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とあるデザイン会社の社長に教わった「100パーセント必ず夢を叶える方法」

Image by Olia Gozha

社長「あのな、阪口。100パーセントの確立で夢を叶えるためには、どうすればいいと思う?」

これは2008年、僕がまだ大学3年生のとき、西新宿のとあるデザイン会社で、インターン生として働いていたときの話です。




営業をまかされていた僕は毎日スーツを着て、汗だくになりながら、西新宿のビルを、革靴で歩きまわってひたすら飛び込み営業をして回っていた。

その会社の社長は、"熱の塊"のような方で、僕は学生インターンでありながら、学生インターンにあるまじき「教育」と「訓練」を受けていた。


半年間。

泣かずに帰らなかった日がないほど。

徹底的に、働くということ、男気というもの、そして人間力というものを叩きこまれた。


僕は、そのとき小説家になりたいと思っていた。

そのころを知っていた社長は、ある営業に、僕が付いていった帰り、【100%】夢を叶える方法を教えてくれた。



「もしお前が夢を叶えたいんなら、穴を掘り続けろ」


「穴、ですか?」


「そうだ。穴だ。

 ここだ、ここに掘るんだ」


 社長は、コツコツと

 靴先で地面を叩きながら、


「ひたすらに、掘れ」


 と言った。


■□■□■□■□■□■□


「穴を掘ろうとするとな、

 3つの邪魔が入る。


 まずひとつは、

 『穴なんて掘っても仕方ないだろ』

 という不安感だ。


 地面の中には

 望むものが埋まってるらしい。


 でもほんとうに掘れば

 出てくるのか確信はない。


 だから掘らない。言い訳もする。


 良いスコップがない。

 自動掘削機が欲しい。

 今日は疲れてるしダルい。

 別に今日はじめなくても

 明日やればよくね?


 そんな風に考えて

 穴すら掘り始めようとしない。


 掘れ。


 道具がなくても掘れ。手で掘れ。

 疲れてる?掘れ。

 眠い?掘れ。


 とにかく今日から掘り始めるんだ。


 たいていの人はまず

 穴すら掘り始めようとしない。

 だからお前はそうなるな、掘れ」


■□■□■□■□■□■□


「次に、周りの奴が邪魔してくる。


『おい阪口!

 お前そんなところで

 なにやってんだよ!


 穴なんて掘ってないで

 遊び行こうぜ!

 飯食いに行こうぜ!

 合コン行こうぜ!』


 そんな風に横槍が入ってくる。


 それは友達だったり恋人だったり

 家族や教師や、世間体だったりする。


 色んな形をしたものが

 お前の手を止めようとする。


 でもお前は、

 その声に絶対耳を傾けちゃいけない。


 耳をふさげ。集中しろ。


 ただひたすら、

 スコップ動かし続けて

 穴を掘りつつけるんだ」


■□■□■□■□■□■□


「最後の邪魔はな、


『自分自身の声』だ。


 こんなところを掘っても

 何も見つからないんじゃないか?


 こんな辛いことしなくても

 もっと楽な方法があるんじゃないか?


 そんな不安がお前の手を止めようとする。


 そして、

 あと10センチ掘れば

 お宝が出てくるのに、


 その10センチ手前で

 穴を掘るのを止めてしまう。


 たいていの人はまた

 ここで手を止めてしまう。

 すぐそこに、求めていたものがあるのに。


 だからお前はそうなるな、

 見つかるまで

 穴をひたすら掘り続けろ。


 そうすればお前は

 100パーセント必ず

 夢を叶えることができる」


■□■□■□■□■□■□■□


先に身体が悲鳴をあげてしまった。


19歳のときにその言葉を聞いてから、27歳になるまでの8年間、僕はずっと穴を掘り続けてきた。


「阪口、お前はこれからどうする?」


就職活動を放棄する





就職活動を放棄したときも

アジアを放浪したときも、

食い扶持を稼ぐための仕事をしたときも、


僕は書くことだけは諦めなかった。


23歳で、うつ病になって

小説家を諦めてしまったけれど、

日記を書くことだけは止めなかった。


ベース一本で日本縦断したときも、

福岡の志賀島で働いてたときも

あいりん地区に潜伏していたときも、


そして出国してからは

旅先で出会った風景や物語を


書き続けた。


そして、インターンから8年、深く、深く穴を掘り続けた結果、僕は、思わぬ方向から作家になることができた。


うつ病になって、小説家になることを諦めてからの2年間に起こったことがそのまま1冊の本になった。


うつ病になったとき僕は、

スコップを放り投げようとした。


でも、血だらけになったその手を

もう一度握りしめることができたから


今、僕はこの瞬間を

手にすることができたのだと思う。


たくさんの本屋さんで

僕の本が並んでいるのを見ると

いつも、社長の言葉を思い出す。


穴を掘り続けてきてよかった。


そして、僕はまだまだ

この穴を掘り続けたい。


10年、20年、30年。


どんなに辛いことがあっても

焼き焦がれるような苦痛があっても

僕は、このスコップを絶対に離さないだろう。

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