離婚後、3歳の息子の手を引き渡米。私の条件下で出来たアメリカ移住。その経緯を語る。連載実話。
そう、ラスベガスの旅。
たった一泊の、駆け足で、Sのお父さんに会いに行った旅だったが、たいへん充実した旅に成った。
ベガスに着いたのが、午前10時頃、空港には迎えが来てくれていた。
幼馴染 S のお父さんと、その一番の付き人で、
日本人では有るが、その人が子供の時に家族の仕事の都合でアメリカに永住されたので、日本語も英語も完璧な人。
お父さんと、その一番の付き人は、直ぐに仕事に戻らなければならず、
その後、紹介された人の案内で、ラスベガス観光。
車で回ってくれて、色んな説明をしてくれた。
なんでも、昼間の観光案内をしてくれた人は、若い男性の日本人留学生で、お父さんのレストランでバイトをしていた。
ホテルマネージメントを勉強する為に、ラスベガスに留学していたので、カジノや、観光、ベガスの歴史に関して、とっても詳しかった。
夜は、お父さんのレストランで働く日本人従業員と、日本人では無いが、日本語が話せる従業員を20人以上集めて、私の旅行?歓迎会をしてもらった。
その時に、お父さんのレストランで鉄板焼きを担当するシェフの M さんと、特に、いろいろ話をさせて頂いた。
彼は、その当時、アメリカ生活11年位だったと思う。
元々、NYの方に永住目的で、仕事を探して日本からやって来た。
Mさんがアメリカに来た当時は、日本食がブームで、寿司職人を探していたレストランが多かった。
寿司が握れ無くても、料理が出来て、日本人だったら、就労ビザを出すのを条件に、雇ってくれた。
Mさんは、器用だったので、鉄板焼きの修行をし、就労ビザを出してもらったらしい。
その後、そのビザを永住権のグリーンカードに切り替え、州を渡り、ラスベガスで働いていた。
その Mさんに
「アメリカに住めばいいのに!」
と、いとも簡単に言われた。
「僕に出来たから、君も出来るよ!必要だったら、なんでもお手伝いするよ!」
なんていい人…
Mさんには、かいつまんでだが、私の現状も話した。
離婚して、息子を育てている。
母子家庭だ。
その他もろもろ。
それでも、アメリカ移住と言うのは、可能だろうか?
とも話した…
それでも、Mさんは、
「例えば、日本人以外の、メキシカンや、他のアジア系の国の人で、シングルマザーで、アメリカに渡って来た人達を、僕は結構知っているし、見て来ているよ。その人達に出来るんだから、君にも出来るよ!」
その後、Mさんと連絡先を交換して、翌日私は、友達の待つロスアンゼルスに戻った。
ロスでは、もちろんラスベガスの話に成る。
ラスベガスは華やかだった。
とっても楽しかった。
沢山のアメリカに住む日本人に出会った。
Mさんと言う人に会った。
アメリカ移住を応援してくれた。
Mさんは、こんな感じで、アメリカに住み始めたんだって。
こういう会話だ。
私の中では、もう、答えが出ていた。
アメリカに渡ろう!
息子を、アメリカで育てたい!
自分へのお土産
友達とのアメリカ旅行最終日。
ベニスビーチに行った。
自分へのおみやげを買うつもりだ。
そこで、タトウー屋に入った。
目的は、一つ。
タトウーを入れる為。
それがおみやげ。
絶対に消えないおみやげ。
なぜ、タトウーを入れたかったのか?
二つ理由が有る。
離婚をして、子供と2人での独立のお祝い
もう一つは、
アメリカ移住への決意
もう、今から、18年程前の話。
その当時、日本人でタトウーを入れている
"一般人女性 "
は、非常に少なかったと思われる。
タトウーと言っても、俗に言う刺青の様なデザインを入れたわけではない。
鯉の滝登り や、龍 や 観音様では無く、
アメリカントライバルの模様を左肩に入れた。
そんな、驚く程大きくも無い。
長さ10cm位だと思う。
蜘蛛の様にも見えるし、
炎の様にも見える。
のちに、ネットで調べてみたが、今だになんの意味のトライバルなのか、分からない。
でも、気に入っているから、トライバルの意味は関係無い。
タトウーを入れた時点の、自分の中の理由が重要なのだ!
アメリカ旅行から、日本へ帰国したその日。
空港に着いて一路家路へ の車の中で私の携帯が鳴った。
なんと、国際電話で、Mさんから。
「渡米に関して、質問や不安な事が有ったら、いつでも連絡下さい!」
アメリカ行きを後押ししてくれる人が見つかって、心強かった!
日本に帰って、何度か温泉に行った。
おばちゃん達が、私の肩のタトウーを見て、コソコソ話しているのが聞こえた。
おばちゃん達には、タトウーと言う感覚は伝わらない。
どう見ても、刺青だ。
温泉の入り口には、サインが貼ってある。
"刺青のある方の入浴をお断りして居ます"
えー、それって、見た目で人間を判断する、差別じゃないか!
小さな子供と温泉で一緒に成った時は、コソコソでは無く、大きな声で、
「お姉ちゃん、肩に蜘蛛が書いて有るよ~」と、言われた事も有る。
"オバちゃん"じゃ無くて、
"お姉ちゃん"と読んでくれて
まずは、ありがとう。
母親に見せた時は、
もう、ビックリ仰天だった!!(笑)
この世の終わりの様な、大げささで驚かれた…
血圧が一気に上がった、と言って、かなり憤慨していた。
これで、息子とアメリカに移住したいと言ったら、この人は、心臓発作を起こすかもしれない…
と、マジで思った。
まあ、アメリカ行きは、
全部決まってから、
いつものように
結果報告しよう
そう、コッソリ、心の中でつぶやいた。
続く


