■はじめに
みなさんは、再就職と転職の違いをご存じですか?
転職は会社に在籍しながら、就職活動して職場を変えることを言います。
再就職とは一度会社を辞めてから応募して就職することを言います。
私は50歳を目前にして再就職活動を迫られました。その理由は会社がリストラを始めたからなのですが、それは苦難に満ちた道のりでした。
特に最初の頃は応募しても、応募しても、書類審査が通りません。これでは面接でどんなにいいアピールをしたいと思っても、できません。
ちなみに中高年の再就職した場合の平均的な応募書類の通過率は5%だそうです。つまり100通送って書類が通るのがたったの5通。なかなか厳しい現実ですね。
しかし当時の私の書類通過率は1%でした。100通送って書類審査を通過するのがたったの1通。これにはさすがに落ち込みました。そしてだんだん焦り出しました。
しかし書類審査が通過しないのには、当然理由があります。今から考えるとあの応募書類でよく1%も書類が通ったなと思うほど、ひどい応募書類でした。
仕事に応募する際に必要な書類は二つあります。一つは履歴書で、もう一つは職務経歴書です。応募書類はたったの二種類だけです。
履歴書のフォーマットは基本的に決まっていて、それほど大きな差は出ません。東京大学や早稲田大学など有名大学を卒業した場合は別ですが、それ以外ではライバル達に大きな差をつけるのが難しくなります。
もう一つの職務経歴書はフォーマットも自由で、何を書くのも自由です。自分の経験した職務内容を詳しく書きます。
最近の転職・再就職活動はこの職務経歴書で決まると言われます。
私は仕事でパワーポイントやワードを使っていたので、書類作りは得意でした。だから職務経歴書も自信満々で作りました。この職務経歴書で落ちるわけないくらいの勢いです。
ただこの職務経歴書は、何でも自由に書いていいとはいえ、5枚も10枚も書けばいいというわけではありません。
応募書類は人事部の少数の人だけが見ます。たいていは1人か2人でしょう。中小企業に至っては別の仕事をしている人が兼務して見る場合も多いでしょう。しかも中高年の再就職の場合は、一つの求人に対して100件以上の応募がある事が珍しくありません。
そんな担当者に5枚もの職務経歴書を送ったところで、ゴミ箱にポイッと捨てられるでしょう。どんなに素晴らしい経歴があったとしても5枚の職務経歴書を詳しく見てくれる担当者はいません。
自信満々に書き上げた私の職務経歴書もさすがに、たったの1件しか通過しなければ、どこかおかしいとわかります。その一件も応募した人、全員を面接すると話されていたので、実質私の応募書類通過率は悲惨な0件だったわけです。
その間、1ヶ月。もっと早く気がつけよと突っ込まれそうですが、それくらい自信満々だったということです。
私の職務経歴書ですか?何枚あったか知りたいですか?私の職務経歴書はなんと4枚もありました。5枚には1枚足りませんが、堂々たる大作の職務経歴書です。これでは、受かるわけがないですよね。
通常、職務経歴書はA4二枚までが原則です。そして、この日から私の職務経歴書大改造大作戦が始まりました。
では職務経歴書をA4二枚にしたらどうなったと思いますか?なんと書類の通過率がなんと25%になったのです。1%から25%に赤丸急上昇です。信じられますか?信じられないですよね。でもこれは事実なのです。
もちろんこれは単純に職務経歴書の枚数を4枚から2枚にしたという話ではありません。職務経歴書のレイアウトも書く内容も全面的に変えました。
実際の合格率はもっと高かったと思います。というのは応募した求人案件のうち半分くらいは年齢を理由に落とされたからです。最初から求人内容に年齢制限があると書いてあれば応募しません。ただ今の法律ですと、建前としては年齢性別で就職の差別をしてはいけないとされていますから、表だって書けないだけで、今でも年齢や性別による選別はあります。それを考えると書類の合格率は50%近くになっていたことになります。
これ以降、私はほぼ毎週、面接を受けることができました。そうなると心に余裕ができます。なぜならば今受けている面接がダメでも、翌週に別の面接があると思うと、落ち着いて応対ができます。
こうして私は無事に再就職することができました。
これから書く私の体験を元にしたノウハウは、きっと同じように転職や再就職活動で悩んでいる方の役に立つのではないかと思い、書いてみました。
この文章がみなさんの役に立つことを願って、本文を始めたいと思います。
通過する応募書類の作り方
再就職活動する場合、どのようにすれば合格すると思いますか?
