16/6/19
★12★シングルマザーが子供二人を連れてイギリスに母子留学。心の洗濯をして帰国したら、グローバル企業の正社員への道が待っていた話。【イギリスの春風の中、機関車トーマスに乗る】

このお話は、離婚してアタマに来て子どもを抱えて家を飛び出したら、勢い余って地球の裏側のイギリスまで行ってしまったおバカなシングルマザーのお話です。
前回のお話は★11★をお読みください。
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イギリスの春はある日、突然やってきます。
まず、2月に真っ白で可憐な花、スノードロップが咲きます。
これが春の合図。
遅れてはならない、とクロッカスも咲き始めます。
この前まで7時半でも真っ暗だった(真冬は8時)朝が、だんだん薄明るくなってきたと思ったら、もう春は目の前。
毎日通っているグレンジパークが水仙とタンポポであっという間に黄色に染まって足の踏み場もなくなり、子供たちと毎日きゃぁきゃぁいいながら歩くのも楽しいものです。
水仙は昨日までそこにはなかったところに、あのつんつんした葉っぱがでたと思ったら、学校から戻る時には、もうわっと咲いているような元気な花でした。
イギリスの春というのは、日本のやわやわした春とは違い、爆発的なパワーを持っています。
暗く、日が短い期間を耐え忍んだその喜びを表すかのように、勢いを持って、固い土を蹴破って、春がやってきます。
土から芽が、そして花が咲く音まで聞こえそうでした。
ぽんぽん、と音がするように咲き出す花を見ていると、妖精がいる気がしてなりませんでした。
そして、陽が出ると、イギリス人は寒かろうが、なぜか上半身はだかになる人、続出です。
からだに自信のあるやんちゃなおとこの子たちは、Tシャツ片手に、上半身着ないで町をあるいています。
おばあちゃんも3月なのにサンダル。
もちろん真っ赤なペディキュアは忘れません。
暗く日が短い冬の間は、隣のレベッカと一緒にTEAしながら、春になったら行こう!遊ぼう!計画をたくさん立てていました。
ちなみにイギリスでは夜ごはんのことをTEAといいます。
文字通り「お茶する」ですが、最初の頃は、この言葉のズレで???となりました。
例えば、わたしが「16時に、パブでお茶しよう」とイギリス人の友だちを誘います。
16時にパブ集合。
コーヒーでも飲もう、ケーキもつけちゃおうかな、なんて考えていたら友人は「食事」を頼みます。
なんでゴハン?と聞くと、だってTEAっていったでしょと友人。
ロンドンではもっと使う単語も違うかもしれないけど、夜ごはんはとにかくTEAなのでした。
さて、レベッカの一押しが、イギリスであちこち走っている保存鉄道に行って、蒸気機関車に乗って一日遊ぼうよ!!でした。
その中でも、目指すは機関車トーマス!
日本とは比べ物にならないぐらい保存鉄道の路線を持つイギリスでは、その路線のいくつかを使って機関車トーマスとその仲間たちを走らせているのです。
イベントの名前は「Day Out with THOMAS」。
Day outというフレーズ、イギリスでは日帰りのアクティビティをするときに使います。
その年は、ロビン・フッドで有名なノッティンガムの近くのBattlefield Lineが家から近いということでレベッカが予約してくれました。ランチ付です。
駐車場について、見えてきたもの。それは。
こわい…。リアルすぎるよ、デイジー。
機関車に顔が付く、というのはこういうことなんだ、と初めて気が付きます。
デイジーを見て、一瞬で顔から笑顔が消える息子。↓↓↓
やる気まんまんでトーマスのシャツ着てきたのに。
クルマの中では、Benと一緒にトーマスのテーマソングを大声で歌い、
”「とーます あーん ひず ふれーん ちゅっちゅっ!」
♫ Thomas and his friends,toot-toot!! ”
とか楽しそうだったのに、この顔です。子供は正直ですね。
そんなフクザツな思いの中、ヘンリーがお客さんを乗せて駅舎に近付いて来ます。
他にもパーシーやアニー&クララベルなどが忙しく働いています。
だって彼らのミッションはいかに
「They are the really useful crew ; 役に立つ機関車」になるか、ですからね!
駅のホームではとうとう念願のトーマスに会えました!!
ビビって最初は近付けない息子。怖いよね、確かに。
トーマスといじわるディーゼルの競争があります。
ディーゼルはいじわるだからフライングしたり、姑息な手段を使っては、子供たちから大ブーイング。
トップハム・ハット卿に叱られ、スネるディーゼル。
トーマスは得意げに汽笛を鳴らします。
タイムスケジュールはこんな感じです。
私たちはトーマスランチを前もって予約。
軽い軽食がつくので、食べながら、イギリス中部の田舎の景色を車窓から堪能出来ます。
ほら。夜ごはんは Tea って書いてありますよね?
