屋台ビギナーがおこした悲劇
今回も警戒心バリバリでタクシーに乗りカオサンロードに到着した。
まだ人も少なくて朝の静けさがあった。
少し安心したのか急激な空腹感がおそった。
わたし「オナカヘッタナ…。」
メイン通りを外れると屋台が数軒出ていた。食べたい…。
でもどうやって注文すればいいんだろう。
あの屋台のおばさんは顔が怖い感じだからやめておこう。
あ、ここもなんか違うな。もう少し行けばあるかもしれない。
そうやってなんだかんだ理由をつけて歩いていたら屋台のエリアから外れてしまった。
大きな荷物を背負ってひとけのない道をトボトボ歩いていたら、
だんだん自分自身に腹が立ってきた。
わたし「今まで理由をつけて屋台に入るのを拒んでいたけど、ただ勇気がないだけじゃないか!!」
食べ物にあたるのが怖いわけじゃない。おばちゃんの顔が怖いからじゃない。
知らない世界に飛び込む勇気がないだけだった。
いままで失敗なんてたくさんしてきた。
外国にいて自分のことをだれも知らないの何に恥ずかしがってるんだ。
恥をかいたところでどうってことない。
わたし「この、ブス!!!(自分が)」
よし、決めた。次に見つけた屋台で食べよう。
コンビニもあったけどそこで空腹を満たしたらタイに負けたような気がした。
さらに歩いていくと通りのはずれにご飯を売っている人がいた。
他の屋台はお客がいたがそこはだれもいなかった。
ラッキー!屋台ビギナーにはぴったりな場所だぜ!
うれしくて近づくとおじさんが、
ごはんに薄いたまごをのせたものを並べて売っていた。
そのおじさんは死ぬほど小汚くしたダンブルドア先生みたいな見た目だった。
怪しすぎる。引き返すべきだろうか。
いや、しかしさっきまくしたてながら自分を奮い立たせたのに
「やっぱウソぴょん」とかダサいの極みだ。
よく見ると料理もたまごが乾燥しすぎて反り返っていた。
ちくしょう!お腹が空きすぎて頭が回らない!目がチカチカするぜ!
ジッと見つめてくるダンブルドア先生。
雰囲気に負けた私は小さく震えながら、たまごのせごはんを指差した。
無言で渡され、無言で受け取る。もう止められないトロッコに乗っているようだった。
料理はどう見てもパッサパサである。下のごはんも乾いていた。
しかし奇跡的においしそうにもみえた。
今の私は最強だ。なぜなら空腹は最大の調味料だからだ。
ドライフードだと思えば乾燥も気にならない!
料理と一緒に渡されたプラスチックのアイスのスプーンでひと口食べてみた。
うひゃあああ!!乾いた米とたまごの想像通りの味やぁぁあああ!!!
てか味しねぇぇえええ!!!
さらにジャリッと砂を噛む感じがした。
まさかと思いたまごをめくるとデカめのアリが1匹出てきた。
わたし「先客いるじゃねぇか!!!(狂」
スッと食欲が消え、ダンブルドア先生を見た。遠くを見ながらタバコを吸っていた。
やつの視界に入らないように移動して近くにあったごみ箱にダンクした。
「今日の寝るとこ見つけないと」と思い出しゲストハウスへふらふら歩いた。