レアの優しさ
カンボジアで、旅行中にお金を浮かせるため働いたバーで仲良くなったレア。
最初は同僚として毎日接していたけど、だんだん仲良くなるに連れて、バーの外へ一緒に出かけるようになった。
カンボジアの交通手段はほとんどバイク。
免許を持っていなかったので、毎回レアの原付の後ろに乗せてもらい、色々連れて行ってもらった。
それは今までに見た事がないような景色の連続!
シアヌークビル1綺麗なオトラスビーチや、
牛の散歩に遭遇したり
朝早く起きた日には、
夜のパーティーとは打って変わって、静寂で美しい朝焼けが見れた。
レアには毎回本当にお世話になって
家に招いてもらい、現地のご飯を一緒に食べさせてくれたり
カンボジア独特の文化や慣習を教えてくれたり
私がデング熱にかかって(!)熱と関節痛にうなされて死にそうになった時も、地元の病院に連れて行ってくれたりした。
よくある昼下がりのこと。
私たちはいつも通り原付で適当に走っていた、その時。
脇道に、ボロ雑巾のような服を着てじっと座っているおじいさんがいた。
おじいさんは合掌のポーズをし、じっと動かず置物のようだった。
ふと、レアがバイクをおじいさんの前に止めた。
お財布から何枚かの紙幣を取り出して、クメール語で何か言った後、おじいさんに渡した。
おじいさんは深々と頭を下げて、何か言っていた。
クメール語が分からなくとも、お金を寄付したのは明らかだった。
ユミ「偉いね、毎回寄付してるの?」
レア「したり、しなかったりだけど、お金が無い人はお金がある人が助けなくちゃ。カンボジアはお金がなくて、他の国に頼ってばかりだけど、国民がもっと国民の責任を取るべきだと思うんだ。私もお金持ちじゃないけど、出来るだけみんなが幸せになればいいと思って寄付してるよ。」
これを聞いた時、衝撃が走った。
きっとまだどこかで、カンボジアは貧しくて、国民みんなが外国に頼ってばかりで、外国も援助をすることによって、それに甘えた国民ばかりなのだろうと思っていた。
そして、貧しいからこそ自分だけ幸せであればいいと思っているのだろうと。
日本のどれだけの人が、ホームレスに寄付をしたことがあるだろう。
道路の端っこにポツリと座っている、ボロボロの服を着たおじさん達。
見て見ぬ振りをして、忙しそうに通り過ぎる周りの人達。
なんか怖いし、、、汚いし、臭いし。
私も決して例外ではなかった。
自分だけ幸せであればいいと思っていたのは、自分の方だった。
レアは、少なくとも他人の事を思うだけでなく、行動に移した。
一人で何でも出来ると思って世界一周に来たけれど、一人で何でも出来るのは自分のためだけだったんだ。
私には、人に何が出来るんだろう?