立ち上げのきっかけ
■2014年8月某日
ある日、友人たちと飲み会をしているときに電話が鳴った。
暑い日で、1杯目のビールを飲んでいるときだった。
ディスプレイに表示された名前を見て、珍しいな、と思った。
画面には「ドウゾノ」と表示されている。
何か急用なのかな?と思い、飲んでいた友達に断わって電話に出てみた。
オカモト「もしもし?」
あ、どうも、と言う声が聞こえてきて、ドウゾノさんは前置きなく本題に入った。
このせっかちなあたりは、さすが関西人だと思う。
ドウゾノ「今日筆記具の卸のところに行ってきて話してきたんですど・・・」
声のトーンからしてあまりいい話ではないのがわかった。
ドウゾノ「筆記具の卸単価が上がりました。しかもかなり・・・」
これまでに、彼と一緒に筆記具を売るサイトを立ち上げていた。ちゃんとしたショップではなく、ブログ兼ショップ(WordPress+Welcartでサイトを作っていた。)といったものである。経費もほとんど必要なく運営できる。売れればいいな、ぐらいの軽い感覚で立ち上げていた。ちなみに、これまでに1本もこのサイトからは売れていない。
卸単価が上がったぐらいなら、売ったときの利益が減るだけなので、特に問題もなかった。致命的ではない。そもそもサイトを立ち上げて、今まで1本も売れてなかったのだから、何も慌てる必要がない。そんな気持ちで聞いていた。
ドウゾノ「あと条件もつけられまして・・・」
ん?条件?
ドウゾノ「売上を100あげて欲しいと・・・」
無茶である。売上0なのにも関わらず、100にしろなんて・・・
ここで言う100は、100万円のことである。月100万円の売上。
多分、卸側はこう言いたいのである。
月100万円ぐらいの売上をあげてください。無理なら契約うちきり!2度と卸しません。
ドウゾノさんの人柄で契約打ち切りにはなっていないが、このまま売上0が続くと商品を卸してもらえなくなり、ビジネスができなくなる可能性が高い。ボクはいいとして、ドウゾノさんは、この筆記具の利益を生活費に入れている。
卸側も理由も納得で、チマチマ卸していられないのだろう。月に1本の筆記具を卸していくらになるのやら。相手にするだけ無駄なのである。
(これまでに、ドウゾノさんは個人で筆記具を卸してもらって売っていた。今回、ネットで販売路線を拡大し売上をあげるため、ボクと共同でネット上に販売店を持つ事にしていた。)
ドウゾノさんの今までのやり方で月100万円は難しい。というか、無理だ。これまでのドウゾノさんの売り方は古典的であった。イベントに参加して、見に来てくれたお客さんに話しかけて売る。もしお金を持っていなければ後日その人のところまで届けるといった方法だ。それでも、ドウゾノさんの人柄であまり多くは売れないにしても、そこそこの数は売ってきていた。
(何を隠そう、このボクもドウゾノトークにやられた一人である。笑)
このままでは、ドウゾノさんが生活できなくなるかもしれない。どうにかしなければ!このとき、ボクの筆記具販売に対する想いにスイッチが入った。
ボクとドウゾノさんの本格的なネットショップ経営が始まりである。
これは、売上0のネットショップが、競合多数、並行輸入品多数のレッドオーシャンに、自ら飛び込んでいった話である。
オカモトの経歴、ドウゾノさんの経歴、どんなショップ?
ボク(オカモト)の経歴:
普通のサラリーマン。違うところと言えば、副業が会社で認められているということ。本業は金融系の開発会社のリーダーで開発室の室長みたいなことをやっている。元々エンジニアなのだが、起業することに憧れを感じている。個人事業主でもあるため、ネットショップのコンサルタントとして、個人でもネットショップを経営したり、友人のネットショップにアドバイスをしたりしている。
ドウゾノさんの経歴:
元大手筆記具メーカーの営業。リーマンショックの時に、経営悪化のため収入が追い付かず、独立することを決意。その時に、懇意にしてもらっていた筆記具の卸先から声がかかり、筆記具を個人でも取り扱えるようになった。卸して貰えるようになった理由は、「他の営業よりも筆記具に詳しいから」、だそう。それだけでなく人柄あって、ということは言うまでもない。
(通常、筆記具は個人には卸しては貰えません。飛び込みで卸業者へ行っても追い返されます。元営業が行ったとしても同じです。このことから、ドウゾノさんがどれほど特別なのかがわかって貰えるかと思います。)
どんなショップ?:
海外メーカー製の筆記具の専門店です。日本メーカーのものは取り扱っていません。(2014年9月現在)
Dozono Pen Style | http://dps.tokyo
筆記具とは、万年筆やボールペンのことです。老舗や平行輸入品が多く、これからネットショップとして立ち上げるには向いていません。またスマホやタブレットがあるため、筆記具自体の売上も全体的に落ちてきています。多くのコンサルタントは、口を揃えてこう言うでしょう。
「手をひなさい」
もし興味がおありでしたら、検索エンジンで「万年筆」とか「ボールペン」と検索してみてください。少しでもネットショップをやったことがある方なら絶望的なのがわかって頂けるかと思います。
前置きは、これぐらいにして、次から本分です。