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14/6/30

秘密の扉 24

Image by Olia Gozha

伸一の死と再会


六月のある夕刻、高橋家に電話のベルがけたたましく鳴った。凉子はうるさいなと思いつつ受話器をとり「高橋でございます」と言った

 電話の向こうからすすり泣く声が

 「凉子さん、伸一が交通事故に遭って亡くなったの」 

良子はあまりにも突然に伸一が逝ってしまったので、呆然となった。

「どうして?」

電話の向こうで

信号無視の車にと言ったきり、すすり泣く声で聞こえてこなかった。


 後日、葬式に行き、伸一の棺を親族と混じって棺を担ぎながら、ふっと凉子の心の中にありがとうと聞こえてきた。

それは紛れもなく伸一の声だった。それを聞くと余計に涙がこみ上げてきた


 凉子は葬式の帰り道、一羽の白い蝶が右肩に止まり、気にもならなかったのでそのままにしておいたら、自宅の玄関のところで白い蝶は、凉子の周りを三周ほどひらひらと舞い飛びさっていった。


その日の夜、凉子の夢の中 青年と伸一が楽しそうに会話を交わしていた。

「伸一、突然のことでびっくりしたわ」

「ごめん、僕も突然で驚いたんだけど、それを受け入れるのみだ」

「あなたがいないと、寂しくなるわね」

「凉子が僕のことを思ってくれれば、あなたの傍らにすぐに駆けつけるよ、凉子が気づくかどうかは別問題だけど」

「伸一は相変わらずクールね」

「そうかな」

「そうだよ、伸一が気づいていないだけじゃん」




 死の秘密


横から青年が、再会が果たせて良かったねと言った

さて、これから死とは何の目的で存在し、死が人々を恐怖に陥る理由について語ることにしよう。

死とは肉体が滅ぶだけで、あなた自身である魂は永遠の存在であるというのは、あなたたちは理解し、経験したよね。

凉子は「体外離脱で経験したわ」

続けて伸一も「体外離脱は経験はしていたんだけど、急に肉体から去るというのは驚いている」

青年は「死とは物質界に生まれた以上は、誰にでも避けることが出来ない。

だが、あなた方は知っているように、死は終わりではない。

肉体が滅ぶだけで、あなた方の意識、魂は決して失われることはない。

物質界で生きているときも様々な経験をするが、この世界に移行してからも様々経験をする。

伸一は「そうなの」と言った

「そうさ、魂の創作活動は、決して止まることなく続く」

伸一は言った「多くの人が天国と地獄が存在すると思っているよ、だが、来てみてそれはないのだと直感的に気づいた」

それに続いて青年は「多くの人がそう信じている。だが、神はそれを無理やり訂正なさらない」

凉子は「なぜ」

「それをすることは、その魂に対しての自由侵害になると言うことだ。神はその魂に干渉なされず、ただ見守っている」

凉子は「干渉しないの」って口を挟んだ

「干渉しないが、生きているときも、死んだ後も内なる声、直感によってエールがある事を知るだろう。だが物質界に生きている間はその声は届きにくい」

凉子は「どうして」

「肉体は、精妙な神の波動が脳に入ると速度が落ち劣化する。それに人も様々な思考や活動で忙しいから、思考の声を止めない限り聞こえようがない」

伸一は「だが、危機的な状況では働くのでは」

「そうだね、肉体は滅びたくないから、それをストレートに伝えるよ」

伸一は「僕の場合どうだったのだろう、なかったような気がしたけど・・・・」

「死は貴方が決めた、役割が完了したときに起きる。いずれわかるときが来る」

「そうか、だが残してきた人々と別れるのは辛い、それも受け入れるしかないようだね」

「貴方の死を知る人々は、その人たちにとっての人生の課題に役に立っているよ」

「そうかな」

「誰であろうと無駄に死ぬことはないし、無駄に生きることもない。すべての人がお互いの価値観を認め合えば、決して誰一人として間違ってはいないと言うことを気づくだろう」

続けて青年は「死は本人が自覚している場合もあるし、そうではない場合もある」

伸一は「ガンや何らかの重病にかかって死ぬ場合、大抵本人は自覚しているけど、僕みたいに交通事故やアクシデントで死ぬ場合、どうなのかな」

青年は「そうだね、それも貴方が選択した結果、そうなるよ、なぜなら、貴方が意識している自我の部分で知る場合あるし、その奥の魂レベルで知る場合も、魂レベルで知るっているが、自我まで意識しない場合も多いんだ」

「そうなの」と伸一が言い、

青年は「生まれるタイミングと死ぬタイミング、あるいは人生で起きる様々な経験は、すべてが貴方のために起こり、それを受け取るか、拒絶するかは貴方に委ねられるよ」

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