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13/11/1

えにしつむぎ 第9縁 『ピンクのウィールチェアの天使』

Image by Olia Gozha

2008年大阪にて単独ゴスペルワークショップ参加での沢山の縁は、今も大事なもの。大阪に行く際は必ず逢う二人の友人の一人、松岡葉子ちゃん。ワークショップの昼食時に同席だった数人とその夜、十三のお好み焼き屋でノリでゴスペルを歌う流れに。穏やかな葉ちゃんの顔つきが突然戦うように構え、アメイジンググレイスを歌い出した事を思い出す。彼女が何故、車椅子ユーザーなのかは数年訊ねなかった。時折メイルには「今日は痛みが激しくて起き上がれないんよ...」でも神様が守って下さるからね、大丈夫と続いた。実は彼女が洗礼を受けたのはほんの二年前なのだ。出逢った頃、彼女は迷っていた。計り知れない痛みと失望の果てに心から信じられるものなどなかったのだろう。洗礼を受ける少し前に、彼女は東京のある高校で人権についての講演をする事になり上京した。付き人として葉ちゃんの講演を席の後ろで聞いた。衝撃的な交通事故の事実。ヒップホップダンサーを夢見て毎日踊り明け暮れ、昼夜幾つもバイトを掛け持ち。バイト先での用事で、上司の車の助手席に乗車、突然恐ろしいスピードで車は繁華街のカーブを曲がろうとし、大破した。結果、彼女は脊髄を損傷し、立つ事が不自由になってしまう...。話し終えると彼女はひと呼吸置いて微笑んだ。「だけど、それまでバラバラだった家族の絆が結束したんですね」父は鬱っぽく、引き蘢りがちだった。だが彼女が治るのなら何でも試したいと、彼は蜂蜜作りを始めた。母と妹の渾身的な付き添いは彼女の笑顔をより一層明るくした。証を受けた彼女に色々な使命が送られた。去年葉ちゃんは事務所が決まり、プロのゴスペルシンガーとして福音を届けている。この夏、彼女は新たな挑戦を胸にニューヨークを訪れた。封じていたダンスに、もう一度向かう事を決意したのだ。新しい形のゴスペルダンス「プレイズダンス」を彼女は短期間でマスターしたのだ。彼女から届いたその映像を観て涙が流れた。身体から迸る濁りの無い賛美。私にとってゴスペルとは...彼女のような人を通して感じる事が出来る。神様との真の縁を授かった彼女に拍手を送りたい。結び。

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Image by Jukka Aalho

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