通常の就職活動は再就職や転職に限らず、書類選考の後に面接が複数回おこなわれることが多いですよね。たまに適性試験などを実施する会社もありますが、これは40代以上の再就職活動ではかなり珍しいケースになります。
ということはまずは書類選考をくぐり抜けなければいけないと言うことになりうます。そうしないと面接をしてもらえないからです。そして面接なしの就職活動などないのです。
だがこの書類審査の通過が難しい。なぜなら最初に書いた様に今は非常に多くの人が再就職活動をしています。だから一つの求人案件に多くの募集があるのが普通です。だいたい一つの案件に数十の募集があるのは普通で、多いと100通近い場合もあります。
そうなると応募書類を見る方も大変です。一つの応募書類をざっと1分で見る場合(読むではない)でも100分かかります。3分で見れば300分。これは大変な作業量で、こうなると本当に読むではなく、見る作業となります。
そうなると、担当者はできるだけ時間をかけずに、効率よく書類審査をしたくなるのも当たり前です。
だからまずは応募者が応募書類を見やすくする工夫しなければいけません。具体的には、これから書きますが、見にくい書類はそれだけでNGとなります。
相手は忙しくて時間がありません。だから見にくい書類はそれだけで通過率がかなり下がると考えて下さい。あなただって見にくい仕事の資料を、時間かけて見るように努力しますか?絶対にないでしょう。それが社長から渡された書類でもなければ。
では実際、どのような応募書類を作れば、書類選考を通過するのでしょうか。私自身の経験を元にお話しさせていただきます。
履歴書に関してノウハウはあまりありません。履歴書は書式にあわせて淡々と事実を書くだけです。昔は丁寧に書くべし、と言うことも言われたが、今はほとんどの応募書類がPCのファイルでいいので、字が汚い私やあなたには好都合です。
職務経歴書編
今の再就職活動、転職活動で鍵になるのはこの職務経歴書である。この出来次第で書類審査が通過するかどうかが決まるといって過言ではありません。ではどう書けばいいのでしょうか?
それは見やすくレイアウトすることと、キーワードをちりばめると言うことです。先ほども話しましたが採用担当者はとても忙しい。一枚一枚の応募書類をじっくりと読み込むことはできません。そのような担当者の手間をかけるような書類を送る輩はそれだけで大きな減点となります。担当者はキーワードを書類から探し出し、それがある書類を読み込むとなります。
あなただって時間がないのに大量の資料を読まなければならない場合、飛ばし読みして重要な部分だけをじっくり読むと思います。それと同じです。
忙しい担当者があなたの良さを見つけようと、職務経歴書をじっくり読み込むと言うことは、絶対にないということだけは確かです。
就職活動とは自分を商品に見立てて売り込むことと同じです。ここで問題になるのは商品がいいかどうかは、実際に使ってみなければわからないということです。再就職の場合、実際に働き始めてみないとその人の実力や性格はわかりません。
本人の実力や性格がわからないのであれば、良さそうな人を選ぶしかない。そうなると実力も重要だが、自分自身の経歴や実力をどう見せるかと言うことが重要であるということは、理解していただけると思います。
とにもかくにも書類選考を通らなければ面接に進めず、企業の担当者に会わないとアピールもできないし、就職することもできないのです。
具体的に言うと職務経歴書はカタログと考えればわかりやすい。プレゼンの資料と言いたいところですが、基本的に職務経歴書は二ページ以内にまとめないといけないので、カタログと考えた方がいいでしょう。そこには必要な情報をわかりやすく書かなければいけません。
