私は現在、起業4年目です。
自分でデザインしたエプロンを、ネットショップで販売しています。
ショップ運営の他には起業支援、時間と場所にとらわれない働き方を目指す「海外ノマド倶楽部」のディレクター(運営)をしています。
基本はどこでも仕事が出来るので、国内外を問わず気分や気候に合わせてふらっと出かけています。
午前中は仕事、午後は観光。
30歳、まさに独身貴族です。
そんな私には、引きこもりの弟がいます。
28歳、出たり入ったり、引きこもり4年目。
うわ!人生の7分の1を、弟は引きこもっている!
私が太陽だとしたら、弟は月。
性格は正反対ですが、割と仲良くやっています。
先日いつものように旅から帰ってくると、家の雰囲気が少し変わっていました。
なんだか、、、、暗い、、、、、、
どうやら父親が引きこもっている状態について、弟と母親を責め立てたようです。
しかも、今回は弟が泣いたらしい。
28歳の男が、親に怒られて泣くとか可愛そう。
父親の気持ちも分かるけど、怒っても仕方ないじゃん。
自由な性格の私から見ると、それくらいの気持ちでした。
しかし弟は今回の一件で、外に出る決心がついたようです。
でも、面接で落ちました。
しかも、飲食店のバイト。
私「いやいや、居酒屋で落ちるとか無いでしょw」
母親「あの子も、何か考えがあったみたいよ。」
私「引きこもりから、居酒屋のバイトってハードル高くない?大きな声とか出せるのかな?」
海外にいるビジネスパートナーとチャット会議をしながら、適当に会話をしていました。
母親「でもさぁ、兄弟ってバランスを取ると思うのね。あなたが自由な分、弟は自由に出来ないところがある。あなたがこうして1週間旅をしている間、私が心配する姿をあの子は見ているから、「自分はそんな風に出来ない」「姉のようにはならない」と思っているところがあるのよ。」
私「う、うん。(そんなこと言われたら、何も言えないよ)」
母親「小さい頃から、弟の面倒を見てってお願いしたことないよね?」
母親「あの子、ごく普通のサラリーマンにはなれないし、向いてないと思うの。あなたはそうやってパソコンがあれば仕事が出来るんだよね?30年間自由にしているんだから、弟をどうにかしてみてよ。」
う、うん。すごい課題が来ました。
たしかにお姉ちゃんだからって、弟に何かを譲るように言われた記憶はありません。
母親が長女として育ち、それが嫌だったから、私に対して「姉」というレッテルを貼らなかったのだと認識していました。ただ、私が譲っていないだけで弟は私に譲ってきたのかも知れない。
良くも悪くも自由人と自覚している私は、反省です。
ちょっとひと肌ぬいでみようか!
そう思った私はさっそく弟にやりたい事を聞いてみました。
「何か好きなものとか、やりたいこと教えて?」
私は「好き」をビジネスにしています。家に居て稼げる方法は沢山あるけれど、せっかくなら弟にも好きなことを仕事にしてもらいたい。しかもこれは普段から他人に教えていることだから、余裕です!
そんな気持ちでした。
弟「やりたいことはない。家に居たい。」
そうは言っても何かあるでしょ。
フィギュア好きじゃん?
→ネットで国内外に向けて販売してみようよ!
自転車好きじゃん?
→自転車用の洋服を輸入して販売してみようよ!
下着好きじゃん?
→男性が選ぶ女性下着専門店とか良いよ!
弟「好きだけど、ビジネスにするのとは違う。ゼロからイチにするのって苦手。やりたいって気持ちが芽生えるなら引きこもりはやっていないよ。」
弟「やりたいことはない。ただ、家に居たい。」
、、、ダメだ。
私の元には「○○がしたいです!」「こんな夢があるんです!」という人が多いので、やりたい事を見つけるところからスタートするのは大変だと知りました。
しかもネガティブだし、正直イラっとする。リビングは一触即発です。
、、、落ち着け、落ち着くんだ。わたし。
実は、私も引きこもりの経験があります。
ビジネスで信じていた人に裏切られて、全てが嫌になりました。行動するたびに「何か裏があるんじゃないか」と疑う日々です。かわいいエプロンを作りたいだけなのに、駆け引きや嘘に翻弄されて疲れてしまいました。そのうち、起きても楽しいことなんてない。がんばりたくもない。目なんか覚ましたくない。と部屋に閉じこもっていました。
人間不信でしたが、家族と古くからの友人は別でした。ビジネスは休止して、友人と穏やかな日々を過ごした結果、私は復活できました。
きっと弟も、似たような気持ちを抱えているのだと思います。私のまわりには沢山の人がいるけれど、弟にはいないみたいです。引きこもりの弟の近くに居るのは家族だけです。なんだか切なくなります。
どうにかして弟に寄り添えないだろうか。
考えよう、考えるんだ。
・
・
・
んん?ちょっと待って??
