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14/7/11

猫の勇者さまのお話 ~淡い恋心が尊敬になる時~

Image by Olia Gozha

 こんな暑い時期になると思いだす、一つの淡い恋を思い出します。


 ええ、それは「おまえラノベ(ライトノベル)かよ」というような淡い恋でした。



 なおこのお話はオタク成分がかなりの濃高度で含まれています。お嫌いな方は見ないよう重ねてお願い申し上げます。(お互い不愉快になるだけです)



 え、大丈夫?


なら是非この話は色のつく水系のものを口に含んでお読みください(フラグです。要するにお笑い警報です)



                     



 今を去ることと7年くらい前でしょうか。


 当時は仕事をしておりまして毎日電車に乗って通勤していました。さほど混む線ではないですがいつも座れるというほどの線でもありません。




 その日の私は二日酔いでした・・・orz


 運よく空いた席で「仕事たりぃぃ」と思いつつ、携帯で遊んでいると細身な生真面目そうな男性が席の前に立ちました。


 男性はブックカバーをした本を夢中になって読んでおりました。そのブックカバーはとても可愛い子猫のもので、微笑ましい絵柄でした。自分も猫好きなので「猫好きなんだな」と思うとともに生真面目そうな男性が可愛らしいブックカバーをしていることのギャップがとてもいいなと思ってしまいました。


 いわゆる『ギャップ萌』ってやつですね。




 それがきっかけなのかもしれません。






 ええ、この言葉使いでお分かりでしょう。私ヲタなのです。筋金入りのヲタなのです。


 NH○が夏冬のお祭りを中継する前から入りびたり、そのニュースを流すたびに『お願いやめてあげてぇぇぇ!!』と内心叫んでしまうくらいです。


 ちなみに初参戦は晴海でしたよ。今でも花博中止、心底恨んでますwww(このネタ分かる人いるかしら・・・w)


 今の逆三角形になってからは忙しさとネットと通販オンリーと化しましたが、ここ二十年のヲタの歴史を知る生き物でもありますw(話したら長いよ)


 しかし今から二十年前には今ほど世間は優しくなく、唯一優しいのは公共交通機関くらいでしたでしょうか・・・(爆)


 そんな感じでしたので基本的に聞かれたら答えるけどわざわざ言わない程度のオープンヲタでございました。(でも机はたれ○んだとかゆるキャラグッズだらけだったけど)


なのでクールジャパンにあの分野が入った時には目玉ドコー!!状態でしたし、上海万博の日本館で初○ミクちゃん見た時は『日本観光分野こっちにもってくるのか・・・』とリアルorzでした。






しかしそんなヲタでも恋をするときは恋をするのです。




 フィガロの結婚で有名なズボン役の「恋とはどんなものかしら」な感じでしたね。




 通勤時間に見かけることが多いというだけの接点。別にとても目立つ人ではなかったし、とてもハンサムというわけではなかったけれど彼の穏やかで誠実そうな雰囲気に私は恋に落ちたのです。


 私は彼に「猫の人」と心で呼びながら、時折出勤の電車で会えることを楽しみにするようになったのです。




 しかし接点がどこにもありません。


 友人などは「ブックカバーかわいいですね」なんて言って声かけろ、と言ってくれましたが「それこそラノベかストーカーだ。猫の人に気持ち悪がられる」と言い返し進展のない月日を過ごしました。


 そっと見つめる日々が1年近く続いたでしょうか?




 友人曰く「高校生か!」と言われました(笑)妄想ならいくらでも積極的になれますが現実はそう積極的になれませんって。当時は「女性から男性の痴漢」も問題になってと気ですから。


 ヲタでは歴戦の勇者ではございますが、現実での経験値0に近い生き物にはそんなこと恥ずかしくってできません。


 ただ見つめるだけです。




 でも基本、こういうヲタってロマンティスト。もし何かご縁があったら・・・絶対に声をかけてみよう!!


 そう決めたもののなかなかその日は来ませんでしたがついにその日はやってきました。



      





 なんと彼、猫の人の席の隣に座ることが出来たのです!!彼はいつも通り猫のブックカバーで本を読んでいます。




 もうドキドキでした。どう声をかけようか・・・でも恥ずかしいし変だと思われたら悲しいし・・・




 電車は動き始めもうじき降りなくてはいけない駅・・・


 勇気をもって声をかけようと隣を見た瞬間目に入ったのは!!!






 萌系でちょっと大人なシーンの絵が入った小説でした。








 その瞬間思ったことは2つ。


電車内で萌系挿絵付の小説を読むなんて・・・すごい!すごい勇気だ!!


私にはそんな勇気はない!携帯でヲタ小説見るのが関の山なのに・・・挿絵付だなんて!!


あなたは猫の人ではない!猫の勇者様だ!!』ということ。


もう一つは『オープンもここまで来たか~』という感慨深さを残し電車は降りる駅に着きました。



 そして恋心は一瞬にして猫の勇者様を崇める尊敬と化したのを感じましたw


 以来、車内で見かけるたびに彼を「猫の勇者様」とお呼びするようになり、尊敬のまなざしで見るようになったのは言うまでもありませんw


 時折『挿絵ページだけは気を付けてくださいね~まあスポーツ新聞のエロ面見ているのと基本は同じだけどさw』とは思うものの楽しそうに小説を読んでいる姿は尊敬する人を見るような温かい気持ちでございました。


 その後もそんな穏やかな時間がありましたが半年ほどで会社を退職をしたのでその後は猫の勇者様にお会いすることもなく、今の夫と結婚することになったわけですが今でも時折思い出す、忘れじの人です。




 きっと見ていないけど猫の勇者様、あなたは本当に素敵な人でした。


 貴方がとても楽しそうに毎朝小説を読んでいる姿はとても私に元気をくれました。


 貴方ならきっともうリア充だとは思いますが、一つだけ言わせてください。



 貴方は本当にかっこよかったです。とても大好きでした。



 そしてオープンヲタになりきれなかった姑息な私をお許しください。




 いまや「OTAKU」も「MOE」も「CAWAII」も「びっくりするほどユートピア」(ググってはいけないw)も世界共通語にして日本が押し出す「クールジャパン戦略」の一つ。


 2020年東京オリンピックの夏の祭典はどこでやるのか、中止になるのかわかりませんが時期的にもオリンピック&夏の祭典で来る外国の方はきっと多いでしょう。


 きっと彼も私もそんな日本のクールジャパンの勇者の一人であろうと思いますw




 夏になると思いだす、オープンヲタになりきれなかった小心者の淡い恋の物語でした。

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