私の友人、たくましい巨漢女ナオとイケメンヒロの1年3ヶ月に渡るネット恋愛を傍からみた全てを綴っていきます。
彼女は気さくで明るい巨漢女性でした。
彼女と出会ったのは某サイトのチャット
たまたま入室した複数人が集うチャットルームで私は彼女と出会い、そこに居つくようになった。
ルームの感じもとても居心地がよく、彼女はルームの中心人物なのだとすぐにわかりました。出会った当初彼女が自己紹介してくれた内容は
【九州住み、女、24歳、彼氏はなし、名前はナオ】(他にも色々詳しく書いてあった)
ちなみに私の自己紹介は【関東、女、18、名前ミク】これでした。
最初だった事もあり、簡潔に自己紹介してしまったのを覚えています。
気を悪くせずに彼女は輪の中に私を入れてくれました。そこから私は彼女に懐き彼女の明るさに惹かれ、いつからかルームでのチャットと同時進行しながら個別チャットでも会話をするようにもなります。
彼女はとても面白い人でした。
自虐をかましながらも笑いを誘ってくるのです。デブネタを話す時なんかは彼女のタイピングのスピードがあまりにも早すぎて(あ、今めっちゃ笑いながら打ってるだろうな・・・笑)なんて思っていました。
そんな彼女はいつも隠す事なく私に自分がいかにデブなのかと言うのを力説します。
ナオ「あのさ、最近まじ寝起きが重力に耐えきれなくて転がりながら起き上がる方法見つけたわ!!!」
私「普通に起き上がって?ww」
ナオ「膨張色ってあるやん?それ避けて黒ばっか着てたらさ近所のばあちゃんに熊と間違えられたんやけど・・・」
私「wwwwwwwwwww」
話すと楽しいけれど不思議でたまりませんでした。何故そこまで自分を落とすような発言が出来るのか理解が出来なかったんです。
ある日、ナオはリアルの都合でルームに来れない日が3日程ありました。
毎晩のように集っていたルームの住人達も寂しがりどこかチャットも盛り上がりに欠けていました。彼女はいるだけで明るさやパワーをくれるような存在だったのです。
そんなナオの留守中にルームに入室してきた男性が冒頭のイケメンヒロ(28)です。
女性陣は久し振りの(20代)男性の入室に盛り上がり、男性陣は「顔見せてみ!」と絡んでいました。
ルームの住人達の年齢は幅広く女性は25~35歳、男性は30~40代が多かったです。
急な過激な絡みにも嫌がらず顔写真を晒した彼なんですが、私も便乗し写真を見ました。
顔の整った男性で女性陣の食いつき方は凄まじかったです。
ナオとは異性の話もたまにしていましたが、彼女もまた「イケメンは見ていて癒される」と言っていた事もあったので(ナオも喜ぶだろうな~)と思いながら頂いた写真をナオに見せる用に保存しました。
そして4日目の夜、ナオはいつものようにルームに入室し、私にも個別でチャットを送ってきます。
ナオ「やっほー」
私「おかえり!新しい人が入ったよ!」
ナオ「ただいまー。ヒロっての?」
私「そう!!めっちゃイケメンだよー」
私はすぐに報告してみると、ナオはビックリする事を言ったのです。
ナオ「イケメンなん?ダメダメ」
私「なんで?写真あるよ!」
ナオ「あのね、みーちゃん。覚えとき!野生のイケメンは恐ろしいんだよ!」
私「??」
ナオ「芸能人のイケメンはたくさんキュンを与えてくれるやん?」
私「うんww」
ナオ「野生にはそれがない。」
彼女の持論によると野生のイケメンはゆっくり目の保養も出来ない。だからダメ。と言うものだった。
初見だからと自己紹介しているヒロに普通に挨拶を交わしているナオを見ながら(せっかく保存しておいたのに・・・)なんて思っていました。
平和に時間は流れ、ヒロが居つくようになってから2ヶ月経った頃です、いつものように入室してきたナオから個別が届き様子が変な事に気づきました。
ナオ「ふぁあああああ!!」
私「どした?」
