車も手に入った。仲間も手に入れた。
そして、待ちに待った夜が来た。準備は万端。
物事は準備が全て。今の俺に何の抜かりもない。
さぁ。冒険のはじまりだ!
浜松人は駅付近のことを「街」という。
「じゃあ街行くら!」
「街ってドラクエか。」
ヒロの黒いワンボックスに乗り込み
リベンジを誓った、かの地に繰り出した。
ヒロが運転席。僕が助手席。
胸の高鳴りが鳴り止まない。
「今日は絶対に決める!」
心に誓ったっとき、ふとあることが脳裏をよぎった。
「・・・俺が助手席ってことは、
これ俺が女の子に声かけなきゃいけないパターンじゃね?」
ヒロの様なガタイだけの奴の車が外車なわけない。
右が運転席。左が助手席。歩道側はもちろん助手席。
困った。
ルックスは俺の方が良いにしても、
声をかけるのはヒロが良い。
そして、可愛い子は俺の方が良い。
そうに決まってる。
俺はこの試練をどう乗り越えるか考えなければいけない。
チキンとは思われたくない。けど・・・このままじゃまずい!
色々と思考を巡らした。
しかし、時間は待ってくれない。刻一刻と目的地に迫る。
こーなったら…..
ハッタリをかますしかない!
思い切って会話を切り出した。
「いつもどこでナンパするん?」
「街のナンパストリートってとこ」
「どうやってナンパしてんの?」
「普通に声かけてだら。」
「ってか俺、助手席座ってるじゃん。後ろ移動するわ」
「そんなんの後でいいだら。」
「イヤ、礼儀やん!当たり前だろ。」
信号が赤に変わったところで後ろに移動。
まずは助手席から離れることに成功しました。
そうこうしているうちに目的地間際。
本題をを切り出さないと間に合わない!
「いつもどうやって声かけてんの?」
「いや、俺運転してるし。」
来たな!こいつ逃げやがった。
「え? 運転手が声かけた方がいいでしょ? 普通そうじゃね?」
切り出してみた。
「マジで!? うち等がナンパする時は違ってた様な。。。」
「は? 助手席だと声かけるとき距離が近すぎるから
あえて運転席から声かける方が距離があって、抵抗が少ないから成功率高いじゃん。
常識じゃね!? あんまナンパしたことないとか?」
ハッタリとプライドを崩す様な言葉でハッパをかけてやった。
コッチも必死だ! 負ける訳にはいかない。
「そんなことねーし! お前に言われんでもわかってるわ!!」
ヨシキタ!こいつバカだ!作ったウソだとも知らずのってきやがった!
しかも、プライド否定されるのかなり嫌がってるし。
最後のトドメをさしてやった。
「ビビってんの? だったら運転変われよ。俺がやるわ。
チキンな浜松人に違い見せてやるよ。 」
「は?なめんな。楽勝だわ。」
・・・勝った。
激闘の末、勝利を手に入れることに成功しました。
こうして無事、自分から声をかけずにナンパをする権利を手に入れた。
会話が終わったちょうどその時。
ディズニーに次ぐ夢の国、浜松のナンパストリートについた。
あとはチキンなヒロを逆なでして声をかけさせるだけ。
「俺の戦いは終わった。あとは、お前の戦いだけだヒロ」
そう心の中でつぶやき、
リベンジマッチの戦いの火ぶたが切って落とされるのであった。
教訓:準備こそ最大の戦略なり!