プロローグ
作者が10年住んでいた街は、特徴がなさすぎて片田舎の一言で片付けられるレベルのどこにでもある街です。(たまに同じ県内の人にまで「どこねそれ?」と聞かれる始末。存在感が消しゴムのカスレベル。ふぅーってしたら多分地図からいなくなる。)
まーでも頑張って說明すると…
数年前にやっと郊外の象徴、イオンが出来て町民が歓喜いたしました。(お祭り騒ぎ)
電車は日中30分に1度しかまいりません。(逃したら30分待ち、しかも周り何もない)
平成の世になっても未だにヤンキーとかいう絶滅危惧種が駅前でキーキー騒いでおります。
(リーゼントだってまだまだナウい!なめんなよ夜露死苦☆)
まだまだ無人販売所も健在です。(野菜が旨い)
町内の景気も悪く家庭環境が複雑な子がめちゃくちゃ多いです。
(うちさーお父さんいないんだよねー。←あっそ うちさー兄貴が少年院にいてー。←ほー。)
そんな町の幼稚園に頭ぱっぱらぱーのお姫様、ピンク、魔法大好き少女が転校してきました!
高飛車。富士山のようなプライドの高さ。夢見がち。仕切るの大好き。自分の頭の良さをひけらかす。頭も言動も持ち物もお花畑。季節関係なくカラフル。とにかく浮きまくり。
まー、当然イジメられます。小学校の卒アルから昼ドラ臭がするような気がするくらい陰湿にやられました。(どんな匂いだ)
3者面談でも毎回「協調性がない」「授業中意識が空を飛んでいる」など明らかにこいつ頭大丈夫かオーラを遠慮なく出される始末。正直小学校後半はオール黒歴史ってやつです。
今さっきヤンキー馬鹿にしましたが、部活に入り色々あり、作者中学でかるーくグレます。本当にすみません、お友達です。
小学校の頃あった学力と「こんなしみったれた町高校生になったらイイトコ受験してすぐにでてってやらあ!」っていう気迫はあっけなく死亡した模様です。ちーん。まぁ私の決意なんてそんなもんです。どんどん下がる順位。乱れる生活。悪くなる大人への態度。まぁ初めて見つけた自分の居場所に舞い上がってました。
まーそりゃーそんなの神様が黙ってみてませんでした。さようなら自堕落半グレ生活。
忘れもしない10月後半のある日。冬服がちょうど馴染み始めてきた時。
笑ってこらえて!を見てぎゃーぎゃー騒ぐアホ姉妹を見る親の視線が哀れみを含んだ暖かさをもってる…それはまるで今から捨てる子犬を見つめるような生暖かさでした…がくぶる。
そしてゆっくり手招きをする父。
父「はいおいでーふたりとも。そこにおすわり。今から大事なこと発表しまーす。」
ヤッパリナニカキタ━(゚∀゚;)━!
妹(当時小学校低学年)「えーなになにー?」
やったらめったら笑顔の父。目がまりもっこり。どうした。ひょっとして悪いことじゃない?あ、わかったぞ、宝くじがあたったのか。素敵素敵!そうだ、そのはずだ、わーいわーい。明日から億万長者ってやつだー。もう夕ごはんにスーパーの特売刺し身はでてこないんだねーそれは素晴らしいーいや別にあの刺し身うまいけどー。
そうであってくれ、ください、お願いします!!!!
どぅるどぅるどぅるどぅるどぅる…
でーーーん!
父「んーとね、…うちは来年の四月にバンコクに引っ越しまーす。任期は3年、いろんなことができます!いぇーい!」
…。
…………。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
私「はぁ!?なにそれど」
妹「ふぎゃあああああああああああああああうあああああおあああああああああああああああああああどえりゃあああおあああああのおおあjzxcvんmkgd
どこそれえええええええいやああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!
むりいやああああああああぎゃあああああほぎゃああああああのああああああああkwjkhfkjwhくjskあああああああああああああああああああああ!!!」
なんか叫ぶタイミング出遅れた。
もうまさに地獄絵図。弱い頭で必死に理解しようとしてギャン泣きする妹(約210ホーン)。私の頭のなかで火を囲んでどんちゃん騒ぎし始める真っ黒の肌にこれでもか!な明るさのペイントを塗りたくった半裸の民族。大爆笑する両親。テレビから鳴り響く吹奏楽。予想外の出来事につったつ自分。
…なんだこれは…。
ようやく舞をやめる謎の民族。フェードアウトするどんちゃん音楽。ぶっ倒れる妹。目の前に華麗に広げられた旅行ガイド。
ねぇまって。高層ビルがたくさん見えるよ。37階?うちの街で一番高いのは仲良しのNちゃんの住む14階建てのマンションだよ。え、人口800万人?この街の160倍?しかも戸籍持ってない人間を数えてないだぁ?ていうか
民族いないのね…。
次の日の球技大会も完全に放心状態。元から軽い脳が強すぎるショックで落としたIphoneのごとくバッキバキになりました。
昨日言われた事実を飲み込めてない頭が飛んでくるボールに反応できるはずもない。
既に瀕死の頭を守るので精一杯。
ミスしてない時まで元バレー部のNちゃんにぶち切れられる始末。(未だになんでか分からない)
もう反論するとか無理です。エネルギーセービングモードです。どっかいけ。皆死んでしまえ。
いやチームメイトからするとお前が死ねって話だけど。
そっからの5ヶ月荒れに荒れました。
家出、喧嘩、荒れる言葉遣い。「もういなくなるし日本の勉強しなくていいや☆彡」で地に落ちる内申点。
そしてなによりストレスからのバカ食い。
空港に佇む私は既に横綱の風格でした。ででーんって効果音がこれほど似合ってた時期ない。
スワンナプーム空港に降り立つ娘を父親が探しきれないレベルです。はい。14kg太りました。
空港ついても不機嫌、泣く、最悪帰りたい意味分からないとぐずる私は
親に張り手されました。おもいっきし。しかもショッピングモールで。
いや見た目で言うと張り手は私の役目のはず。
じゃなくて。
なんか肌の浅黒くて目のでかい人たちがこっちを見てる。人混みに輪っかができてる。
よくわからない言葉でひそひそ言ってる。これから同じ学校になる人がいたらどうすればいいの?
恥ずかしい、逃げ出したい。でも右も左も分からない。ドコニモイケナイ。
ていうかスパイス臭い、暑い、もうやだ…。
そっから後のことは覚えてません。でもこういうふうに私のバンコク生活は最悪のかた地でスタートしました。ぱちぱちぱち。
この後の1ヶ月学校が決まるまで立派なうつ病ひきこもりとなります。
その話はまたあとで。