ナオ「ヒロに告白された」
わけが分かりません。しかしありえない事はないなとすぐに気づきました。
ナオはルームの中心人物であり、住人たちからとても信頼されていました。
私以外にも個別でナオと話しているような人もそこそこ居たんです。私とする雑談みたいな感じではなく相談事が多かったようですが。
なのでヒロとナオが距離を縮めていてもおかしくはなかったんです。
私「写真交換とかしたの?」
ナオ「しとるわけないやろがい!てかオープンの方でデブネタ放った事ないやん。やからヒロはうちがデブとか知らん!信用ならん!」
私「内面で好きになったんじゃない?」
ナオ「そんな訳あるかー!醜い物よりも美しいほうがいいにきまっとるー!」
誰が誰を好きだの、付き合ってるだのそういう話は結構ありました。
他のルームにお邪魔した際も結構見かけていたので驚きはしませんでした。会った事もない人を好きになる、なんて到底私には出来そうにありませんが言葉と言葉のやり取りで心が惹かれあっていくという漠然とした感じはなんとなく分かります。
しかし私は内心ではナオの場合は上手く行くわけがないと思っていました。実際のナオを見た事はないけれど普段話している感じから相当太っている事は感じていたし写真交換などしようものなら、ヒロは逃げ出すんじゃないかと。
ナオという人間を良く思っていても太っている事を私はマイナスと捉えていたのです。
ナオはその後ヒロを避けるようになりました。みんなで会話している時もヒロとは直接話して居なかったし、「個別やってる?」とナオに聞いた時もナオは無視してると言っていました。
ですが私はナオがイケメンに告白されたという出来事が頭から離れずに居たんです。
ヒロの事が好きだったわけではありません。なんとなくこれ以上関係が進まないで欲しい。だってナオが傷つく事になるから。と思っていました。
ルームチャットでちょっとしたイベントを開催した時のことです。
タイピングゲームの成績で一番悪い人が自分の暴露話をするというものです。
クリアした分数、ミスの数からランキングを自動でつけてくれるゲームをネット上で見つけやってみようと40代の男性が言い出し、やる事になりました。
あまりタイピングが得意ではなかった私は居留守を使い流れを見守りました。
ただ自分の暴露をするだけでいいならまだしも、暴露した上に根ほり葉ほり質問責めに合うのです。
しかも暴露レベルも判定が厳しく「え~そんなの~?」という空気になればもう1つ言うハメになる正直悪質なゲームでした笑
結果はナオがダントツの1位です。ナオは仕事が事務職で毎日キーボードを叩いているからタイピングは得意なのだと笑い混じりに言っていました。
そして流れでいくとビリはヒロ!と言いたい所なんですが、結果は全く一連の話に登場する事もなかった30代男性です。
しかし、この男性の暴露でルームの空気は凍りつきました。
『俺ナオと会った事あってさ!…んでー…好きになった!んでーフラレた( ºωº )』
皆が驚きフリーズ状態です。
私も知らなかった。いや、誰も知らないから暴露なんだろうけれど。
ナオ大丈夫?ヒロ…大丈夫?
居留守を使っていたせいで個別で聞く事もサボりがバレるためできませんでした。
そこから根掘り葉掘りが始まります。
いつあったの?
なんて告白したの?
どういう所に惚れたの?
ナオ実物かわいい?
会ったキッカケは?
ヒロはその間、終始無言でした。
それから30分経った頃ヒロはチャットルームから出て行きました。
ヒロが退室したと同じくらいにナオから個別がきます。
『最悪だー!』
気持ちは分かります。
ナオも一緒に暴露したようなもんです。
『ヒロぶち切れてた』
でしょうね。
だってずっと告白以来ナオから無視されてましたから。
ナオは告白されて返事もせずに無視し続けていたからヒロが怒りたくなる気持ちも分かってしまいます。