あなたという商品を売り込むためのカタログです。もし担当者があなたのアピールしたいポイントを見つけられなければ、その場で不合格になる可能性が高くなります。忙しい担当者は職務経歴書のすみからすみまで読んでいるような時間の余裕はないのです。
だから必要な情報をわかりやすく記載することが非常に重要になります。例えば仮に二枚の職務経歴書があるとします。この二つの職務経歴書、記載内容は全く同じです。一つはただテキストを箇条書きにした職務経歴書。もう一つはきちんと表にしてわかりやすく、見やすい職務経歴書。もしどちらかを書類選考しなければいけない場合、あなたならどちらを選ぶでしょうか。
答えは決まっています。後者です。表にしてわかりやすくした職務経歴書の方が選ばれるのは間違いありません。
もちろん記載内容が重要な事は言うまでもありません。だが記載内容がどんなに良くても、そこを見てもらえなければ意味はありません。
では具体的に見ていきましょう。
履歴書に関してはあまり書くことはありませんが、聞かれることが多いので一応書いておきます。必要ない人はここをとばして、職務経歴書の書き方から読まれるのもいいでしょう。
履歴書の書き方
履歴書は清く正しく美しく
基本的に履歴書は決まった規格に決まったことを書きます。
だからあまり考えることはありません。気を付けるポイントを箇条書きにしました。そこに注意して書いてください。
一番大きなポイントは写真と志望動機です。
履歴書は写真勝負
写真はとても重要です。何と言っても履歴書唯一のビジュアル情報です。人は視覚情報に強く影響される事はよく知られています。ですから写真は担当者の判断に影響を与えます。もちろん応募者の経歴が、企業の求める経歴に全く合わなければ、どんなに写りのいい写真を貼り付けても効果はありません。でも担当者がどうしようか迷っている場合には明らかに効果があります。
私の場合、某有名百貨店の写真館で撮影しました。撮影だけで3500円、プリントやデータをCD-ROMに焼いてもらい合計で一万円ほどでしたが、大満足でした。多少の修正はしてもらえますし、10歳ほど若返った印象です。ただ、あまり修正しすぎると面接での落差が逆効果になりかねませんのだ、ほどほどの修正をお勧めします。
CD-ROMに写真のデータを焼くのは高価なのですが、写真データがあればワードなどに直接貼れますし、自宅で印刷して、紙の履歴書に貼る事もできます。ここは投資と割り切って写真館でいい写真を撮ってください。それだけの価値はあります。
時々、スマホや携帯電話で撮影した写真を印刷して履歴書に貼る人がいますが、これは絶対に止めてください。これは写りも悪いですし、確実にわかります。これは応募しながら、不合格にしてくれと言っているようなものです。
志望動機は毎回書き換える
志望動機だけはきちんと毎回、その企業にあったものに書き換えましょう。でも履歴書で一番悩むのもこの部分だと思います。ただ結論から言うと、ここを考え抜いて書いても、そうでなくても、書類通過率はあまり変わりません。
私の場合、かなり定型化して効率化をはかっていました。具体的には下記の通りです。
志望動機:◯◯の提供を通じて、社会に貢献できる事業に魅力を感じて応募しました。××の海外営業経験が5年間、法人向けITソリューション提案営業の経験が10年間あり、その際に身につけた経験と知識を活かせると思います。また管理職の経験もあり、それを活用して御社の業績に貢献したいと思います。
私の場合、志望動機のほとんどがこのパターンでした。最初の◯◯の部分は応募する会社の商品やサービスの内容です。例えば、自動車部品やITソリューションとか入れます。経験のない業界の場合は、経験を削除し、知識を活かしてと書いていました。
あくまでも自分の知識や経験を活かして業績に貢献できるとアピールするのが基本になります。ITソリューションの営業に応募する場合、海外営業と前後を入れ替える小技も使っていました。
