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毒親、虐待、いじめ、性暴力、夫のDV、それによる幼少期からの解離性同一障害を乗り越えて、オーストラリアへ。

Image by Olia Gozha

これが普通の人生だと思っていた。


両親はいつも私を怒鳴りつけた。

大人になってからも、怒鳴る電話と、突然優しい電話を交互にして来た。

私はそれを優しさだと思っていた。


兄は体を触った。いや、言葉にもしたくない事ばかりだった。

私はそんなものだと思っていた。


学校ではいじめられた。学年全員からいじめられた。

人生はそういうものだと思っていた。


私も人と同じように、ただ、そこに生まれただけ。

これを乗り越えるまでの32年間。


私の努力が足りないのだと、ただ思っていた。

前世で何かしたかもしれないし

将来凄くなるのかもしれないと思っていた。


大人になっても、私は普通に会社で働いているだけだった。


小さい頃から、どうしてこんなに辛いのに、みんな生きてるんだろう?と思っていた。

「死ねば楽なのに、凄いな、ちゃんと生きて笑ってて。」

きっと私の努力が足りないんだと思っていた。

幸せな人生も、楽しい気持ちも、みんな誇張して言ってるだけだと思っていた。


過去のことは水に流して忘れたつもりでいた。

昔の記憶は断片的で、よく思い出せないから、気楽に思っていた。


普通の人と同じ人生のつもりだった。

けれど・・・不思議と、何の自信も持てなかった。

周囲から聞く家族の話は、私の家族とはまるで違っていて

「他人に話す時は、悪いことは除いて、かなり脚色するのがマナー」だと思っていた。


そんな私も結婚して、これから幸せになると思っていた矢先、

静かに、激しく、転機は訪れた。


結婚して同居し、2年経った頃だった。


私はなぜか、部屋から一歩も出られなくなり

泣くだけの日が続いた。

あの当時は、意味がわからなかった。

どんなに辛くても、鬱っぽくても、それでも会社へ行った私が?

部屋から出られない・・・?


そして夫と、義理の両親がこう言った。

「性格に問題があるみたいだから、私たちに合わせて性格を変えればいい。」


今思えば、随分な発言だ。

けれど、酷い家庭で育った私は「優しさ」を知らなかった。

その要求が「配慮あるアドバイス」なのだと信じ、真剣に考えた。


昔から鬱っぽい事で悩む事が多かった。

どうしたら気持ちが楽になるかわからなくて、何冊も本を読み、実行し、失敗して来た。


自分の力だけで変えるのは難しいことは、痛いほど知っていた。

けれど新しい家族のために、私は本当に実現したかった。


これはもう、プロじゃなければ難しいと思った。

そう「カウンセリング」だ。

それも、腕の良い人がいい。ヤブじゃ困る。


けれど、カウンセリングには誰も賛同しないだろうと思った。


家族は「お金がもったいない」と猛反対するだろうし

賛成した顔をして、知らず知らずのうちに行けないよう仕向ける気がした。


私は家族のために実現したかった。

家族が反対して実現できなければ、知らず知らずのうちに家族が悲しむことになる。

私の性格で悲しませてしまう。

いつでも人は正しい判断をできるわけではない。


ならば・・・


私は、確実に実現するために

誰にも「黙って」カウンセリング先を探し始めた。


「私にだけ問題があるらしい」と思ったまま。


一切知られないよう、細心の注意を払って行き始めた。

それはまるで、細心の注意を払って、

クリスマスプレゼントを家族に用意するような気持ちだった。

静かにウキウキした。


嘘を付いて出かけることに罪悪感はあったけれど、それも家族の喜ぶ顔のためだったから。


「今は黙ってるけど、必ず良くなるから、待っててね」

「最高のプレゼントを、用意するんだからね」と。

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Image by Jukka Aalho

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