イギリス行ったらお間違えのないように!
車窓から眺める景色は小さい頃に読んだ機関車トーマスの世界そのものです。
(アニメではなく、原作のオードリーが描いた絵本で、できればイメージしていただけると。)
なだらかな丘、草をはむ牛、遠くに見えるとんがった屋根の教会・・・
小一時間の旅ですが、小雨が降ったと思えば、太陽が出て虹がかかり、そのあとのうす青い空にのんびり白い雲が流れるのをぼーっと見るだけでも、心が浄化していくのがわかります。
子どもたちも、機関車の蒸気の音を聞きながら、窓辺にもたれてうっとり景色を見ています。
そう、小さい頃に夢中になって読んだ本の中に入り込むことができる、貴重な体験がこの国ではできるのです。
こういう挿絵、必ずトーマスの本には出てきますよね!
それはナショナルトラストが無理な開発から景色・環境を保護しているだけではありません。
イギリスの郊外に行けば、どこもこんな景色なのです。
けばけばしい看板もネオンも郊外にはありません。
このDay Out with Thomas は、イギリスの他にもUSやオーストラリアなどでも同じイベントを開催していますが、やはり本物の景色の中で走るトーマスに乗ってこそ、大人にも子どもにも心に響くものがあるのではないでしょうか。
なお、このイベントは、去年ここのライン(保存鉄道)で走っていたから今年もここでやってくれるだろうと思ったら大間違い。
毎年、開催されるラインは違いますのでご注意を!(ロンドン近郊は同じかもしれませんね)
ちなみに、トーマスたちは全員そのイベントごとに移動しないようです。
それじゃ、どうするか。
家の近所に走る保存鉄道 Severn Vally Railway でこれまた蒸気機関車に乗って遊んでいた時のことです。
途中下車した駅に Engine House Visitor Centre という小さな鉄道博物館があるのですが、そこの奥の倉庫に無造作に壁に掛けられていたもの(裏返しだったけれど)、それは機関車にはめるだけになったトーマスの顔!でした。
それを機関車にバコ!とはめて走らせるんでしょうね~。
鉄道好きな方なら、「Severn Vally 保存鉄道」と聞いて分かるかもしれませんね。
セヴァーン川はイギリスで一番長い川ですが、この川に沿って機関車は走るのです。
特に最終駅のBridgnorthのあたりは息をのむほどうつくしい景色を車窓から眺めることができます。
町も渓谷に沿っているので、ロードオブザリングに出てきそうな雰囲気の神秘的な佇まいなのです。
場所はざっくりいうと、イングランドとウェールズの国境のそばです。
…雑すぎますね。
ここが大好きすぎて、帰国してから数年後に遊びにいったクリスマス直前のサンタ鉄道に乗る私たち。
サンタが登場しますよ!の声と共にカウントダウン!
車両の中はもう大興奮です。
子どもだけじゃなく、もちろん大人も、です。
サンタはそれぞれの席ごとに回ってくれて、
「一年間いい子だったかい?」
とか
「ママのいうこと、聞いてる?」
とか
こどもたちに聞いて回るのです。
サンタは大きなプレゼントが入った袋を背負った緑色のタイツを履いたエルフを従えていますから、どの子もプレゼント欲しさに「一年間いい子だった」アピールしまくり。
サンタさんも、おかーさんに「それ、ほんと?」と確認してくれます笑。
このサンタ鉄道は毎年人気で早めにチケットなくなるそうです。
そして、イギリスはクリスマスの24日25日は「本当に」公共交通機関がなくなりますので、行かれる方は気を付けてくださいね。ウソかと思うくらいないです。
ものすごく田舎なので、行ったはいいが、帰りは手段がないになる可能性高いです。(経験あり)
ここのラインだけでなく、イギリス全土にこのような保存鉄道がたくさん走っていて、どこでもイベントをやっています。
家族みんなで一日遊べますし、ガイドブックにはない本当のイギリスに触れることができる楽しい素敵な旅になることを保証します。
大きくなっても心に残る豊かな思い出となるのではないのでしょうか。
ここに行きたいんだけど、などご相談あればコメントに書き込んでくださいね。
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さて、わたしのストーリーも終盤を迎えました。
このシリーズのプロローグはSTORYS.JPの「おすすめのストーリー」に掲載されています。
編集部よりTwitterでツイートもいただいております。
メルマガでも「挑戦する女性たち」に取り上げていただきました。
多くの方に読んでいただけるなんて夢にも思っていなかった私の話です。
編集部の方、そして今、まさに読んでくださっている方に感謝しております。
最終話まであと少しです。最後までお付き合いください。
読んだ感想をコメントに残していただけると嬉しいです (^o^)
あとですね。映画化する際は、上戸彩ちゃん希望です ‼︎
次のお話も、またもやアニメなタイトルですみません。
いや、ちゃんとイギリスの話しますから安心してください!