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Bugayong ファミリーとの出会いで私は探していた答えを見つけた

Image by Olia Gozha

何で生まれてきたんだろう?

何のために生きてるの?



転勤先の関西から地元福岡に帰ってきた25歳の夏。

私の心は荒みきっていた。

家と職場の往復の日々。

駐車場に車を止めて職場に向かう足取りは重い。

下を向いて、ため息ばかり。

いつも探していた。

生きてる意味を。



好きな仕事なわけじゃない。

結婚願望があるわけじゃない。

イケメンは好きだけど男性が得意ではない。

子供は苦手。



この先、私はどうなるんだろうっていう漠然とした不安だけがいつもあった。


いつも、得体の知れない孤独と闘っていた。




接客業でまとまった休みなんてない。

GWやお盆、クリスマスにお正月、そんな世間が街中が浮かれているときも、私はいつもと同じように働いていた。

四季があるのに、年中スーツ。

いつからか、季節感さえ感じなくなった。



22歳でこの会社に入り、当時の店長は26歳。

夜遅くまで働き、疲れた顔で帰っていく。

そんな彼女の姿を、当時の私は哀れな目で見ていた。

あんな26歳にはなりたくない。

夢も希望も未来もないような、あんな覇気のなくなった大人にはなりたくない。



時は経ち、もうすぐあの時の店長と同じ歳を迎える。

あとで知ったことだけど、彼女は20歳で出産をし一児の母だった。

そして私が入社した年、彼女は2人目を妊娠。

私が入社して2年目を迎え、関西への転勤を命じられた頃、彼女は育児休暇に入った。

なぁんだ。

ちゃんと女としての人生を歩いてたんだ。

取引先との接待のときも、遅くまで付き合っていたから、まさか彼女が結婚ししかも子供までいたなんて、想像もしてなかった。



彼女は仕事と家事と育児を抱え、ただ単に疲れていただけだったんだ。

しかも旦那の親と同居生活。




25歳で彼氏なしの独身女。

尚且つ生きる意味を模索している今の私の方が事態はよっぽど深刻じゃないか。

あー。

ツライ。

生きているのがツライ。




仕事に向かう途中、仕事から帰る途中

運転中に思うようになった。

あぁ、事故りたいなぁ・・・

電信柱にぶつかってケガしたら入院できて、とりあえず休める。

そしたら、何にも考えない時間ができるかな・・・って。



もう何も考えたくない。

無になりたい。

深く考え込む性格が、私の心をどんどん蝕んでいった。

意味もなく泣けてくる。




や、意味はある。

なんで泣けてしまうのかも知っている。

ただ、知らないふりをしていただけだった。


ずっと自分の気持ちにウソをつきながら生きていた。

本当はやりたいことがある。

でも勇気がない。

こんな精神状態ギリギリの生活でも、失うことが怖かった。

新しいことを始めるのは、勇気がいる。


その先に、どんなことが待ち受けているのか当時の私は不安の方が勝っていて踏み込むことができなかった。


辞めればいい。それだけの話。

でも、私にはその選択肢はなかった。


そんな簡単な選択ができる自分ならとっくに辞めている。




そして、私は店長になった。

完璧主義の私。

店長はこうあるべき。と勝手に掲げた自分なりの店長像が自分の首をキツくしめていた。


心は限界だった。


ある日、レジカウンターの横にあるパソコンで仕事をしていると、新人スタッフがお客さんに怒られていた。

接客態度がまずかったらしい。

ここは店長である私がすぐフォローに回らなければいけないところ。

なんとかしなきゃ、そう思ったとき

私の顔が痙攣をはじめた。

あんな経験は初めてだった。

とてもじゃないけど、こんな姿でフォローなんてできない。

そんな私を横目に

「もうここには来ない」

そう吐き捨て彼女はお店を出ていった。


店長失格だった。



そして、私の心を決断させる出来事が起こった。

ベテランスタッフが2人辞め、人手不足の中

対応に時間がかかり、待たされたらしい。

レジカウンターでも荒れた様子のお客様。

支払うお金を投げつけるように出してきた。

その後は、事無き終えたけど、私の体は敏感に反応していた。

過呼吸だ。

私は誰にもバレないように、バックヤードに下がったけど、その瞬間涙が溢れ出した。

あー。サイアクだ。

職場で泣いてしまった。

そのあとに私を呼びに来たスタッフにその姿を見られてしまった。

「え⁉︎大丈夫ですか?過呼吸⁉︎」

そう言って紙袋を渡してくれて、見えないようにカーテンを閉め、それ以上何も言わず持ち場に戻った。


私は少し涙が収まったところで、トイレに駆け込んだ。

トイレに座ると少し落ち着いてきたけど、お店に戻らなきゃいけないと思えば思うほど涙が溢れ出してどうしようもない。


職場で泣くなんて完全に店長失格。

感情をコントロールできないほど、私の心は悲鳴をあげていたのに、それでも私は至らない自分を責め続けていた。


毎日、自己嫌悪の日々だった。



何のために生きてるの?

何のために働いてるの?

こんな私が生きてていいの?

世の中では毎日誰かが命を落としている。

その中にはきっと、夢を追う最中で断念した人もいるだろう。

こんな自分が生きてることが申し訳ない。

私になんの価値があるんだろう。

無意味に生きてる自分ってなんなんだろう・・・


このままでいいのかな・・・



29歳の誕生日を迎える頃、私は決意した。


仕事辞めて、ずっと夢だった場所に行こう。








小さい頃の夢は歌手。

20代前半まで割と本気で目指していた。

短大を卒業して、フリーターしながらオーディションを受ける日々。

モチベーションをうまくコントロールできずに、











私は特別な人間だと思っていた。


人とは違う人間なんだろうなと、昔から漠然と思っていた。

なんの根拠もなしに・・・


私の小さい頃の夢は歌手。

物心ついたときから、テレビの中で歌う人たちを見つめては、大人になった自分もあんな風になっているんだろうなと、思っていた。


大人たちは、卒業する子供たちにこんな言葉を送る。

「あなたたちの可能性は無限に広がっています。夢は大きく持って、素晴らしい人生を送ってください。」


だけど、社会という世界に入る頃にはこう言われる。

「現実を見ろ。いつまでそんな夢を見ているんだ。子供じゃないんだから。考えが甘い。」


夢を見ていいのは子供だけなの?

何のために夢を持たされるの?


矛盾だらけの大人の世界と

翻弄される大人たちの言葉


20歳を目前とした私は、幸いにも純粋な子供の心のままだった

だって私は、特別な人間だから。

若気さ故だろうか?

根拠のない自信と、夢を叶えられるという根拠のない確信が、夢を追う私の原動力だった。


大人になれば、なんでもできると思っていた。

だから早く大人になりたかった。

友達なんてどうでもよかった。

彼氏なんていらなかった。だって2ショット写真とかプリクラとか残ってしまったら、将来、週刊誌に載せられるかもしれないから。

とにかく、通過点でしかない学生時代が煩わしかった。


自分の夢だけを信じ、人と深く関わってこなかった10代。

自分の夢を、他人に話すのが恥ずかしかった。

「なれるわけないじゃん」

そう言われるのが怖かった。


根拠のない自信があると同時に、自分自身コンプレックスだらけの人間だった。

この両極端な性格が、のちのち私を苦しめる。


父親は、世間体ばかり気にする頑固オヤジ。

とりあえず、私の意見は否定から入る。

そんな頑固オヤジとの対立は長いこと続いた。























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