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15/4/27

人はなぜ人を殺してはいけないのかという話

Image by Olia Gozha

銀座で不意に某テレビ番組(局と名前は忘れた)の街頭インタビューを受ける。子どもの素朴な疑問に大人が答えるという趣旨で、2つの質問についてのコメントがほしいという。

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レポーター:人はなぜ人を殺してはいけないのか?

僕:おそらく原理的には自分が殺されないために、他者の殺人を容認しないということだと思う。ある人Aが、ある人Bを殺しても良いとあなたが判断するならば、可能性としてある人Bがあなた自身であることも考えられる。自分が殺さないと同時に、相手にも殺されないという相互承認によって、殺人は禁止される。

レポーター:じゃあ、戦争などで人を殺すことについてはどう考える?

僕:原理的には相互承認によって殺人は禁止されうると思うが、逆に、自分が殺される可能性を受け入れることで、殺すことを是とする状態が戦争であると思う。ただし、戦争によって無抵抗な人々が一方的に殺されることがある。「なぜ殺してはいけないのか?」という問いの答えと、世界の現実は次元が異なり、その間には乖離がある。これを認めつつ、原理的に導き出された答えに実効力をもたせるために、何ができるかを考えていく必要がある。

レポーター:なぜ子どもは学校に行って勉強しなければならないのか?

僕:基本的には自由に生きるため、不条理に抑圧されないため。世界には、読み書きや簡単な計算ができない、あるいは最低限の知識がないために、圧倒的に不利な立場に置かれて、そこから抜け出せない人がたくさんいる。一見、当たり前のように感じられている力を身につけていくことは、人間らしく自由に生きていくためにどうしても必要。

レポーター:じゃあ、学校に行かず家で勉強すればよいのでは?

僕:そのための時間と資力があれば、それも選択の一つであると思う。ただし、全員がそのような選択をすることは実質的には不可能だろう。現行の学校教育制度が最良とは言えないが、曲がりなりにも、あらゆる子どもたちに対して最低限の能力を身につける機会を平等に提供しているという意味では、現行の学校教育制度が担っている部分はかなり大きい。

レポーター:数学の公式なんかは、どうして覚えなければいけないのか?

僕:自由に生きるための力を育てるという大きな方向性のもとで、個別の学習項目については、社会の変化にあわせて絶えず議論を行っていくことが必要であると思う。

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なかなか手ごわい質問だった。

テレビだから、「赤ちゃんはどこから来るの?」とかシモネタ系の質問なのかと思ったけど、意外に直球かつ硬派な質問にタジタジだった。

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