とはいえ、基本はこのパターンで応募しました。
志望動機を悩んで、応募しないのはもったいないです。志望動機はあくまでも建前の部分が大きいので、あまり深く考えない方がいいと思います。実際、考えに考えて、凝った志望動機を書いた事もありますが、合格率に大きな違いはありませんでした。
年号を西暦か和暦に統一する
和暦がいいという本もありますが、私は全て西暦で提出しました。
その部分では全く問題を感じていません。
私自身は昭和な男なので、和暦だと年数の感覚がわかりづらいと思い、西暦に統一しました。その方が相手も年数の計算がしやすいと思います。年号が変わると何年間の経験かわかりづらくなります。
通勤時間も忘れがちですが、きちんと応募する会社に合わせて変えましょう。
■見やすく理解しやすい職務経歴書こそが面接への近道
今の再就職活動においてもっとも書類選考の合否に強い影響力を持つのは、職務経歴書になります。
相手の担当者はあなたの職務経歴書を見て、書類審査を通過させるかどうか決めると思って間違いありません。だからここで差別化しないで、どこで差別化かするのかというくらい大事な書類になります。大量の応募書類がある中、わかりにくい職務経歴書は、競合するライバルの書類に埋れてしまいます。
当然、差別化をする必要が出てきます。
■職務経歴書で差をつけろ
100通を超える応募があることもおかしくない中高年の再就職では、漫然と普通の職務経歴書と同じレイアウトに同じサイズのテキストを打ち込んでも、見づらく、他の応募書類と同じになり、埋れてしまいます。
採用の担当者は通常の仕事をしながら、採用の仕事もしています。そんな忙しい採用担当者は、応募者の書類を隅から隅までみることはありません。というかそんな時間はありません。だから自社が求める条件をキーワードにして、文書を見ていきます。そしてキーワードがあった書類だけ、きちんと読むと思ってください。その場合でも、読みにくい職務経歴書であったならば、即不合格です。というか忙しい担当者は応募書類自体を読んでくれないでしょう。
あなたも読みにくいビジネス文書を見たことがありませんか?私はあります。そんな文書を見るとイライラしてきます。何が言いたいのだ。何がしたいのだ、と思い最後には怒りすらこみ上げてくる時もあります。
あなただったらそんなわかりにくい、読み手の事を考えずに書かれた文書を受け取った場合、最後まで我慢して読みますか?社長や上司の書類なら我慢して最後まで読むでしょうが、そうでなければ読まないですよね。営業用の資料だったら、即ゴミ箱行きです。採用担当者も同じだと思ってください。
そんな普通のあなたの書類は多くの応募書類の中へ埋もれてしまう可能性が大きくなります。あなたがどんなに素晴らしい経歴を持っていても、書類が通過する可能性は低くなります。
では、どうすれば通りやすい書類を作れるのでしょうか。
私の経験を元にお話しさせていただきます。
通過しやすい応募書類
当たり前すぎて皆さんが忘れている項目があります。それは読みやすく、わかりやすい応募書類にしなければ通過しないということを。履歴書に関しては、問題ありません。フォーマットが決まっていますので、決められたフォームに従い粛々と事実を書くだけです。
となると差別化できるのは職務経歴書になります。
履歴書とは違って、職務経歴書はデザインやレイアウトが自由です。これを活かさない手はありません。
私は職務経歴書を差別化する為にデザイン性を持たせました。実際に使用していたデザインが次の図になります。どうでしょうか?目立つし、内容が読みやすいと思いませんか?私が最初に使っていた普通の職務経歴書が次の図になります。どうでしょう?書いてある内容は全く同じです。でもどちらが目につきますか?どちらが見やすいですか?どちらかの書類を通過させなくてはいけない場合、どちらの書類を選びますか?
