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元十郎じいちゃんの話

Image by Olia Gozha

私の祖父は戦場に行った、最後の世代だ。祖父は80歳まで生きた。

祖母は今年で90歳になる。じいちゃんがあちらに逝ってから、一人で築100年ほどは経つ家に住んでいる。

おばあちゃん、ただいま!

声をかけると私とわかるまで少しの時間がかかる。でも、おー、いつ帰ってきたとな?といって喜んでくれる。

実家を出た私はお盆とお正月は帰っているのだが、帰ったらまずおばあちゃんに挨拶、そして仏壇のじいちゃんに線香をあげる。その後おばあちゃんとしばし談笑、いくつで結婚しこの家に嫁いで云々と、昔の話を聞くのが定番。そして、おじいちゃんが亡くなってからこの家はおばあちゃんが守りよう。と言う。そう、この家は祖父の父、元十郎が建てたものなのだ。

元十郎じいさんは次男だったので、結婚してアメリカへ2度渡り、そこで労働して得たお金でこの家と農地を手に入れた。主にみかんと米、その他の農作物で生計を立てた。

元十郎じいさんは写真で見る限り、とても体格がよく、身長も高い。威厳のある顔つきをしている。

おばあちゃんの若い頃は、どこもお見合いで結婚をする。年頃になると女同士の間でどこの家の嫁に呼ばれるか話の種だったそう。その中でも元十郎は、

アメリカ帰りの、厳格者の、口やかましい、と評判だったらしく、あの家に嫁ぐとは大変ばいと噂していたらしい。それがおばあちゃんにきたものだから、

私のところに話がきましたばい!

まぁ!(友達の声)

とその当時の気持ちを込めた表情を再現してくれた。

元十郎さんは小姑のごとく小言が多く、特に熱燗の温度にうるさかったようで、何度もこの話をしてくれる。

和枝さん、この酒はぬるうごたあるぞ。

って熱いか

なぜいまじいさんのことを調べ始めたかというと、ある人に自分の中にあるインナーチャイルドを癒すといいよといわれたからである。

自分の親の夢は何だったのか、聞いてみるといい。

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Image by Jukka Aalho

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