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小学校の頃の話

Image by Olia Gozha

嫁とは今なお冷戦状態です

嫁は昼から夕方までのパート行ってるんだけど、俺ずっと家にいる

もう完全に引きこもり

俺の一番古い記憶の俺状態

何をするでもなく一人でも時間潰せる天才かも

夕方嫁が帰ってきて「おかえり」と声かけるも返事なし

家で一言もしゃべってなかったから「おかえり」の「お」がカスカスだった


帰ってくるなり台所でゴソゴソしてるな、と思ったら、そのまま一階のリビングに

(あ、うち二世帯住宅なんですよ。俺らが2階で嫁の親が1階なんだけど、嫁の父親が亡くなってから、母親は書き置きして家を出てったから1階は普段使わないの。ここら辺の話は長くなるからまた今度)

今までは口を聞かないまでも同じ二階のリビングに一緒に居たのに、これはいよいよ家庭内別居か?と

そしたら玄関のピンポンが鳴ってお客さんが来たみたい

誰かくる予定になってた様子

少し安心しつつ一人で二階にいるのも暇なんで続きでも書きます


小学校上がると姉は4つ違いだから同じ小学校に通ってたんだよな

だけどなんかあんまり記憶がない


九九の暗記とかやったね

漢字も習った


体育の時間、校庭の隅っこにある、なんて言うんだ?棒のぼり?での授業

相変わらず友達と呼べる友達はいなかったけど、いいとこ見せようと思って張り切ってたら次の瞬間地面に落っこってた

ケガしたねえ

擦り傷

担任の先生は一応心配してか「保健室行っといで」と

俺なんか面倒かったんだけど、まあそこまで言うならと、授業中のみんなと離れて保健室に行くなんとも変な感じ

保健室の先生は女の若い先生だったがすんごく冷静

小学1年生の俺に

「どうしたんですか?」

俺は別に来たくて来たわけじゃないから

「先生に保健室行くように言われたから」と応える

保健室の先生は

「言われたから来たんじゃなくて、なんで来たの?」と


今にして思えば保健室の先生の対応は至極当然なんだけど、その時の俺は「え?なんで責められてるの?」ってビクビクしてた

ビクビクしながらも事のあらましを説明すると

「はい、よろしい」

頭の中にたくさんのクエスチョンマークが飛び交いながら擦り傷の手当を受けたのを覚えている


この体験から俺は何かを学んだのだろうか

「すごく学んでためになった」ていう感覚はまったくないんだけど

うーん、なんか感じたねえ

なんか感じたから覚えてるんだねえ



2年生だったかな3年生だったかな

クラスに年中ハナ垂らしてる男の子がいたんだ

特に仲よかったわけじゃない

いつもハナ垂らしてるからクラスのみんなからもあまり好かれてなかった

俺もなんか汚いな、と思ってか意識的に遠ざかってたと思う


ある日俺は先生に頼まれ事をされた

「放課後、一緒に病院行ってきてあげて」

どうやら彼は蓄膿症で通院してるみたいなんだ

だけどいつも病院行くのをサボってたみたい

その子の親から先生にお願いされたのだろうけど、何故かその役回りが俺にやって来た

理由はよく分からない

そのとき俺は同じ班の班長でもやってたのかな?


そんな感じだから全然気乗りしないんだけど先生の言うとおり放課後彼と一緒に病院行くことにした

あんまり話したこともなかっただろうし俺もイヤイヤだったから道中俺から話しかけたりはしてないと思う

俺の重い足取りに比べて何故か彼は嬉しそうだった

いろいろ話しかけてくれたと思う

病院の場所は俺は知らなくて彼の足任せで、俺はただついて行くのみ

近道なのかなんなのか田んぼのあぜ道とか草むらの脇道とか、本当に病院に向かってるのか分からない道を歩いて行く

きっとここら辺は彼のテリトリーなんだろう

楽しそう

(だけど早く病院行こうぜ)俺の心の声


なんだかんだで病院に着いて、何故か俺も一緒に処置室に

「学校の友達で、一緒に来た」とでも言ったのかな

だからってなんで彼が処置されてる間ずっと見ていなくちゃいけないんだ?

なんか鼻に管みたいなのを自分で差し込んで、薬なのかな?蒸気みたいなのを鼻の奥に送ってた

「ふーん、そんなんするんだ」ぐらいに眺めながら俺は終わるのを待ってた


こんな放課後の付き添いを何日間かやってたかな

途中で俺が嫌になって先生に「もう辞める」って言ったのかな

彼との思い出はこれくらい


いや

確かではなくて、もしかしてだけど


社会人になってすぐの頃、家の近くの交差点で信号待ちしてたときに「あっくんやんか、元気?俺のこと覚えてる?」と声をかける男に会った

俺まったくピンと来なくて、同級生の顔覚えている限り新旧ぜーんぶ頭の中でサーチしたんだけど、やっぱり思い出せない

でもなんか悪い気がして「お、おう、久しぶり、元気元気、そっちは?」と当たり障りのない返事をした

ものすごい居心地の悪さを感じながら信号が変わるのを今か今かと待ちわびた

無事に信号が青に変わって、俺たちは「じゃ」と別れた


今でもそれが誰だったか分からないけど、もしかしてあのハナ垂らしてて病院まで付き添った彼だったのかな


同一人物かどうか分かんないけど、ハナ垂らしてた彼、社会人になって交差点で話しかけてきた彼、今思うとどちらにも悪いことしたように思う

すまん

せっかく心開いてきてくれてたのに俺の方が閉じっぱなしで




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