答えは当然、デザインされた職務経歴書ですよね。
もちろん職務経歴書にデザイン性を持たせてわかりやすくしても100%通過することはありません。でも私の経験ではこの職務経歴書に変えてから、書類通過率は25倍アップしました。それまで普通の職務経歴書を提出していた時は1%程度の通過率でした。しかしこれに変更してからは通過率が25%まで上昇。ほぼ毎週、面接を受けているまでになりました。
ではこの魔法のような職務経歴書の書き方を教えます。
書類通過率25%の職務経歴書の書き方
合格する魔法の職務経歴書の作り方
まず誤解のないように言っておきますが、この職務経歴書はただデザインがきれいなだけではありません。きちんと綿密に計算されて作られています。基本的に人間は上から下へ、左から右へ文字を追っていきます。
最初に見出しをつけて、次に概略の部分を読ませます。ここで興味を持ってもらえれば、次の本文を読んでもらえます。そこまでいけばあとは最後まで読んでもらうことは難しくありません。あくまでも職務経歴書は相手が読みやすく、分かりやすいレイアウトにし、私という人物を理解してもらうための書類だということを忘れないでください。
あなたという商品を売るためのビジネス文書、プレゼンテーションの書類だと考えてください。デザインはあくまでも最後の付け足しくらいに考えていた方がいいと思います。デザインも重要ですが、中身はもっと重要だということです。
レイアウトには注意する必要があります。ただ箇条書きにすると余白のスペースが多くなりA4二枚に収めるのが難しくなります。大前提として職務経歴書は必ずA4二枚に収めます。それ以上になると書類の通過率は極端に悪くなります。
だからこそその二枚の職務経歴書に効率よく、見やすいレイアウトしなければなりません。特に40歳以上の方の場合は、長い経歴があるはずですから、普通に書くとA4二枚には収まりません。ですからうまくレイアウトしてA4二枚に情報を入れる必要があります。ただ単純に情報を詰め込みすぎると読みにくくなるので、注意が必要です。
では実際の職務経歴書を見ながら、どういう意図があるのか見てみましょう。
1.氏名
これは正確に書くだけです
住所や電話番号を書くサンプルが多いですが、私は名前だけでした。
これでも特に問題はなかったです。履歴書に住所や電話番号を記載していたので住所と電話番号は割愛しました。気になるのであれば住所や電話番号も記載してもいいでしょう。
2.職務要約
氏名の下の一番上の欄に職務経歴の要約を記載します。
ここは三行くらいにまとめます。
具体的にどういう仕事の経験が何年あるのか書きます。それだけを書きます。
細かい内容は記載しません。
管理職の経験があれば書いてもいいですが、そこは応募する会社の求める要件に合わせましょう。相手が管理職経験を求めているのであれば書き、そうでなければ書かないのが基本です。
基本的に応募先が変わっても同じ文書でいいと思いますが、応募する会社毎に多少の修正はしたほうがいいでしょう。私はそうしていました。例えば法人向け営業の求人の場合は、法人向け営業の経歴があることを最初に記載して強調するべきでしょう。海外営業職に応募する場合は、それを一番先に記載しました。
ここでは、まず採用担当者の注意を引くのが目的です。だから求人要件に書いてあるキーワードを散りばめる必要があります。システム営業の求人であればその経験を書きます。システム営業の経験はなくても営業経験あれば記載し、営業以外でシステムに関連する仕事の経験があれば書きます。それを書くことで担当者の目に留まり、次の職務経歴概要を読んでくれます。
3.職務経歴概要
会社名と勤務していた期間を記載します。そして仕事内容を一言でまとめ、その期間を記載します。
これであなたがどれくらいの期間どこで何をしていたかが明確にわかります。
短時間で職務履歴が理解できるので、相手担当者の負担を減らすことができます。自分自身を理解してもらうのに有効です。
これは先ほどの職務要約を補完する役目があると考えてください。
ですから経験した年数は必ず記載してください。
これで経歴の長さが容易に理解できるようになります。
経歴の長さは、経験値を明確に表しています。客観的な数値情報ですから、合否判定する場合にもわかりやすい指標になります。ですから採用担当者には重要視する人も多いです。
4.活かせる経験・知識・能力
