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ひとり出版社冒険録!

Image by Olia Gozha

およそ3年間ひとり出版社をやっていました。



出版業界では出版社は机と電話1本あれば一人でも出来るという言葉がある。

それは概ね逆説的に実際はそんな甘いもんじゃないよということで使われるが実際にはやっぱり出来るんだよという話。ただしPCは必須で。


2001年から2004年までおよそ3年間ひとり出版社をやっていました。

いま振り返ると1年間くらいだった感覚なのだけど、冷静に数えてみるとそう。

中学を入学してから卒業するまでと考えると結構な年数。

自分でも驚くが、懐かしくも結構楽しかったその時代を振り返ってみたい。


そもそもが出版社をやりたい、活字文化がどうだ、というのに興味のあった人間ではない。

もちろん本は好きだったが、それも当時は皆よりちょっと小説や漫画が好きということ。

当時の僕は30歳で、時は2000年。なにか起業したいという思いに駆られていた。


いずれは独立したいと思い始めたのは社会人になってわりとすぐ。

もっと言えば大学生のときからだった。

大学のときの同級生に今、顧問弁護士をしてもらっているのだが、キャンバスでそんな話をいつもしてたよなと、こないだ言われたのでそうだったのだろう。


1996年頃、インターネットが日本にも普及し始め、それに触れた僕は(僕だけじゃない、当時の人々は)これは凄いメディアだ!インターネットで起業したい!という思いをずっと抱いていた。

しかし、仕事はなかなか忙しい。僕は広告会社のイベント事業の部署にいたのだけれど、深夜0時からの打合せも当たり前。ときには得意先に詰め寄ってフロアの電灯の消えたところで深夜3時までということもあった。

(でもそれが当たり前の時代で、好きでその仕事を選んだので誤解なきように。僕自身の適正はともかく今考えてもいい会社でした)


そんなこんなで起業のアイデアを考えながらも日々の仕事に追われていた僕だったが、そのときのことは明確に覚えている。

それは大分から宮崎までの飛行機での1時間ほどの移動時間。急に頭に具体的に降りてきたのが、インターネット上の人気作を読者の支援で出版するビジネス、というもの。それも概略でなく細かい仕様まで。後にドリームブッククラブドットコム(当時はとにかくドットコムだったのだ!)としてサービスを2007年まで続け、そこから多くの書籍、メディア化されたヒット作も出すのだが、その基本的な設計がこの1時間で生まれた。僕は機上中、とにかく必死にノートにそのアイデアをメモり続けたのだった。

そして僕の会社での最後の仕事は沖縄サミットのメディアセンター運営になる。その前の宮崎外相会合に行く途中の航路だった。沖縄サミットという大きなプロジェクトが終わり、実質的にその仕事だけしていた僕は余裕の出来た時間を利用して、会社設立からサイト制作まで、一気にコトを進めた。もちろん一人でだ。そして2000年末に退社し、2001年いよいよ起業を果たした。心の中はようようとした船出だった。

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