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嘘のような…
9月の下旬に息子を迎えに実家に行った私に母が言った。「お父さん癌なんだって。」表情には何の動揺も無く淡々と伝えてきたので、耳から入った言葉は頭をジェットスピードで通り過ぎた。
「はい?」と言うと、「11月に手術なんだって」と母。「で…」としか言葉にならず、その言葉を受けて母が説明をするが、表情や声の抑揚とは逆にうまく説明出来なかった。
ので父に聞くことにした。
「お父さん癌なんだって」と笑いながら聞くと「おう、腎臓に癌が出来てるらしい。」と何の動揺も見られず、何時もの父だった。
「で、大きさは?」と私
「小さいらしい」と父
「で、なんてや」と聞くと
「うん?」と父
「じゃかいよ」とイライラとしてきた私
「なんてや?ステージはなんてや?大きさはどれくらいてや」とたたみかけた。
「大きさは小さいらしい。早く見つかってよかったですねー。て言われた。手術は11月21日。」
「えー、それだけ」とあっけにとられた。
父も母も私も現実味が無く、でも「癌」と言う言葉に動揺をしていた。
「癌」=「死」
の式がなりったてしまった気がしたが…
父が死ぬ?
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