何が楽しいんだアイツら。バカか?
黒板消しでサッカーをやる同級生を冷めた目で見ている。
メンズノンノの創刊号を、机に脚を乗せながら独り読んでる中学2年生。
若き日の阿部寛

14歳の僕だ。
時は今から約30年前にさかのぼる。
1980年代前半、日本はまさに、これからバブルに突入していく時代だった。
この物語は、人の愛し方が解らず、愛されても気が付かなかった少年の物語。
宇野 成人(マサト)
現在は43歳、既婚、一児の父。
はっきり言って幸せだ。
しかし、自分以外の人間を愛せる様になったのは、
実は、つい最近の事だ。
学校で良い成績を取ることが、僕に課せられた仕事。
10歳の頃、そう悟った。
教育熱心だったのは父親の方だった。
「今日テストがあっただろ?答案用紙持ってこい」
「はい、89点だったよ。頑張ったけどね、もうちょっと…」
「そんなん、どうでもええ。100点取ったやつは何人や?」
「いや、誰もいなかった」
「じゃあ、お前よりええ点取った奴は何人や?」
気が付いたら、テストの答案を父に見せるのが恐怖になっていた。
この質疑応答は夕食時に行われる。
終わるまで食事は喉を通らず、時には涙目になって食べる事も少なくなかった。
点数は関係無かった。
95点でも、平均点は何点なのか?
100点取っても、他に何人100点が居るのか?
聞かれるのは、結果の価値がどれ位かということ。
褒められた記憶は、無い。
実は、それまで僕は勉強が好きだった。
知らない事を知る喜びも、自分を試せるテストも、自信があったから楽しみだった。
こんな事を書くと、ガリ勉のように聞こえるが、覚える楽しさを教えてくれたのは祖母だ。
学校で習う内容より、少しだけ先の事を教えてくれた。
授業は復習になり、理解が早く、勉強が解るから楽しかった。
しかし、
高学年になって、父親の干渉が始まった。
良い点を取ることが強要され、報酬として、欲しいおもちゃを買って貰えた。
勉強は仕事になった。
中学に入り、欲しいモノがおもちゃではなくなり、
自分の時間や、洋服、女の子にモテる為の情報などに変わった。
父親は、僕にその報酬を出すことが出来なくなった。
無報酬で仕事をする奴なんていない。
父親は、益々僕に干渉してくるようになり、僕は彼に対して「憎しみ」しか持たなくなっていった。
母親は僕の味方だったが、その前に父親の奴隷だった。
14歳になり、その頃の僕の頭の中は、
女の子の気を引くことと、
将来、何に成りたいのか?
を模索すること。
何故、そんなに女の子にモテたかったのか?
まあ、思春期の少年ならほぼ全員同じ事を考えるとは思うが、僕の場合、少しだけ違った。
付き合いたいとか、エッチな事がしたいとかっていうよりも、
「相手に気を待たせる」
のが目的だった。
女の子に告らせることが、最終目標。
男として最低のクズ。
今になって、何故そんなことを考えてたのかと不思議に思う。
多分、そうやって自分の存在価値を見出したかったんだと思う。
単なる中二病のクソガキだったのだ。
しかし、残念な事に当時の僕はモテた。
身長は16歳の時には180センチを超えていた。
男性ファッションなんて、まだ誰も興味が無い頃から研究してたから、僕はオシャレな人で通っていた。
当時、伊達眼鏡を掛けたり、わざわざ電車でお気に入りの香水を買いに行く中学生なんて、学校で僕しかいなかった。
高校に入り、モテる為の必須スキル(笑)としてギターを覚え、バンドを作った。
学祭でメイクをして女装すると、本当に女の子に間違われた。
顔も知らない女の子から、告られるようになった。
そして、ゴメンねと断り、心でガッツポーズを取る高校生だった。
一度、試しに付き合った事があったが、予想通りめんどくさ過ぎて3ヶ月続かなかった。
そんなまま社会に出たもんだから、モテる意味が変わることに気が付かなかった。
相変わらず、女の子に気を持たせ、付き合う振りをしながら、自己愛を満たしていた。
そして、気が付いた。
彼女達は、僕の外見に惚れてくれている。
僕を連れ歩く事に快感を覚えていた。
ここまで自分で書きながら、ナルシストっぷりに吐きそうだが、当時の彼女本人から聞いたから間違い無い。
少なからずショックを覚えた。
が、当然と言えば当然。
女の子の好きそうなファッション、髪型、仕草、知識、デートスポット、あらゆる事を勉強していた。
外側で付いて来る女の子を乗せる為に、生きてきたんだから。
誰も僕を、好きになってくれてなんかいない。
それからは、自分から好きになった女の子を誘いまくったが、上手く行ったことは一度も無かった。
20代、30代にもなると、中身のない男は見破られる。
捨てられた男娼の様に、ミジメな気持ちになった。
自分から誰かを好きになる事が解らない。
自分に好意を持ってくれる女の子は解るから、仕掛ければいい。
でも、自分からはやり方が解らないのだ。
結果、好きになってくれた女性と付き合う。
ある時は、経済的に豊かな女性と付き合うことになった。
その頃、定職にも付かず貧乏だった僕はまさしくヒモ。
結局、自己嫌悪に負けて、相手を傷付け別れた。
結婚なんか、絶対俺には無理だな。
一生独身でいいや。
本気でそう思っていた。
ところが、
数年後、僕の人生を一変させる女性と出会うことになる。
彼女に会わなければ…
いや、そんなこと考えたくも無いくらい、僕にとって衝撃的な女性だった。
現在の妻だ。
彼女が僕にしたことは、到底理解出来ないことだったのだ。
この話は、また続きに書こうと思います。
最後まで読んでくれて、ありがとうございます。
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