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僕は考えた。
...と言うより、嫌でも友希の携帯のことが
頭から離れない。
そのままいつのまにか眠りに落ちていた。
おーい。おっはよ♩
声がする。友希だ。
僕は一瞬眉間にシワを寄せる。
なんだこいつ。鬱陶しい....
そう思いながら『おはよう』と
返答する。
そう返答しながらも、居場所がここしかない
自分にとって、これ以上
態度悪い素振りはできないと
思っていた。
気分の悪い朝。タバコに火を付ける。
僕はボーッと歯磨きをしていた。
『今日面接頑張ってね!』
友希が話しかけてくる。
黙れ金目当てのカス女が....
そう思いながら作り笑いをして頷く。
僕はそれからそそくさと準備をして
家を出た。
くっそ...どうするかな....
そう思いながら面接場所の会社へ向かう。
面接は10分もかからないうちに終わった。
結果は合格だった。
翌日から出社しろとのこと。
ただ完全歩合制の営業だった。
仕事内容は訪問販売だった。
当時の僕は訪問販売がどういう
仕事なのかもわからなかった。
訪問販売という仕事が、悪徳営業だと
ワイドショーで騒がれた数年後と
いうことも、僕は知らなかった。
そう。全くの世間知らずの17歳。
その世間知らずの少年は、世間知らずで
よかったと思い知らされる。
翌日出社する。10人ほどいた。
朝礼で大声で社訓を読み上げる。
僕は場違いなところにいるような
気がしていた。
朝礼で僕が新人の挨拶をする。
それから所長に、今日は高井に付いて
仕事を勉強してこいと言われる
それから5人ずつ車に乗り込む。
僕を指導してくれる教育係の高井さんは
助手席に乗り込むなり眠り始めた。
大丈夫...なのかな...と思いながら
営業する地域へ到着した。
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