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13/3/1

父親からお金をスッて大目玉を食らった話

Image by Olia Gozha

確かあれは小学校低学年の頃だ。

僕は大人に近づきたくて近づきたくてしょうがなかったのだと思う。

朝が薄暗い冬のことだったと記憶している。僕は、無防備にも父親の財布が机に置いてあるのをいいことに2回、その財布からお札を抜き取った。

薄暗い場所で隠れて抜き取ったので正確に数字が読み取れなかったのだが、1000円札と5000円札をそれぞれ1回ずつ抜き取った。(のちに1000円札だと思っていたのが1万円札だったことが判明する)

当時、お札が入った財布で買い物をすることが大人の条件と確信していたのだろう。僕は嬉々として、1万5千円もの大金が入った財布をもって近所のスーパーでお菓子を買いに行った。

この時、実はお札を使わなかった。多分持っているという事実だけで満足だったのだろう。

数日間はバレずに済んだ。1万5千円もの大金を抜き取ったのに数日間バレずに済んだのは本当に奇跡だ。

しかし、そんな奇跡はそうそう続かない。

1万5千円の入った財布は箱に入れて、学習机の椅子の下に隠していた。

その隠していた箱を当時3歳くらいだった妹が、無邪気にも「開けてー」と母親に手渡したのである。

僕はそれを見るやいなや箱を奪い返そうとした。しかしあまりにも必死に奪い返そうとする僕を見て母は不審に思ったのだろう。母は僕を叱りつけた後、箱を空けて財布をみつけた。

全てが終わった。

その日、僕は両親から泥棒扱いされ、1日中涙で枕を濡らした。

そうしてその日から僕は、人のものを盗むことは一生しないと誓った。

過去の記憶を綺麗に消していく僕が、こんなにも鮮明に覚えているのだから、本当に印象強かった出来事だったのだ。

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