ここには自分の持つ経験や知識、能力を記載します。管理職経験をアピールしたい場合、ここに記載します。その場合、何人の部下がいたかも記載した方が、相手に分かりやすくなります。
資格がなくてもできることがあれば、ここに能力として記載します。
この後にスキルを書く欄がありますが、アピールしたいのであればここで再度書くことも大丈夫です。
私はこの部分を応募先により微修正をしていました。
例えば応募要件に管理職経験が望ましいと書いてあれば、ここに管理職経験が5年ありと記載しました。逆に管理職経験が妨げになりそうな場合は、削除しました。
その業界の経験がなくても、その業界に関連する基礎知識があることを記載しました。例えば機械関係の会社へ応募する場合は、機械関連の基礎知識ありと記載しました。実際、機械関連の基礎知識はありましたから、これは嘘ではありません。そうすれば業界経験がなくても、再就職後にスムーズに業界知識を習得できることをアピールできます。
5.スキル
4に記載した活かせる経験・知識・能力の右に、取得している資格や扱えるソフト、ハード等を記載します。履歴書に書いてある資格も再度書きます。ただし運転免許証は除きます。資格がなくても自分ができることは遠慮せずに書きましょう。資格がなくても実際にできれば問題ない場合は多いからです。
6.自己PR
職務経歴書1枚目の一番下に、自己PRを書きます。自分のアピールしたい部分を5行くらいにまとめます。
ここは基本的に応募先によって変更しません。ただ応募する職種が違う場合は変更していました。だから応募する職種別にいくつかの自己PRを使い分けるようにしていました。私の場合は営業がメインでしたので、営業用の自己PR文とその他の自己PR文を二種類用意して使い分けていました。
ここまでが1ページ目になります。
上から下へ、左から右へ、採用担当者が知りたい情報をできるだけわかりやすく記載する工夫がしてあります。こうしてキーワードを各部分に散りばめることで、採用担当者の目に留まりやすくし、書類選考の通過率を上げることができます。
実際問題、2ページ目の職務経歴書を担当者が読まずに書類通過したケースも多々あります。面接中に2ページ目を読んで、質問してくる面接官もいたくらいです。それくらい1ページ目で情報提供して、書類審査を通過するのが理想です。
2ページ目については、1ページ目に書いた職務経歴の明細を記載します。
つまり1ページ目で興味を持ってもらえた場合に、2ページ目でもっと詳しく情報提供する為です。
ここでも短くかつ明確にあなたの職務履歴を書いてください。
では具体的に何をどう書くのか説明していきましょう。
会社情報:社名、事業内容、資本金、社員数、売上、所在地
あなたの勤めていた会社の従業員数や売上高など会社の規模も重要な情報になります。
これで採用担当者はあなたの勤めていた企業の規模が理解できます。
これは意外と採用担当者は気にする部分なので、記載することは重要です。
例えば大きな企業に勤めていた人が、中小企業に再就職する場合、採用する方はうちみたいな小さな会社では、長く続かないのではないかと心配するケースもあります。
大きな会社と中小企業では仕事のやり方も組織も全く異なります。事務所の環境も全く違います。所在地も書くと勤務していた会社のイメージが理解しやすくなります。これらが不利な情報だからと言って隠しても、いいことはありません。
応募書類は大量に送られてきます。担当者はこれらの書類をふるい落とさなければなりません。その場合、不明な部分の多い書類は落されやすいと思ってください。あなたも商品情報が明確でない商品を買わないと思います。この場合も全く同じです。明確にわかりやすい書類こそ、書類選考通過のカギになります。
その下に会社の中で何をしたかを表組にして、記載します。
これを表組にしないで箇条書きで記載すると、わかりにくくなります。
どちらが見やすいかというと、表組にした方が圧倒的に見やすく理解しやすいことを、お分かりいただけると思います。
さらに経歴の長い方だと箇条書きにすると1ページに収まりきらないと思います。ですから表組にして下記の情報を記載します。
期間:どれくらいその職務に携わっていたのかわかります。
例:2000年4月1日〜2010年3月31日
所属:所属していた部署名を書いてください。
例:第三営業部第二営業課
職務内容:その部署がどういう仕事をしていたのか簡潔に書きます
例:一部上場企業のIT部門へのシステム提案営業
担当業務:その部署でのあなたの役割
例:既存顧客への営業活動と新規開拓営業
