top of page

17/4/14

カルトに負けない人間性

Image by Olia Gozha

エホバの証人の世界はある意味、強制収容所のようだった。そんな中でも強い人間性を発揮する者たちもいた。

以下は、ナチスドイツでのある音楽隊メンバーの体験談である。絶望に負けない人間性について考えさせられる。

「101歳が回想する、ユダヤ人収容所での音楽隊の仕事―。絶望の中でも手を差し伸べる人間は必ずいる」

 ヘレナが他の囚人よりも好待遇を得られたのは、彼女が音楽家だったからである。ビルケナウでは強制労働に赴く囚人の意欲を高揚させるため、音楽隊が結成されていた。ヘレナはバイオリニストとして入隊し、重労働を免除されたばかりか、防寒や医療などでも恵まれた環境に身を置くことができたのである。

 もちろん、音楽隊の毎日が幸福だったわけではない。朝から晩まで訓練は続くし、指揮者のアルマ・ロゼはどこまでも厳しい女性だった。アルマは有名なバイオリニストだったが、ユダヤ人だったために収容された囚人である。アルマは「音楽隊は楽をしている」と思われることが自分たちにとって不利に働くと知っていた。そのため、隊員に対して優しく振る舞うことは滅多になかった。しかし、アルマの毅然とした態度があったからこそ、ヘレナたちはナチスから保護され続けたのである。アルマの人間性はナチスすらも一目置いていたという。通常、ナチスは囚人を番号でしか呼ばない。しかし、アルマだけは名前で話しかけられていたのだ。

 囚人たちが強制労働を命じられ、ときには処刑されている側で演奏をし続けることに、ヘレナは葛藤する。隊員の中にはうつ病を患った者もいた。それでも、ビルケナウ全体の生存率を考えた際に、音楽隊が生き残った割合が驚異的なのは事実である。ヘレナはこう考える。

「あのような非人間的な状況にあっても、過酷な運命に打ち克つように、あるいは辛い体験を少しでも和らげるようにと他の人たちに手を差し伸べた人間がいた

 アルマたちリーダーの強さや隊員同士の友情は、絶望に負けない人間性を読者に教えてくれるだろう。」

←前の物語
つづきの物語→

PODCAST

​あなたも物語を
話してみませんか?

Image by Jukka Aalho

フリークアウトのミッション「人に人らしい仕事を」

情報革命の「仕事の収奪」という側面が、ここ最近、大きく取り上げられています。実際、テクノロジーによる「仕事」の自動化は、工場だけでなく、一般...

大嫌いで顔も見たくなかった父にどうしても今伝えたいこと。

今日は父の日です。この、STORYS.JPさんの場をお借りして、私から父にプレゼントをしたいと思います。その前に、少し私たち家族をご紹介させ...

受験に失敗した引きこもりが、ケンブリッジ大学合格に至った話 パート1

僕は、ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジ、政治社会科学部(Social and Political Sciences) 出身です。18歳で...

あいりん地区で元ヤクザ幹部に教わった、「○○がない仕事だけはしたらあかん」という話。

「どんな仕事を選んでもええ。ただ、○○がない仕事だけはしたらあかんで!」こんにちは!個人でWEBサイトをつくりながら世界を旅している、阪口と...

あのとき、伝えられなかったけど。

受託Web制作会社でWebディレクターとして毎日働いている僕ですが、ほんの一瞬、数年前に1~2年ほど、学校の先生をやっていたことがある。自分...

ピクシブでの開発 - 金髪の神エンジニア、kamipoさんに開発の全てを教わった話

爆速で成長していた、ベンチャー企業ピクシブ面接の時の話はこちら=>ピクシブに入るときの話そんな訳で、ピクシブでアルバイトとして働くこと...

bottom of page