「家に居たい」
これも、ひとつの願望だ!
私は「自由に、国内外を旅したい」
弟は「自由に、家に居たい」
私の周りには「ビジネスをノマド化して、海外を楽しみたい」という人ばかりです。弟とは正反対に見えますが「自由に好きな場所で過ごしたい」という点では同じです。
好きな場所に居たい。ただそれが弟の場合「家」なのだと理解しました。
そうと分かれば、居酒屋でのバイトは希望のライフスタイルから外れる行為です。落ちて良かったです!幸いなことに「家に居たいだけで、働きたくない訳ではない。」とも言っています。
家に居ながら、お金を得る方法は沢山あります。
ネットショップ、転売、アフィリエイト、FX、内職、、、
実際にこれらで生計を立てることは可能です。
ただ、なんとなく弟には違う方法が必要な気がします。
私「やりたいことがないのは分かった。憧れの職業とかはある?」
弟「うーん。ない。」
私「読書とか好きじゃん?小説家は?批評するの好きじゃん?コメンテーターは?」
弟「家から出たくないし、初めての人と話すの苦手。まだ文章書く方がマシ。なんでもいい。決めてくれていいよ。」
私「じゃあ、文章を書く仕事にしなよ!機械には出来ない仕事だし、これから重要も増えると思うよ。家から出なくていいしね。」
私「じゃあ、手始めに今の気持ちを書いてみてよ!」
弟「わかった。」
その9時間後、弟から1通のメールが届きました。
添付ファイルを開けてみると、そこには弟の気持ちが綴られていました。
4400字。
長いよ!(笑)
ただ、この文章を読んで2つの事に気がつきました。
1つめは、引きこもっている弟の気持ちです。
複雑な、切ない気持ちになりました。
2つめは、「弟、天才かも知れない!」という発見でした。
素直に読み物として、面白かったのです。
この才能を発表したい!
早速、私のfacebookに4400文字の文章を投稿しました。
大反響です。ちょっと嫉妬するくらい、長文の熱いコメントが入ってきます。
「思わず読み入ってしまいました」
「価値観って人それぞれですね」
「文章天才」
facebookの表に見える部分では「面白い」と評価される一方で、現在ひきこもりを家族に持つ人からは「涙が出ました」「ひきこもりの妹の声を聞いたようで苦しくなりました。向き合いたいと思います。」と、個別にメッセージが沢山届きました。
確かにひきこもりの気持ちを、淡々と書いた文章をあまり見たことがありません。
ブログやどこかに投稿されているのかも知れませんが、コミュニティ外の人が読むことは珍しいです。
弟のエッセイも、環境や属性が異なる私のfacebookで投稿したからこそ、反響があったのだと思います。引きこもりコミュニティの中で投稿しても、珍しくないでしょうから。
弟が引きこもりだと他人に話すと「いかに家から出すか」「引きこもりを抜け出すか」という話になりますが、私は引きこもりのままで良いと思っています。
みんなが、グループ行動が好きなわけじゃない。
ひとりで本を読む子が居たっていいじゃない。それが好きなら。
私のfacebookやSTORY.JPさんで発信することによって「こんな人も居るんだな」と思ってもらえたら幸いです。
現在は「他にもエッセイを読みたいです」というリクエストにおこたえして、メール配信をはじめました。(当初はfacebookで1通ずつ送信していたのですが、同じ文章をたくさん送信するのでスパム扱いになりました)
1回目は「下着について」です。女性の下着に物申したいそうです。
これで弟は言い方を変えれば、引きこもりではなく、
売れてないから家に居る、エッセイストです!
今は収入ゼロですが「芥川賞を取った阿部 和重さんを思い出しました」とコメントを頂いたように、いつかは弟も芥川賞作家になるかも知れません。
ってかコレ、面白そうです。
引きこもりのまま、エッセイストとして収入を得たり、コラムニストになれば、これもひとつの生き方ですし、捉え方によっては「夢を叶えた人」にも見えます。
よし!引きこもりの弟を芥川賞作家にするぞ!
私も既存の生き方からは外れています。
兄弟揃ってアウトローに生きてみようと思います。
※追伸1※
(お友達申請いただける場合は、一言STORYS.JPを見たと添えて頂けると幸いです)
※追伸2※
母親にも報告しました。
私「あの子、作家にしようと思うよ。」
母親「面白そうじゃん。お母さんも昔、作家になりたかったんだよね。ちょっとライターみたいな仕事もしてたよ。じゃあ、頼むよ!」
あっけなかったです(笑)