった。
1話 完
2話(魔王城2階)
ユーリたちが階段を登っていくとともに魔王城の一番上辺りから龍の鳴き声が突然耳に入ってくる。
???「グァァァ!!!」
龍の鳴き声で魔王城は大きく2回揺れた。突然の出来事にソルは地面に手をついてしまう。
ソル「なんだ??」
ミナ「上からだわ」
ソルとミナが軽く話しあっていると魔王城2階の小さい穴から強い風が吹き込んで松明の光が弱まっていく。
ユーリ「松明が・・・」
辺りが暗くなるのを心配をしたユーリだったが、吹き込む風が弱まると自然に松明が再び明るくなる。
2話 完
3話(魔界石)
松明の光が明るく輝きを放つ。ユーリたちは魔王城の2階を探索していた。
ユーリ「3階への階段はどこだ?」
ミナ「うーん、もっと奥じゃないかしら」
足音を立たないように歩いていたユーリたちの前に紫色の光を放つ石が転がってくる。
ソル「この石は?!」
転がっていた石をとっさに拾い上げたソルは紫色の石をじっと見る。不思議な光を放ち続ける紫色の石はソルになにかを伝えようとしている。
(逃げ・・・ろ)
ソル「?!」
石から聞こえてくる声にソルは驚いて動きが止まる。
3話 完
☆魔界石☆
説明、紫色の光を放つ不思議な石。魔界のモンスターが稀に所持している。ごく普通の人間には石を見る、触ることが出来ない。石は、死んだ人間の魂が天国に登る前に閉じ込めることができる。魂を閉じ込めた分だけ石は巨大化していく。この石をどういう目的で使用しているかは不明。
4話(伝えられた事)
紫色の石から聞こえてくる声はソルの頭に伝えられていく。
(ここに・・・いちゃだめだ。魔王が・・)
ソル「わかってる。その魔王を倒しに来たんだから」
(え・・・魔王を?!)
ユーリとミナにはソルが独り言を言っているようにしか見えない。
ユーリ「なにに話しかけているんだ?」
ミナ「わからないわ」
石から伝わる声は男の人で、間違って魔界に踏み込んでしまいモンスターに殺されてしまったらしかった。
(悪いことは言わねぇ、引き返すんだ!)
ソル「ここまで来るのに苦労したんだ、今更引き返すわけにはいかない」
ソルが男の人と会話を交わす中、少し奥の場所で扉が開く音が聞こえてきた。
4話 完
5話(迫る足音)
(ギィィィ)
扉の開く音はユーリたちを戦闘へと引きずり込むようだった。音が止むとともに今度は足音が近づいてくる。
(ガシャガシャ)
近づいてくる足音には金属音が混じっていた。ユーリとソルは剣を引き抜くと戦闘態勢に入った。
(いわんこっちゃねぇ・・・だから早く・・・)
紫色の石は次第に光が弱まっていき、ソルの手元から消えていく。
ソル「まって、まだ聞きたいことがあるのに」
ユーリ「ソル!!モンスターが来たぞ!」
ソル「悪かった。じゃ、行くか」
ユーリたちの目の前に赤いモンスターが姿を現すと槍を構えていた。槍は磨き抜かれていて光を放っている。
5話 完
6話(レッドゥゴブリン)
威圧感のある赤いモンスターはダークゴブリンの上位種、レッドゥゴブリンだった。長い槍と防具でがっちりとしていて隙が感じられない。
レッドゥゴブリン「マオウサマノシレイデ、オマエタチヲ・・・コロス」
ソル「くっ!!」
ソルはレッドゥゴブリンを知っていた。魔王城に連れ去られた時に一度話しかけられた事があったからだ。(1章参照)
ユーリ「知っているのか?!」
ソル「あぁ・・・」
ミナ「油断しないで!!モンスターが来たわ」
レッドゥゴブリンは重そうな防具を身に付けてているにもかかわらず、俊敏な動きでソルの目前まで迫ると槍で薙ぎ払うように攻撃をしかけてくる。ソルの頭に乗っていたフササ(モキュー)はとっさに地面に飛び降りた。
6話 完
☆レッドゥゴブリン☆
説明、魔界にごく少数生息しているダークゴブリンの上位種。ダークゴブリンの時に突然変異を遂げたらしく、強靭な見た目通りに攻守がダークゴブリンの3倍。人型で、武器は槍を装備。防具は鋼を惜しむことなく使った特殊な物だった。動きずらそうに見えるが実際は俊敏な動きで人間を軽々と翻弄する。攻撃方法は槍で薙ぎ払ったり、突いたりしてくる。体当たりも出来るらしく、喰らった時の衝撃はまるで銃の弾が貫通したくらいの痛さらしい。
7話(レッドゥゴブリンとの激戦「1」)
レッドゥゴブリンが槍でソルを薙ぎ払うように攻撃する。ソルは俊敏な動きに逃げる暇がなく、槍が直撃してソルは吹っ飛ばされるとともに魔王城の壁に衝突する。
ソル「ぐ・・・は・・・」
ユーリ「ソル!!」
急な痛みにソルは頭の中が真っ白になっていく。ユーリの声が微か聞こえたが、身体が言うことをきかず気を失ってしまった。
レッドゥゴブリン「テイコウ・・・スルナ」
ミナ「ソル、いま助けにいくわ」
ミナがソルに近づこうとするが、レッドゥゴブリンはそれを見逃さなかった。
レッドゥゴブリン「キサマ、サキ二コロシテヤル」
