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13/5/11

エアコンの取り外し

Image by Olia Gozha

つい今しがた、エアコンの取り外しに業者の人が来た。今住んでいるマンションは建て壊しになるので、もともとついていたエアコンを大家さんから譲ってもらったのだ。業者の人はエアコンの取り外しをする前にこういった。

「このエアコンもう結構古いので、取り外し、洗浄、取り付けするなら、新しいのを2万5千円で買って取り付けたほうがいいとおもいますが。。。」


「えっ、エアコンってそんなにやすいんですか?」


「価格ドットコムで調べてみてもらえば、最安値でそういうのがあるんですよ。」


「なるほど。」


「どうしますか?」


私は少しの間考えた。


「この古いエアコンを持っていって、今年の夏に使えなくなって、また取り外して新しいの買うってなると、お客さんの負担になるとおもうんですよ。」


業者の人が言う。


「確かにそうですね。」


それからもう少し考えて私はこういった。


「いや、やっぱりエアコン取り外してください。」


業者の人は少し驚いた顔をした。


私は続けた。


「なんにもいわずに、エアコンを取り外して持っていけば、売り上げに繋がるのに、お客さんのためにこうしたほうがいいって、利益よりも優先して言っていただけたのが私は嬉しかったので、お願いすることにします。今年の夏に壊れたら、あなたに取り外しを頼むので後で名刺ください。」


「そうですか。ありがとうございます!」



それからエアコンの取り外しをしてもらっている間に少し話をした。


引越し業者の仲介でこの業者の人に来てもらったのだが、取り外し、洗浄、取り付け、どの作業でも引越し業者が仲介手数料を取るらしい。そして、実際取り外し作業は大した収入にもならず、高速を使って遠方に行けば赤字だそうだ。


引越し業者の名前は伏せるが、その引越し業者も去年の夏くらいから赤字らしく、エアコンの業者に支払うお金を下げられたと業者の人は言っていた。


一生懸命働いて、ぎりぎりのところに多くの人が立たされてる。私は大した学歴もないからわからないが、こういう社会っておかしくないか?



エアコンの取り外しが終わった。


「今日はありがとうございました。また、取り付けのときによろしくお願いします。」


業者の人は言った。


「ちょっとまっててもらっていいですか?」


私はそういって、近くの自動販売機に走っていき、缶コーヒーを買ってきた。


「こちらこそ、ありがとうございました。これよかったら飲んでください。」


「あっ、ありがとうございます。いただきます。」


そういって受け取った彼の手は、多くの作業を懸命にこなしてきた、汚れた、ごつごつとした手だった。


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