実績:どういう実績を残したのかを書きます。
例:2005年度 売上計画5億円 打ち上げ実績6億円 3年連続売上計画達成
定期的に顧客を訪問し顧客のニーズを把握し、最適な提案を実施
そしてどういう方法で実績を達成したかを書くと仕事のやり方などもイメージできていいです。できれば数値情報を書きます。営業なら売上がいくらだったのか書くといいでしょう。そうすると営業の取扱金額がわかります。これも意外と気にする企業が多いので有効な情報です。確かに単価が安い商品と高い商品では営業方法も違うので、注意してみるのでしょうね。
総務など数値目標がない場合でも、業務の見直しでコストを10%削減とかできるだけ数字で実績をアピールしましょう。数字があると人間は非常に理解しやすくなります。
デザインの付加価値
先ほどもデザインはあくまでも最後の付加価値であることを強調しました。でもデザインがいい職務経歴書には明確なメリットがひとつあります。
デザイン性の高さは一つの付加価値を生むことは間違いありません。これだけきれいな書類が作れるのであれば、パソコンの操作ができる、ワードやエクセルのソフトが使えるとアピールすることができます。
職務経歴書にワードやエクセル、パワーポイントが使えると記載しても実際の腕前の方は、働いてみないとわかりません。使えるにしてもピンからキリまで。バリバリにグラフや視覚に訴える資料を作れる人もいれば、ただ数字や文字を打つだけの人もいます。両者とも使えるという事では同じですが、その内容は大違いです。そこは実際に働いてみないとわかりません。
でもこれだけの書類が作れるのなら、パソコンも使えることが無言でアピールできます。これは大きなメリットになります。であればこれを使わない手はないと思います。
ここまで書かせていただいた職務経歴書の書き方は、全ての応募書類を通過させるためのものではありません。そもそも全ての応募書類が通過する人はいません。あくまでも相手先の企業に自分という人間をわかってもらうためのツールなのです。
ですから、相手先企業があなたの経歴を求めていなければ不合格になります。でもそれは不合格でいいのです。そこを無視して面接を受けても、その後で間違いなく不合格になり、双方にとって時間の無駄になります。あなたの経歴に興味がある企業に正確にあなたの経歴、あなたの長所を理解してもらうのがこの職務経歴書だと思ってください。
最後に
この本は非常に厳しいと言われ、実際厳しい中高年の再就職を支援する為に書きました。自分の意志で新しい道を進み始めた人や、やむを得ず退職したものの将来への道が見えない人の力に少しでもなればと思い書きました。
たくさん書類選考を通過し、たくさん面接受けても自分に合わない会社であれば意味がないと言われる方もいるでしょう。
実際、私もそう思います。でも求人票から得られる情報はほんのわずかです。それだけ見て自分に合うかどうかは、わからないと思います。でも面接をすればその会社がこれから伸びていきそうなのか、会話の中から方向性はつかめると思います。ただ求人票だけを見てあきらめるのではなく、実際に会社に行って担当者にあって会社の姿を見ていただきたいと思うのです。
もちろん短時間の面接で何がわかると言われる方もいるでしょう。でも短時間でも意識があればかなりの情報が得られます。それは意識と準備次第である程度埋められると思います。確かに働き始めておかしいと思う部分は出てくるでしょう。それはサラリーマンであればある程度仕方のない部分だと思います。自分のやりたいようにやりたければ、自分で会社を興し、事業を創造するしかありません。
しかし全ての人が起業できるわけでもありません。であるならば多くの会社の面接を受けて、少しでも自分に合う会社、自分の力が活かせる会社を選んで再就職していただくのがベストな方法ではないかと思い、この文章を書かせていただきました。
再就職の会社を選ぶのであれば多くの会社の面接を受けなければなりません。1年に1回しか面接を受けられないのであれば、選びようがありません。
この本が多くの悩める中高年の再就職希望者にとって、少しでもその道のりに明かりがともせたのであれば、望外の喜びになります。
ではみなさんが、できるだけ早く再就職ができる事を願ってこの文章を終わらせたいと思います。
最後に私から再就職活動をされている、皆さんに言葉を贈りたいと思います。
就職活動で、不合格にならない人に、合格する人はいません。
応募なくして合格なし。