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漆黒の闇の中に無数の輝く点。少しでも油断したら吸い込まれそうな夜空。僕が一番最初に宇宙に興味を持ったのは、祖父母の家で見た夜空だったと思う。そして、気付いたら僕は宇宙好きな少年になっていた。
実家には、ボロボロの宇宙図鑑が眠っている。その隣には、新品かと思ってしまう人体図鑑もある。今振り返って考えてみると、当時の僕にとっての宇宙というのは、一種の概念だったんだと思う。そこに何があるのか見てみたい という純粋な好奇心だ。僕は、本当に両親に恵まれた。厳しい両親だったが、すごく愛されていた。僕が関心があるものにはすべて理解を示してくれた。父に俺の会社を継げなんて言われた事は一回もない。僕は一人っ子で、父は先代から続く会社の三代目社長であるのに。単行本が何冊も買える値段の天体写真集を母に欲しいと言ったら、すぐに買ってくれた。そんな素敵な両親のおかげで、僕は自らの興味の向くままに宇宙の魅力にはまっていった。
そんな僕にある転機が訪れることになる。中一の冬である。
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