若い頃
やりたいことを追いかけながらアルバイトを昼夜問わず掛け持ち。
なんて月並みなことをやってみたりしてました。笑
20代前半。当時初めて出会ったやりたいこと。
今の家内と付き合い出した頃でもあり、とにかくもう全てが止まらない!
エンジンだけが空回っている状態でした。
そんな中、そこそこ全国紙にも紹介されるレベルのカフェバーで働かせてもらう機会がありました。
昼は女子率の高いカフェ。夜はお洒落で、ムードのあるバーという感じ。

昔の施設を活用して造られており、特徴のあるバーで、基本は吹き抜けの一階がメイン。一部に存在する二階部分はVIP席。一階の入り口側の壁際にバーカウンターがあり、その奥に厨房やカフェカウンタがあるという作り。
そして私が働いたのは勿論深夜から早朝の時間帯。人員はシェフ、バーテン、バイト2名という体制。
ただ、途中フードのラストオーダーが深夜1時前後なのでその後余り物でシェフが賄いを作ってくれます。これがまた適当なノリなのですが、滅茶苦茶美味しいんです☺️
どれ位美味しいかの表現は難しいですが、正直、未だに、その当時の環境の影響もあるかと思いますがこの賄い達の味以上の料理は食べてないんです 笑
ちなみにこのシェフは深夜2時過ぎに仕事を上がり、その日の昼前にはまた厨房に立ってランチを提供すると言うハードな毎日。
ヘルプで入れる方がたまにいるとはいえ、基本ほぼ毎日をこのシェフが一人で担当。
ちなみに妻子持ちだったように覚えています。というのも
シェフ「お前、彼女は?」
Me「いますよ♪」
シェフ「結婚はしてないのか?」
Me「流石にまだですね」
シェフ「それが凄いよな。俺からしたら守るもの無しに働けるのは尊敬するわ」
てな会話があったからです。
ただ当時の私には家庭の事情を聞いたりする余裕もなく。。。これ以上深くは知りません。。。
さて、いよいよ本題。
このバーにお世話になって一ヶ月が経った頃。そろそろカフェメニューを担当することに。

クリームブリュレやシフォンケーキ等を店長に教わったものの、基本は先輩に作って出してもらっていたのです。怖いですもんね笑
しかし!ある日突然の交代もあり、私とそう経験の変わらないバイト君と二人での勤務の日が!
不安一杯の中怖そうなオジサマと綺麗なお姉様がご来店。普段よく見るパターン。
当然ながらVIP席へのご案内。
オーダーはカフェとお酒。
と。
来ましたよシフォンケーキ。
急いでカウンタに戻る。
ケーキはカットすれば良いので簡単。
問題は添えて出す生クリームです。
バイト君と二人で記憶を頼りに四苦八苦しながら作り、
味見をして、
大丈夫だろうと添えてサーブをしにカウンタを出ようというところで
シェフから
シェフ「ちょっと待て」
We「はい!」
シェフ「ちょっと貸せ」
We「はい(何か駄目なとこあるのかな)」
シェフ「(味見)」
シェフ「ふぅぅぅ。。」
We「(なんだなんだ)」
シェフ「いや、何ていうんやろ。うーーーんお前ら死んだ方がええと思うわ。うん。」
We「(ええええ!!そんな普通のテンションで!)」
そこから我々が作ったクリームは丸ごと捨てられ、シェフが一から作り直して頂き、これを提供しました。
勿論今なら反省すべきことは幾つもありますが、特に「死んだ方が良い」とまで言われたのは
シェフ「お金もらって働いて、お客様からオーダーしてもらって、その働くこっちが提供するものが「まぁいいか」みたいなもんを良く出そうと思えたな。」
ということだそうです。
普段、事務所の簡易ベッドで寝る以外、ほぼ毎日オーダーしてもらったものを料理しているシェフ。その言葉は、当時仕事の重みなんて皆目理解していない私にも問答無用で刺さりました。本当にありがとうございました。
今も思うのですが、言葉そのものも確かに大事です。
でも結局誰が言うかですね。
例えばシェフと同じ言葉を当時の私が口にしても誰も響かないでしょう。笑
時折、この言葉と顔、要は当時を思い出しては身が引き締まる思いがします。
その店はもう無くなってしまったけどお元気かな。
またあの賄い料理が食べたいと思う今日この頃です。