レッドゥゴブリンは槍を地面に置くと、ミナに体当たりをしかけてきた。俊敏な動きにミナは足がすくんで動けない。
ミナ「ちょっとやばいかも・・・」
ミナが小さな声でつぶやくとともに、レッドゥゴブリンの体当たりを受けてしまった。腹を貫通されたような痛みがミナを苦しめる。
ミナ「・・・・・」
ミナはレッドゥゴブリンの体当たりを受けたが壁に衝突しなくて済んだためか、なんとか立ってられた。
7話 完
8話(レッドゥゴブリンとの激戦「2」)
いまにも倒れそうなミナと気絶しているソルを見たユーリは怒りが爆発しそうになる。
ユーリ「この野郎!!」
レッドゥゴブリン「アトハオマエダナ」
ユーリは剣を握りしめるとレッドゥゴブリンに素早く近づいて剣を叩きつけるように振り下ろす。
ユーリ「うぉぉぉ!!」
レッドゥゴブリン「アキラメガ・・・ワルイ」
振り下ろされた剣はレッドゥゴブリンの腰辺りに当たったが、鈍い金属音が鳴っただけで防具に傷一つつかなかった。
ユーリ「なにッ!!」
ユーリがレッドゥゴブリンの前で立ちすくんでいると、ソルの声が聞こえてきた。
ソル「待たせたな。後は任せてくれ!」
ユーリ「え?ソル・・・なのか?」
ソルの目は青く輝きを放ち、握っている剣は冷気を放っていた。
ソル「倒すッ!!」
ソルは冷気を放つ剣を握りしめ、レッドゥゴブリンに近づいて剣を素早くX字を描くように振り下ろした。
8話 完
9話(レッドゥゴブリンとの激戦「3」)
ソルは気絶している間に誰かに話しかけられていた。
*ソルの頭の中*
ソル「なんで自分は弱いんだ。真っ先にモンスターにやられて迷惑ばかりかけて・・・」
???「そんなことはないわ」
ソル「?!」
???「貴方はけっして弱くなんかないわ」
ソル「でも、いま気絶しているんだ。」
???「貴方しかみんなを助けることは出来ないの。さぁ、早く行ってあげて。」
ソル「あぁ、わかった」
???「応援しています。フィリニアはいつも見守っています」
ソル「え?!フィリ・・・」
*********
気絶していたソルは意識を取り戻すと辺りを見渡した。何故か全ての物が蒼く見えることにソルは気ずいた。
ソル「これは?!」
ソルが顔に手を近づけるとなんだか冷たいような気がした。
9話 完
10話(冷気を操る力)
X字に振り下ろされた剣はレッドゥゴブリンの防具を深く削る。
レッドゥゴブリン「ナンダ?!」
レッドゥゴブリンはソルの存在に気ずくのが遅れたらしく、防具が削られて柔らかいところが剥き出しになった。
ソル「まだまだっ!」
ソルは後ろに3歩程下がるとレッドゥゴブリンの剥き出しになった部位を睨みつける。
レッドゥゴブリン「キサマッ!コロス・・・」
ソルは目に力を入れてレッドゥゴブリンを睨み続けると剥き出しになったところが冷気に包まれて凍り始める。
ユーリ「すごい・・・」
ソルはそのまま睨み続けていると、レッドゥゴブリンは足から頭にかけて凍りついて動かなくなった。
10話 完
11話(フィリニアの声)
レッドゥゴブリンが凍りついて動かなくなったことを確認するとユーリはミナの元へ駆けつけた。
ユーリ「大丈夫か?」
ミナ「なんとか・・・」
ユーリは手を差し伸べるとミナはそれを掴んで立ち上がった。
ミナ「ありがとう」
ソル「ん?力が消えていく・・・」
ソルの目は蒼く輝いていたが徐々に元に戻っていった。敵がいなくなったことがわかったフササ(モキュー)は再びソルの頭の上に乗る。
ユーリ「どうした?」
ソル「力が消えていく・・・そういえば・・・」
ソルが口から言うよりも早くフィリニアの声が聞こえてきた。
フィリニア「よくここまで来ました。あそこにある階段を登れば魔王城の最上階にいけます。」
ユーリ「わかった。ソル、ミナ、先を急ぐぞ」
フィリニアに教えてもらった方向には一気に上までいける階段だった。
フィリニア「生きて帰ってくるのです」
フィリニアはそう言って消えていった。ユーリが先に上まで一気にいける階段がある方向に歩いていくとソルとミナがそれを追いかけるようについていった。
11話 完
12話(魔王城最上階)
教えてくれた階段は普通の人間には見えなかったが、フィリニアが見えるようにしてくれたみたいだった。
ユーリ「じゃ、階段を登るぞ」
ソル「は・・・はい」
階段を登り始めるとなんだか不思議な感じだった。1段登っただけなのに2段分登っている感じになっている。
ミナ「あとちょっとで最上階ね」
ユーリ「ソル、大丈夫か?」
ソル「あぁ、必ず魔王に勝ってみせる」
話しながら階段を上がっていくと、魔王城の最上階に辿りついた。それを待ち構えたかのような巨大な扉がユーリたちに立ちはだかった。
ユーリ「準備はいいな?」
ソル&ミナ「はい!!」
覚悟を固めたユーリたちは巨大な扉を開いた。最上階だけあって広い空間だった。これから始まる最終戦に旅の終わりを感じた。
11章 完